第368話 造作も無いことなのです!!
ヴィスデロビアがこうして待ち構えてる事は別に良い。
そもそも、門の外に転移して来た時点で気付かれていたでしょうしね。
でも……何でまたあの玉座っ!?
2回も! 2回もあの漆黒の椅子を破壊したのにっ!!
ふ、ふふ……ふふふ、良いでしょう! またしても僕の前に立ちはだかると言うのであれば、完膚無きまでに塵すら残らず消し去ってやりましょうっ!!
「お嬢様」
「大丈夫ですよ、メルヴィー」
かなり、非常に、この上なく頭に来てますけどこの程度の挑発には乗りません。
しかし……ヴィスデロビアもやってくれますね。
ニヤニヤしたあの憎たらしい顔! 確実に僕のことを馬鹿にしてます!!
「クックック、どうやら幼女神様はご機嫌斜めのようだね?」
よ、幼女……い、いや、落ち着くのです!
こんな程度の低い挑発に踊らされてはナイトメアの名折れ! 余裕の態度で対応するのです!!
「ふぅ……それで満足しましたか?」
「どういう事かな?」
「ぶっちゃけ、確かに機嫌は悪いですよ?
なにせ、仲間を殺された上に2度も逃げられてますからね」
「クックック、べつに逃げた訳ではないですよ。
あれは戦略的撤退と言うのです、ご存知無いかな?」
「モノは言いようですね。
そして何より、お前の相手をするのはもう飽きました」
ぶっちゃけ、とっとと終わらせたい。
そしてモフモフの楽園に埋れたい! 惰眠を好きなだけ貪りたい! 自堕落な生活を送りたい!!
「いい加減、決着をつけるとしましょう」
「はっはっは! 飽きたとは言ってくれる。
確かにお前は強い……が、それでも私には及ばない。
ネルヴィアと一緒になってやっと互角と言う事を忘れたのかな?」
「ネルヴィア様と2人かがりで互角、ですか……」
本当にそう思われているのであれば心外ですね。
先程はメルヴィー達が心配するから万が一にもケガをしないように段階式にギアを上げるつもりでしたが……
「幼女神、お前では私には勝てなぶっ!?」
「っ!!」
余裕綽々といった感じで長々とほざいているヴィスデロビアの顔面を思いっきりぶん殴る。
正真正銘、全力全開! 全速力で切迫し、ガチでぶん殴ってやりました!!
顔面のど真ん中、つまりは鼻を完璧に捉えた拳を振り抜く。
漆黒の玉座を粉砕しながら、それもろともヴィスデロビアが地面へと叩きつけられると同時に地面に亀裂な走って大地が割れて陥没する。
焦った様子で先程のメトリーさん達を遥かに凌駕する膨大な魔力を滾らせてシエラが動く。
僅かに腰を落とし、腰に下げている剣の柄は添えるように握られていますね。
この構えからして抜刀術による居合斬り。
流石は魔皇神でも最強の存在にでヴィスデロビアの眷属です。
ダブル上位であるメトリーさん達ですら反応すらさせずに一刀の下に斬り捨てるだけの速度と、膨大なエネルギー……ですが……
「くっ!!」
まだ遅い!
剣を抜き放とうとしたシエラを翼で薙ぎ払って吹き飛ばしつつ、崩れ行く地面へ向けてヴィスデロビアへと追撃の滅光魔法を放つ。
半球上に白く眩い光が広がり、一瞬にて隕石でも落下したかのようなクレーターが完成した。
「僕がネルヴィア様と2人かがりでやっと、お前と互角?
笑わせないで下さい」
舞い上がった砂塵や瓦礫をも消し去り、綺麗なすり鉢状のクレーター。
その中央から水滴が地面に当たって弾けるような音が鳴り響く。
「僕が本気になれば……」
クレーターの中央に佇むヴィスデロビアの右腕は半ばまで消し飛び、全身のいたる所から出血して血塗れ。
ヴィスデロビアを殴った場所から一歩も移動せずに、消滅した地面の代わりに宙に浮かぶ僕を油断のない鋭い視線が静かに射抜く。
やっとその本気になった様子のヴィスデロビアに向かって……
「お前に鼻血を出されることなど造作も無いのです!!」
胸を張って堂々と言い放った!!
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