久しぶりに過去エピソードを推敲しました 改稿

僕は、久しぶりに自作品の過去エピソードを推敲しました。


作品は現在第二部を連載中の作品

『心層科学ファンタジー5次元少女』

その第一部の序盤のエピソードについてです。


そのエピソードでは、美少女ヒロイン愛理栖と、

その少女の裸を不可抗力にも偶然目撃してしまった主人公の青年との話が語られています。


当初の本文のままでは、深い関係になっている訳ではない女の子の裸をみてしまった成人男性のリアクションとしては違和感を感じる。

 そのような有難い意見をいただき、推敲させていただきました。


 作品本編自体の中でも既に変更させていただいていますが、

推敲後の本文に対して違和感が無いか、読者の方々の反応を貰いたいとの思いから、

あえて該当の部分をこちらのエッセイにも載せさせていただきました。

既に僕の該当作品を読んでいただいている方には

該当部分だけを、

読んでいただいたことの無い方には、

作品本編自体の中で最初から以下の該当部分(トータルの所要時間で約5分くらい)まで読んでいただけたら大変嬉しいです。


 しかし、みなさんにはみなさんの貴重な時間の使い方があると思いますので、もちろん決して強制はできません。

そして、決して返信の期限も区切りません。


 読んでも大丈夫という時間が許される方だけで大丈夫です。

わがままを言って申し訳ありませんがよろしくお願いします。


 また、僕のように作品の添削を希望される読者の方がいましたら、作品の中での添削希望箇所のボリュームによってお返事までに要する期間は前後するかとは思いますがおっしゃってくださいね。



※以下、僕が今回推敲した該当箇所です。

心層科学ファンタジーイーハトーヴ5次元少女 ★第【1】部★』

第仁章(1)

※該当のサブタイトル

『コーティ 5番目の次元 ※一部 愛理栖 視点』


※以下、該当箇所の本文です。


「あ~今日も疲れた~。

明日も早いし、も~うんざりしちゃう」


私は阿頼耶識あらやしき 愛理栖ありす竹馬ちくまの中学に通っています。

訳あって親元を離れ、おばさんの家に居候いそうろうしています。


そして、私には小さい頃からずっと片思いの好きな人がいるんです。

それは、ご近所のひかるお兄さんです。



「明日早いし、ちょっと早いけどお風呂入って寝よっかな。


あっ着信だ?」


「愛理栖ちゃん、聞きたい事あるんだけど!」


「お兄さん?

市内の清掃活動の時に教えた番号、

覚えててくれたんですね。

お兄さんからかけてくるなんて初めてじゃないですか!

それにしても、すごく慌ててみえますが、どうしたんですか?」



「僕の母さんが入院してる事、君はおばさんに聞いて知っているよね?」



「入院?誰のことです?親戚のおばさんのことですか?」



「……。」



「ちょっと~。お兄さん?聞いてます?」



『プー、プー』



「お兄…さん」



——————————————————————

一方その頃、竹馬市内某アパート


僕はこの日仕事を早退し、

帰宅途中に母の病院に寄ったのだが……。

病院の受付で食い下がる僕の姿が周りの人達には不審者としてみえたらしく

病室に入れないどころか、危うく通報されそうな事態となった。

その後僕はしぶしぶ家路につき、ずっと考え事をしていた。



やっぱりどう考えても変だ。母さんが消えて存在しない事になってる。

冗談じゃない。


”消える?”


ふっと脳裏のうりにあの不思議な少女の姿がよぎった。


『信じて!君が消えちゃうその前に…』


「そうだ!」

確か、もらった名刺があったっけ。

 さっき電話した時に本人に聞けばよかったな。

名刺の裏には場所と時間が書かれていた。


宇宙の真理を探す会

次回日程 4月24日(日) 18時より


これって、今日じゃないか。しかも後1時間も無い。

場所はなになに?長野駅近くの廃ビルか。

よし、すぐに行ってみよう。

僕は、獲物を狙うたかのように真っ直ぐに廃ビルを目指した。



僕が廃ビルと呼んでいるその年季の入った雑居ビルは、長野市の奥まった路地にひっそりとたたずんでいた。

大通りに出るとあれほど人間でごった返しているのにここだけは人を寄せつけない。

きっと不思議な結界でもあるに違いない、

僕はそう思った。


「ここが廃ビルかぁ。入口は…ええっと」

目の前には、出入口の代わりに、地下へと続く階段があった。


奥へ進むと、入口はもう目と鼻の先で一目瞭然だった。


そして中がどうなっていたかというと、

長机、パイプ椅子、ホワイトボード、

本当に必要最低限なものしかなかった。

まるでそこは、廃部寸前な文化部の部室のようだった。


そして僕が、前方のホワイトボードに目を向けると、


そこには…

あの妖精のような可憐かれんな少女の姿があった。


彼女はすぐに口を開いた。

「あなたには特別な力があるから呼びました。」


「特別な力?」


「ねえ? あなたは最近、身の周りでを感じること無いですか?」


「こ、答えていいんだよね?」


「は……い?

もちろんですが、

どうしてそんなこと聞くんですか?」



僕…、

試されてるのかな?


それは、我が子の成長の変化を知る母親のように実にまとた質問だった。


「君、理解わかってるのか……?」


「どうやら図星みたいですね。

それで、こんな事が起こる原因わかりますか?」

※お母さんや職場の人が消えたこととか


「………」

僕の口からはしぼりきった雑巾ぞうきんのように何も出てこなかった。



「あなたの見たまま感じたままを私にただ話しさえしてくれればそれでいいつもりだったのですが……。

私、そんなに答えにくくて難しい質問しましたかね?

まあ、いいでしょう。

質問の仕方変えますね。

こんなことをなしえる人物、

お兄さんは誰だと思いますか?」


「誰って、アレ以外にそんなのありえないっしょ」


「じゃあ、誰です?」


ドクン、ドクン!

激しい心臓の鼓動という静寂だけが支配する閉鎖空間の中で、今か今かと僕からの返事を待ち望む少女。

僕はなり振り構ってなんていられなかった。


痴女ちみ…、とか?」

※ルビの『ちみ(痴君)』の意味

解説しよう!

はずかしい君という皮肉を込め、

発音を曖昧にすればきっと本人には気付かれずお互いwin winだろうとひかるがでっち上げた造語である。


目の前に落としたボールペンでも拾うかのような素振りで、僕はあえて淡々と言葉を発した。


「へ・・・?

あの~、ひかるさん?

ごめんなさい。

早口でよく聞きとれませんでした。

もう一度、聞いてもいいですか?」


ちみ・・・」

※変態・・・。

※恥ずかしい姫君


「はぁ~!?

もぉー!!

何で理由が『私』になるんですかー!!

愛理栖ちゃんプンプン♪しちゃうぞぉ」


「だって、愛理栖ちゃん?」


「はい?」


「君の珍しい性癖に対して僕からとやかく言うつもりは無いけど、せめて下着……着ません?」


「あれ、嘘?

何で? ええぇぇぇー!!!」


僕の目の前に立つ少女は何故か素っピーで、

実に興味深いことだが、僕が指摘するまで当人はそのことに全く気付いていない。

肌の感覚や急な肌寒さとかでいくらなんでも自分で先に気付くだろ、普通。


「あのね……愛理栖ちゃん?

その年齢の割にはやや小ぶりなちっぱいを

さも堂々と一応大人の男性の一人である僕に見せつけられても」


※解説しよう。

このとき、ひかるの脳内では、

素っピーな姿で腰に両手を当てエッヘン!と何故かすまし顔で自信に満ち溢れた痛い気な少女が存在感を主張していたのだ。



「ふざけんなー!!

 それに……」


「どうしたの?」

僕と目を合わせようとはせず既にうつむき加減だった少女は更にはっきりと下を向く。

そして、両手の人差し指でモジモジと指遊びをしながら続けた。


「こ、これはちょっと自分で言うことに対して抵抗があるんですけどね」


「う、うん」


「私という美少女の一糸纏わぬ生まれたままの愛理栖ちゃんマジ天使えんじぇるな姿をあなたは幸運にも生でお目にかかれたんですよ!」


「・・・」

※おいおい、この娘、ホントに自分で自分のこと言っちゃったし。

そして今確かにって言った!


「あの、さっきからひかるさんどこか上の空じゃないですか?

ちゃんと私の話聞いてくれてます?」 


「うんうん!」

考え事をしている最中、急に質問され

慌てた僕は、首を縦に二回大袈裟に振ってみせた。


「まあいいです。

話続けますよ。

男の人ってこんなときもっとこう……、

鼻の下をでれ〜って伸ばしてませんか?

私、そう言う男の人達の目線、今想像しただけでも気持ち悪くて寒気や吐き気がします。

女性を性の道具としてしか見ていない紳士的ではない達は全員、今すぐこの世からいなくなればいいのに!!

 それに、そんな獣達は女性の裸を見たとき舌もだしてて、

片手だけ後頭部も触ってて、

あやとりが得意で、

頭部にはスポーツ狩りと坊ちゃん刈りの中間くらいの黒髪、胴体は年中黄色い長袖と紺色の半ズボン、アクセサリーの欄には丸眼鏡を常に装備していて、

戦闘ステータスは飛び道具の命中率以外軒並み0ですよね?

 だけど、パーティー全体に効果があるというサバイバルシチュに適した専用リンクアビリティー『いつでもどこでも5秒で寝れる』を持っている点だけが心配性で睡眠不足になりがちな私が唯一彼らを評価できる理由で……。

 って、途中から少し話が脱線しちゃいましたが、結局のところ彼ら獣達って裸の女性を目にするとみんな決まってラッキースケベ的な反応しません、普通は?」


「愛理栖ちゃん?

不可抗力で女性の裸をみてしまった男性に対しての君のイメージって、

ちょっと知識が偏っていると言うか、説明の途中から君の先入観のベクトルが大変残念な感じに暴発しちゃってない?」


「いいじゃないですか!

それとも何ですか?

世の中の多くの男性は私達女性を性の道具としか見ていないという私の考え方に何か文句でもあるんですか!?」


「僕の浅はかな発言で君を誤解させて、

気を悪くさせちゃったかもしれないね。

そこはごめん。

正直に話すね。

僕は理系でずっと研究にばかりに没頭してきたから今時の流行には実は疎いんだ。

だからなのかな。

 それ、最近の若い人達の間で流行っていて、君たちの中では常識かもしれないけど、

僕が今までに学んだことのある経済学のゲーム理論や心理学の中でもそういった特殊なケースは今まで遭遇したことないんだ。

 だからさ、今君がおかれた状態に対していったいどのような反応を示した場合が一番僕にとってコストパフォーマンスがよくて、

君と僕お互いにwin winなのか。

その最適解やエビデンス証拠がどうしてもみつからなくて困ってしまっていただけなんだ。

 これで少しはさっきの、君に対する僕の失言に対してフォローになったかな?」


「はー?

話が難し過ぎて、私ひかるさんが何を言ってるのかはじめから全然ついていく気ないんですけど」


んかーい!!」

※こいつバッサリ切り捨てやがった。


「あ、……はい」

「それと、あと一ついい!?」


「まだ何かあるんですか?」


「ごめん。これだけば今言っておかないと僕自身気持ちに収まりがつかないから言わせて」


「はい、どうぞ」


「眠そうな顔で耳の穴ほじくるの今はやめておこうね」


「違いますぅ〜!

私、ちゃんと耳かき使っているじゃないですか〜!」


「そこじゃネー!!

寧ろ、この状況で遠慮無く耳かき出しきたメンタルの部分が逆に引くわー!」


「ひかるさん、さっきから番犬みたいにギャンギャンうるさいですよね。

もう少し肩の力を抜……」

「喧しい!!」


「はい」


「よろし。

 さっきの話をまとめるよ。

僕は自分の気持ちを正直にいう人大好きなんだけど、そこだけは素直には言って欲しく無かったな」


「少なくてもひかさん、あなたは女性の裸を観ても欲情はしないし、女性を性の道具としてみないってことなんですか?」


「スルー!?

ま、いいや。

あ、うん」


「素晴らしいじゃないですか!

紳士です!

今すぐ私と結婚してください♪」



• • • • • •



「えーと、あの作者さん?

僕たちのさっきの会話聞いてました?

途中の台詞……すっ飛んでますよね?」



「ひかるさん、違うんです!

さっきのひかるさんの返事に対して、

確かに私が言ったんです」

「え、ホント?

なんだ、それならよかった……。

 って、軽っー!!

態度の変わり方激しすぎだろ。

 こらっ!

駄目だよ、そんな簡単に自分の純潔をどこの馬の骨ともわからないような男にあげたりしちゃ……」







「ひかるさんはどこの馬の骨ともわからないような男なんかじゃない!!」




「え?

愛理栖ちゃん?」



目の前の少女は目に涙を浮かべ真剣な表情に変わっていた。

そして、僕が話を最後まで言い終わる前に強い口調でそう割り込んできたのだ。



「ひかるさんは私の大切な幼馴染ですし、私ずっとずっと前からひかるさんと……、

あ、痛い、痛い」


「おい、急に頭を庇って大丈夫か、

愛理栖ちゃん!?」


「だ、大丈夫です。

もう治りましたから」 


「いや、全然大丈夫じゃないだろ。

待ってて、直ぐに救急車呼ぶから」


「やめてください!!」


「そっか。

僕にはわからない事情とかかな。

どっちにしても僕の車で病院に行こう。

君はそこで少し待ってて。僕はここからすぐ近くの駐車場に車を取りに戻っててくるから」


「違います!

それに、症状次第とは言え、みんながみんな毎回病院に行ってるわけではありません。

ひかるさんは何か勘違いをしています。

これ以上ひかるさんに誤解をさせて迷惑をかけしまっても申し訳ないのでハッキリ言います。

今、私は生理ではありません」


「ごめん……。

女性の口から言わせちゃうなんて、僕は男として最低だね」


「そんな落ち込まないでください。

私はひかるさんをデリカシーが無いなんて思っていませんから。

この症状、実は今回だけに限ったことでは無いんです。

 今日ひかるさんと久しぶりの再会を果たした私は、一旦家に戻ったんです。

そして、ひかるさんとの過去の記憶を思いだそうとしていたちょうどそのタイミングで今回と同じように頭が痛くなりました。

ですので、私は本当に大丈夫ですから安心してくださいね」


「了解。

でも、無理はするなよ」


「はい♪」


「よろしい♪

それで、愛理栖ちゃん?

君の話途中だったよね」


「そうでしたそうでした!

私、ひかるさんが女性に対して紳士的な人だってこと昔から覚えてたんですよ」


「そうなの?

じゃあさっきは何で?」


「今回たまたまご縁があって再会するまでに何年も経っていますからね。

ひかるさんが周りの男達から悪い影響を受けて毒されていないか試したんです♪」


ちどイ!」


「アハハ♪」


「ちょ、そんなに笑うなよ」


「アハハ、ハハハ♪

可笑しすぎて横腹が痛いです。

だって、今のひかるさんの表情ギャグ漫画みたいにわかりやすすぎるんですもん。

してやられたって悔しそうなその表情、

傑作です♪」


「こいつー!」


「ひかるさん、でこピン痛ったーい!

暴力反対!」


「ごめん、ちょっとからかい過ぎた」


「そうですよ。

調子にのり過ぎですよ」


「お前が言うな、お前が」

ポン!

「ぐへぇ」


「さっきはありがとな」


「え? なんのことですか?

って、えー!?

急にどうしたんですかひかるさん!?」

 僕は何かを思いついた時のようなフットワークで、次の瞬間には驚きに目を丸くした愛理栖の至近距離まで距離を詰めていた。

 しかし、僕が至近距離まで近づいた後、何故か愛理栖は目と口を閉じ正面よりやや上を向いていた。


「いいのかい、愛理栖ちゃん?」


「はい。いちいちそんなこと聞かないでくださいよ」


愛理栖の返事を確認した僕は、彼女の頭にそっと片手を載せた。


ビクッ!

「大丈夫か、愛理栖ちゃん?」


「大丈夫です。

ひかるさんの行動が私にとって予想外だったものですから。

すみません」


僕は愛理栖の台詞対してあえてリアクションを返さなかった。

なんとなく今の彼女は返事を求めていない気がしたから。

まるで愛しい飼い猫を撫でる飼い主のように、

僕はただただ静かにゆっくりと愛理栖の頭をさすり続ける。


しばらくの間そうしていると、愛理栖は目を瞑ったまま僕に話しかけてきた。


「ひかるさん?

さっき私にありがとうって言ってくれましたよね?

あれはどういう意味からですか?」


「僕がどこの馬の骨ともわからないような男として自分自身を例えようとしたとき、

君はキッパリと強く否定してくれたじゃないか。

あのときは本当に嬉しかったよ。

ありがとね、愛理栖ちゃん」


「あー、あの時ですね。

実はちょうどあの時、私の心の中にある人物の声がして、私自身に対してではなくひかさんを馬鹿にされたんです。

私が馬鹿にされるならまだ我慢できますが、

ひかるさんを馬鹿にされたのが私許せ無かったんです」


「なるほど、あのときはそういった事情があったんだね。

でもさ、同じ話を繰り返しちゃうようだけど、

愛理栖ちゃんにはまだ時間がたっぷりあるんだからさ、未来の自分の幸せをちゃんと考えた上で後悔が無いよう相手を選んでもらいたいと僕はそう思うよ」


「はい?」


「え?

僕の今の説明、もしかして難しくて意味わからなかった?」


「いえいえ違いますよ」


「違うってどういうこと?」


「あれは冗談です♪」


「冗談かい!!」


「中学生の私が社会人のひかるさんと結婚したいなんて本気で言うと思います?」


「え? 男女の恋愛には年の差や出会ってすぐ勢いで親密になっちゃうケースだってあるもんじゃないの?」


「フフフ♪」


「えー!?

何がおかしいんだよ?」


「ひかるさんは純粋で可愛いですね。

確かに男女の間の恋には年齢は関係無いとは思いますが、私とひかるさんの場合は一緒に同じ時間を過ごした思い出の蓄積が少な過ぎです。

とくに私は男性を少しずつ好きになっていくタイプですし」 


「え?

じゃあつまり、さっきのは僕の早とちりで、

恋愛に対してがっつき過ぎだと、そういうこと?」


「はい」


「グサー!!」


「ひかるさん急にお腹を抑えてどうしたんですか!?

大丈夫ですか?」


「いや、大丈夫だけど。

ショック受けたときって普通こうやってお腹抑えたりしない?」


「どこの普通ですかー、それ?

しませんよー!

私、ショック受けたときグサー!!、

ってこんな大袈裟に反応する人初めてみましたよ」


「へー、そうなんだね。

じゃあさ聞くけど、僕が愛理栖ちゃんの頭を撫でようと近づいた時に君が目を瞑ってたのはどうして?」


「あれは……」


「あれは?」


「私てっきりひかるさんにキスされちゃうとばっかり」


「そんな気無かったんだ、残念!」


「グサー!!

ひかるさん、あれってこんな感じですか?」


「こら、真似したなー!?」


「はい、師匠の真似しちゃいました♪」


「まあでも、僕にキスされちゃうって思うってことは、少なくとも僕は愛理栖ちゃんに異性として意識されちゃってるってことだよね?」


「もー!

ひかるさ〜ん?

またすぐそんな風に自分に都合のいいように解釈して私をからかう!

違〜い〜ま〜す〜!

私はもしひかるさんがあのとき私の唇を奪おと迫ってきたら、ハンカチを口の中にねじ込んで思いっきり笑ってあげようと思っていましたから」


「グサー!!」


「おー、またグサー!ですか。

流石師匠!

私にはそこまで上手く演技できません。

ところでひかるさん?」


「どうしたの?」


「私達、いつの間にか話が大分それちゃいましたよね」


「確かにそうだね。

僕達、最後どんな話をしてたっけ?」


「え〜と確か、私の裸をみてもひかるさんは欲情しないって言う……」


「そうだったよね」


「まあ、でもさっきは私も言い過ぎだったなって

今になってちょっと反省しています」


「え、どういうこと?」


「私、世の中の多くの男性が私を見る目に対してあんな厳しいこと言いましたけど、

その相手がちゃんと私の内面も見てくれて女性の生き方を大切に考えてくれる相手なら、少しは大目にみてあげてもいいかなって。

ひかるさんも、本当は私の裸をみて欲情してしまったんですよね?

私、大切な人には綺麗事や建前とかで誤魔化して欲しくないから聞いているだけで、ここは正直な気持ちを言ってもらっても大丈夫ですよ」


「大丈夫、心配しなくていいんだよ愛理栖」


「私、ひかるさんからそんな風に言ってもらえて嬉しいです。

ありがとう……ございます♪」


「僕は君の裸をみても絶対、欲情しないから!」



「は?

はぁー!!?」


パチッ、パチッパチッ!


「え?」


「・・・・・・」


「あの……、愛理栖さん?

 あなたの髪に溜まった静電気がどこぞの国民的バトルマンガの戦闘民族やビリビリ中学生みたく激しく放電はじめてるみたいですけど。

無言で下を向いて大丈……」


「・・・・・・最低!!」


「へ?え?え?」


「それ、逆に傷付くわ!」


「え? ごめん……」


「デリカシーを微塵も感じさせない貴重なご意見

どうもありがとうございました。

空気を読むということを知らない哀れなお兄さん」


「えー?

誤解だよー!

頼むから先ずは落ち着こう。

一度深呼吸をして、それからちょっと僕の話を……」

「ひ、ひ、ひかるさんの馬鹿野朗ォォォォォー!!!」


チィ~ン!!!

※擬音語です


「ぐ!?ぐはぁぉぅっっつ!!!」

少女のビンタは僕の右頬に見事クリーンヒット!

僕の体はまるでコマが回るときのように横方向に高速回転しながら勢いよく弾け飛ぶ。

 本作を読んでいただいている読者が想像するイメージ空間より遥か場外まで僕はぶっ飛ばされた。



 その後しばらくすると、 服を着に部屋を出た少女が恥ずかしそうにぶつぶつ独り言を言いながら戻ってきた。


「さっきは・・・ごめん」


「もぉう、いいですよっ!

言っときますけど、

私の服や下着はきっと、奴から私への嫌がらせで消されたんですからね。

あなたのお母さんや職場の人達と一緒で」


「はい……、了解!」


「本当にわかったんですかぁ~?」


「うんっ、うんっ!!」

僕は威圧的な少女に押され素早く首を縦に振った。

「わ、わかればまあ今回命だけは取らないであげますよ」


「アハハ。

ところで話がかなり脱線しちゃったけど、

その原因っていうのは何?

いいや、誰なの?」


「神様ですっー!!


・・・・・・

「はいっ?

今なんと」

僕は耳を疑った。


「だから神様ですよ」

まるで目の前のカーテンでも開けるかのように、

少女は無垢むくな瞳でそう告げた。


「……、


ナンデストー?」

僕は目を皿のようにして驚いた。



「正確には神様じゃないですけどね。


この宇宙を消そうとする相手も、

そして実は私も、

どちらも『5次元人』なんです。


ただし、今の私にはまだ宇宙を救う力はありません。

それはまだ私が、人の姿を借りた5次元人の見習いだからです。


5次元人は代々、本当の名前を親から受け継いで幼くして大人になります。


ですが、私には本当の名前を教えてくれる母親はいませんでした。


本当の名前を受け継ぐか、人の姿を借りて人間として生き続けるかはもちろん選ぶ事はできます。


ですが私は、自分がなぜ5次元人として生を受けたのか、

その"真実ほんとう理由いみ"をどうしても知りたいんです。


そして、5次元人になる事で、

大好きなこの宇宙を守りたいんですよ。


今までの説明でおわかり頂けましたか?」


「は?まぁなんとなく…」


「急いでいます!

だからお願いします!

いっ、一緒に……、私の名前真実の名前、探してもらえませんか?」


話の内容が支離滅裂しりめつれつ過ぎて、

僕は目を丸くしたままその場に立ちつくしていた。


↑【登場人物】

•ひかる

愛理栖ありす


※第1部の主要登場人物について詳しく知りたいかたは、

第1章エピローグ後の『第1章 主な登場人物』をお読みください。


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