第255話 魔力量計測試験です!
再びチラチラと向けられる受験生達の視線の中、試験官さんの後をメルヴィーに抱っこされて移動する。
今はそれに加えて、付き添いの人達の視線まで……
うぅ、胃が痛い。
これで体調でも崩したらフォルクレス達のせいです! 最高峰の堕落生活を要求してやりますっ!!
チクチク刺さる鬱陶しい視線に晒される事数分、辿り着いたのは体育館の様な建物。
どうやら、他の教室で筆記試験を受けていた受験生達もいる様ですね、人がいっぱいです!
押し開かれている大きな扉を潜ると……
「おぉ〜、これは壮観ですね」
超巨大な水晶に接続されたこれまた巨大なスクリーン。
全部でそれが十組。
どうやら、各教室に分かれた受験生達の組分け分ある様ですね。
「ふむふむ、あの水晶に触れると魔力総量が権能で計測され、あのスクリーンにも映し出されると言う訳ですか」
まるでショーですね。
受験生同士は勿論、在校生達の競争心を煽る為なのでしょうが……良い気はしませんね。
「こちらの水晶は全て連動していて、それこそフィフスの神々が全力で魔力を込めても壊れる事はありません。
また、この試験で消耗した魔力はこちらで用意している回復薬で全快しますので、気負う事なく全力を尽くして下さい」
それなら確かに、受験生が全力を出しても問題なさそうですね。
しかもバックアップも完璧、流石は最難関の名門と呼ばれるだけはあります。
「では、アルターさんからお願いします」
「は、はいっ!」
アルター君、かなり緊張してる様ですね。
もしかして、筆記試験が上手くできなかったのでしょうか?
まぁでも、これで受験生の魔力がどれ程のものか分かります!
存分に見させて頂くとしましょう!
「はぁぁっ!!」
アルター君の魔力が高まり、緩やかな風を巻き起こす。
流石に神に至った存在、しかしこれは……
184600000
「「「おぉ!!」」」
スクリーンに映し出された数値に、体育館全体からどよめきが起こる。
「約1億8500万……嘘でしょう?」
「お嬢様、残念ながら事実でございます」
マジですか。
流石にこれは想像以上です……
「1億8460万、これは素晴らしい記録ですね」
周囲のどよめきと、有能試験官さんに褒められた事で、先程まで緊張でガチガチだったアルター君が生き生きとしています!
「では、次は……」
アルター君以降、突出して高い魔力を誇る人は現れず。
今までの平均で言うと、1億2000万前後と言ったところでしょうね。
まさかガチガチアルター君が現状最高記録とは。
アルター君、もうすっかり良い気になってますね……あっ、目が合ってしまった。
さり気なく晒して……
「やぁ、麗しいの姫君」
えっ? こ、これってまさか、ナンパですかっ!?
しかもナンパ相手が、メルヴィーとか……自殺行為ですかね?
「貴女、この私の配下になりませんか?
フッ、こんな子供の従者など美しき貴女には相応しくない」
も、もしかしなくても今、僕を見て鼻で笑った上に、こんな子供って!
ま、マズイ! これは非常にマズイ緊急事態ですっ!!
「あっ、あのメルヴィー、落ち着きましょう?」
「メルヴィーと言うのかい?
ふふ、メルヴィー、貴女に相応しい場所は、いずれナンバーズになるだろうこの私の隣さ」
もう黙って下さいよっ!?
あぁっ! メルヴィー覗く視線が絶対零度の眼差しに……もうダメっ……
「「「おおぉっ!!!」」」
な、何が?
先程のアルター君を超えるどよめき……まぁでも何でも良いです!
とにかく、チャンスは今しかありませんっ!
「ほら! メルヴィー、何があったのか見に行きましょう!!」
「かしこまりました」
助かったぁっ!!
いやー、話を逸らせて本当に良かったですっ!
「あっ、おい待……なっ!?」
何やら言おうとしたアルター君が唖然と目を見開いて動きを止める。
彼の視線の先にあるスクリーンには……
532900000
「ふん! 当然ね!」
「5億3290万! アイリースさん、素晴らしい記録です!!
この記録は今のところ今回の全受験者で最高の数値です」
アイリースさん、なかなかやりますね。
まぁ何にせよ助かりました、なんかちょっとツンデレ属性っぽいけど、心の中で感謝しておきましょう。
「では最後はルーミエルさん、お願いします」
おっ、ついに僕の番ですか!
と言うか最後って、アルター君の対応をしていたせいで、あんまり見学出来ませんでした……残念です。
「お嬢様、全責任はフォルクレスとネルヴィア様、オシークス様にあります。
どうか、先程のゴミを黙らせて下さいませ」
ど、どうやら相当我慢の限界だった様ですね。
これはメルヴィーの為にも、頑張らなければっ!
「最後に確認しますが。
試験官さん、本当に全力でやって構わないんですね?」
「ええ、構いませんよ」
「分かりました」
怪訝そうな顔をする試験官さん。
有能と言えど、トリプル以上の神でなければ持っていない神能が無ければ、僕のエネルギーの隠蔽は見抜けない!
「では……」
押さえ込んでいた魔力を解き放つ。
「っ!」
僕の中で渦巻く、膨大な魔力を垣間見て、試験官さんが息を呑む。
果たしてこの体育館の中に、僕の魔力に気付けて人がどれ程いたか。
「少し、本気でいきましょう!」
計測用の巨大水晶に手を伸ばし、触れた瞬間……
ピシッ!
体育館中に高い音が響き渡る。
しかしそれも一瞬の事、次の瞬間には全ての水晶が砕け散り、チリとなって消滅した。
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