第五章五節 全力
『しっかり受け止めてくれ、タケル!』
タケル達の光弾攻撃をかいくぐりながら、シュランメルトの乗る
剣を高々と振りかざすと、そのまま大上段から斬撃を見舞った。
「うわっ……!」
タケルは何とか盾で防御する。
が、それを見切ったシュランメルトはわざと剣を引き、刃先が盾表面を滑るよう振り切った。
当然、剣が地面をえぐるが――
「はぁっ!」
なんと地面に突き刺さった剣を軸に、棒高跳びの要領で
「ッ!?」
タケルが振り向いた時には、既に突進体勢に移っていた。
「ぐぅっ……! 何て重さだ……!」
『悪いが、やるからには手加減せんぞ。タケル』
シュランメルトは
『なるべく吹っ飛ばされるな。起き上がっている間にやられるぞ』
シュランメルトは、タケルが受け切れる程度には威力を加減しつつも、攻撃自体は容赦の無いものを次々と繰り出していた。
*
その様子を見ていたリラは、模擬戦闘の様子を眺めていた。
「ふむふむ……。タケル様の
リラはシュランメルト達とつかず離れずの距離を保ちながら、いつでも回収出来るよう備えていた。
*
戦っているのは、シュランメルトとタケルだけではない。
フィーレやリリア、グスタフにリンカの四名もまた、一対一での攻防を繰り広げていた。
『甘いですわよ! 光弾とは、こう撃つものですわ!』
フィーレが斬撃で
「……ッ! なんて正確さ、ですか……!?」
急所である胸部は外しているが、胴体部に全て命中した。
フィーレは射撃を止めると、盾を構えて距離を詰める。
『まだまだ、続けますわよ!』
盾を鈍器とし、縁で殴りつける。
『安心してくださいませ。威力は調節しているので、立ち上がれますわ』
フィーレは
一方、グスタフとリンカも、やはり圧倒的な差が付いていた。
『反応、遅いよ!』
グスタフの猛攻をしのぎきれず、
『グスタフ君が速すぎるんだってば……!』
『連撃は僕の得意分野だからね! ほら、次!』
体勢を立て直したのを見て、グスタフはもう一度連撃をかける。
『行くよ!』
距離を詰めながら、牽制の光弾を立て続けに放つ。
どれも
「っ、前に進むしか……!?」
リンカが気づいた時には、グスタフの
「ぐっ……!」
『まだまだ!』
そこからさらに、剣で腹部を集中的に狙う。
剣だけでなく、盾でも打撃を仕掛けるグスタフに、リンカはなすすべが無かった。
『僕にだって隙はあるよ!』
「隙って、どこ、にっ……!」
『今! 今脇が開いたよ!』
「速いっ、てぇ……!」
防御するので精一杯のリンカを、グスタフは容赦無く攻めたてた……。
*
『そこまで!』
数分後、リラが止めに入る。
『皆様、お疲れ様でした。しかし、何と言うか、これは……』
リラの見た光景。
それは、「一方的」という他ないものであった。
『シュランメルト、フィーレ、グスタフ。少々、手加減をしてはいかがです?』
苦笑したシュランメルト達は、タケル達を支えながらゆっくりと機体を格納庫に収めたのであった。
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