第334話 大好きですっ!!

「……様……お嬢様! 起きて下さい」


「ん、うんぅ……めるうぃー?」


「はい、メルヴィーです。

 ほら、もうお昼ですよ、お目覚め下さい」


「うぅ……」


 起きる、目覚める、キライな言葉です。

 あぁ、身体が重くて動けないし、目が開かない……んぅ……


「すぅ……すぅ……」


「ではお身体を起こして、身支度を開始させて頂きます」


 ふ、布団が……寒い! けど眠い。


「はっ! お、起きてますよ?

 めるうぃー、おはようございます」


 寝起きには定評があるのです!

 でも……起きないととは思っていても、目蓋が重い!! それに……


「はい、おはようございます、お嬢様。

 では、お髪を梳かしますよ」


「め、めるうぃー、気持ち悪いです」


 き、気分が悪い……!

 頭も地味に痛いですし、吐き気がします!!


「昨夜、あんなにお飲みになるからです」


 だ、だって……昨日は宴だった訳ですし。

 それに昨日はやけ食い・やけ飲みの日だったのです! とは言え……この眠気すら吹き飛ばす気持ち悪さ!


「うぅ、二日酔い辛い。

 もう絶対にお酒は飲みません……! メルヴィー……」


「……仕方ありませんね。

 お嬢様、もう無断で状態異常無効を解除してお酒を飲みませんか?」


 た、確かに状態異常無効を解除してましたけど、そのせいで二日酔いになってる訳ですけど……

 でも宴ですよ? お酒を飲むのに一切酔えないなんて風情が無い!


 でも、もうお酒は飲まないと今心に決めました!

 脱、お酒! 脱、アルコール! そして目指せ! 脱、二日酔いですっ!!


「飲みません! もう二日酔いは嫌です! 禁酒します!!」


「お嬢様のそのお言葉は既に10回は聞いておりますが……わかりました。

 本日は大事な予定がありますし、お嬢様のお言葉を信じましょう」


 流石はメルヴィー! 救いの女神よっ!!


「では失礼致します……〝神能〟……」


 おぉ! ガンガン痛む頭痛も、ムカムカする吐き気も綺麗さっぱり!!

 寝起きの気だるさも無くなってますし。

 ふっふっふ! 完全復活です!!


「メルヴィー! 大好きですっ!!」


「っ!!」


 僕をあの苦しみから救い出してくれた、カッコ良くて優しい女神様!! もう抱き着いちゃいます!


「お嬢様、メルヴィー様、おはようございま……」


「お姉様? どうかしました……」


 あれ? ノアとシア、扉を開けるなり黙り込んでどうかしたのでしょうか?

 う〜ん、分かりません。

 とりあえず、挨拶しておきましょう。


「ノア、シア、おはようございます!」


「「お、おはようございます」」


 おぉ、流石は双子、息ピッタリです!!


「あの、お嬢様……」


「何ですか?」


「何故、ずっとメルヴィー様に抱き付いていらっしゃるのですか?」


 ノアさん、よくぞ聞いてくれました!!


「それはですね……メルヴィーが大好きだからです!!」


「メルヴィー様っ!!」


「お嬢様、とりあえずメルヴィー様から離れて、こちらにお座りになりましょう。

 ほら、お飲み物をご用意致しましたよ!」


「そ、そうですか? 分かりました」


 ノアに強制的に抱っこされちゃいましたけど。

 言われてみれば、起きてから水分をとってませんしね! 有り難く頂くとしましょう!!


「シア! メルヴィー様は!?」


「大丈夫、息はしています! 放心なさっているだけです」


「放心って……メルヴィー、大丈夫なんですか?」


 突然、放心するなんて。

 それに息って……もしかしてメルヴィー、どこか悪いのでしょうか?


「大丈夫ですよ、お嬢様。

 メルヴィー様は例の病気の発作を起こしておられるだけですので、どこも悪くはありません」


「そ、そうですか。

 それなら良いのですが……」


 う〜ん、不安です。


「少しすれば自然に復活なされますよ!」


「シアの言う通りです。

 本日は忙しくなりますし、メルヴィー様が復活されるまでに身支度をしておきましょう」


「分かりました」


 でも、恍惚とした面持ちで固まってるメルヴィーを見てるとやっぱり心配ですね。

 オルグイユと一緒に、後で神能を使った診察をするとしましょう!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回から真面目な話に突入……予定です!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る