第324話 一触即発です!!
「これより戦闘態勢に移行! 各々、事前の作戦どうり散開せよ!!」
「「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」」
上空から戦場を見下ろし俯瞰する軍勢の内、リーナとミーナが率いる第一軍団、ウィルシア率いる第四軍団。
そしてリリアーナ率いる第二軍団のおよそ半数の姿が掻き消える。
所詮は雑兵とは言え、攻勢に出ていた敵の大多数を撃滅して戦闘を一時的に中断させ。
敵主力の攻撃も容易く退け、軍団へと命令を下す……ふふふ、これはカッコイイ!
まぁ、攻撃を退けたのは僕じゃなくてエンヴィーですけど。
敵からしてみれば、あれは一体何者なんだっ!? ってなっているハズです!!
「ふっ、完璧ですね」
「何が完璧ですねじゃっ!!」
ビ、ビックリした……誰かは知りませんが、一人で悦に浸ってる時に突然怒鳴らないで欲しいですね全く。
「あれ? おぉ、ネルヴィア様じゃないですか!」
さっき砕け散った超大規模結界の後方。
今回の戦いに向けて建造された白亜の統一神界を囲う外壁の上に立つネルヴィア様。
「お久しぶりです! でもそんな所で何してるんですか?」
最後に会ったのはゼサータレンのお願いをされた時だから、約2週間前でしょうか?
しかし、ネルヴィア様は神勢力のトップなのにあんな場所にいて良いのでしょうか?
まぁ確かに常人の王とは違って、神王であるネルヴィア様は統一神界でも最強の一角なので、前線に出てくる事自体は不自然じゃないですけど。
それでもまだまだ敵の主力も出て来てないのに、ネルヴィア様が前線にいるなんて。
何か緊急事態でもあったのでしょうか?
「何をしているのかじゃと……ルーミエルよ、妾は確かに存分にやれと言った。
じゃがな……じゃが、これは幾ら何でもやり過ぎじゃろうっ!?」
ふっふっふ、ネルヴィア様ってば照れ隠しですね?
きっと僕の働きは完璧だったけど、敵を前にして威厳を見せる必要があるから気軽には褒められないって訳ですね。
「まぁまぁネルヴィア様、落ち着いて下さい。
ネルヴィア様が言いたい事、このルーミエルはしっかりと分かっていますから!!」
「えぇい! お主は何も分かっとらん!」
「えっ?」
いやいや、そんなハズは……
「今の一撃、咄嗟に妾が間に入ったから良かったが。
余程だけで一瞬にして特製結界が消し飛ぶ威力など、危ないじゃろっ!!」
そ、そんな事言われても……
「だって存分にやれって……」
「それはそうじゃが、加減と言うモノがあるじゃろう!?」
「で、でも……僕は言われた通りにやっただけですし……」
うぅ、あれは確実に僕に対して怒ってます! ど、どうすれば……
「お話の途中申し訳ないが、よろしいかな?」
おぉ! 貴方はメシアか!?
「ヴィスデロビア……」
ヴィスデロビアでした!!
いや、何にしろナイスです! お陰で話がされました。
「お久しぶりですね、神王ネルヴィア。
ご機嫌はいかがかな?」
「貴様、よくものこのこと妾の前に顔を出せたものじゃな。
機嫌じゃと? これが良い様にでも見えるのか??」
おぉ! 良いですよ!
良い感じにネルヴィア様のヘイトがヴィスデロビアに向かってくれてます!!
まさに一触即発です!!
「それもそうですね。
見るからにご機嫌斜めのご様子、これは失礼しました。
しかし……ふっ、ふふふ」
「……何がおかしいのじゃ?」
良いですよっ! もっとネルヴィア様を煽れ!!
そして僕に対して怒っていた事も忘れる程にネルヴィア様を怒り狂わせるのですっ!!
「いえ、失礼。
ただ我が軍勢と統一神界の神々、そしてナイトメア。
この三竦みの勢力の内、2つの勢力の頂点に立つ者がどちらも年端もいかない幼女だと思うと……クックック、ここは幼稚園か何かな?」
「「はぁ?」」
ネルヴィア様と声が被った……いや、そんな事はどうでもいい。
それよりも、コイツは今何と?
「ネルヴィア様、僕の聞き間違いでしょうか?
今、幼稚園って聞こえた気がするんですけど」
「奇遇じゃなルーミエルよ、不思議と妾もそんな空耳が聞こえたわ」
ネルヴィア様もですか。
そんな偶然があるとは……
「あはっはっは、空耳ではないよ。
面白い幼女達だね貴女達は」
「あはっはっは……」
「クックック……」
幼女? 幼稚園??
言ってくれるじゃないですか……
「塵も残さず消し去ってやるっ!!」
「余程死にたい様じゃなっ!!」
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