第214話 ナメられたモノです
「ミニャァーオ」
子猫……カワユイ!
けど、流石にノア達のモフモフ度には劣けど、この小さく丸まった姿……癒されます!!
とは言え……
「こ、子猫を愛でるお嬢様!
ぐへへ……尊いぃっ!!」
いつまでも現実逃避している訳には行きませんね。
頬を赤く染めて上気させ、恍惚とした顔で身体を捩る。
端的に言って、エロい。
これがお子様ボディーの僕には不可能な、大人の女性の魅力!
流石はメルヴィーですね……ちょっと怖いけど。
「こほん」
「はっ!? 如何なさいましたか?」
しれっと今のを無かった事にしたっ!?
「えっと……何でメルヴィーがこの世界に?」
「私はお嬢様の専属メイドですので」
いや、そんな『何を当たり前のことを』みたいな感じで言われましても。
「そうじゃ無くて、どうやってこの世界に入って来たのですか?」
僕をこの世界に閉じ込めたあの魔法。
超越者たるリーリスが複雑な魔法陣を用いないと行使できない程の魔法。
恐らくはリーリスの神能の権能でしょう。
神能とは超越者に至った者でも、一握りの存在しか至れぬ境地。
魔神の側近の一角だったリーリスなら至っていても何ら不思議では無い。
まぁ尤も、僕も含めて、眷属であるコレール達も全員その境地に至っていますし。
ぶっちゃけ、そんなに凄いって印象は無いんですよね。
「私の神能〝常闇ノ帝〟は全ての影と闇を支配し、時空すらも超越します。
リーリスの神能は所詮〝王〟クラス。
専属メイドたる私をお嬢様から引き離す事は不可能です」
「えっ? メルヴィーの神能ってメイドの仕事に特化してるって言ってませんでしたっけ?」
「それはもう1つの神能〝奉公ノ王〟の事ですね」
今さらっと、神能が2つある事を暴露しましたね……
「しかしお嬢様、随分とお楽しみの様ですね」
「そ、そそそ、そんな事はありませんよ?」
「とてもそうは見えませんが?
外では皆様が戦っていらっしゃると言うのに……」
何を仰いますか!
膝には子猫を乗せ、手には漫画、魔力を操ってスイーツを食べる……
言い逃れ出来ませんっ!?
「くっ! そ、それならメルヴィーだってさっき!」
「何でしょうか?」
「だからっ!」
「何でしょうか?」
「い、いや、何でもありません……」
くっ! こうなれば、僕も無かった事にするしか無い!!
「こほん、早く脱出しますよ!」
「承知致しました」
子猫は少し……かなり! 滅茶苦茶、名残惜しいですけど……致し方ありません。
向こうに戻ったらノア達に癒してもらうとしましょう。
「それにしても、嘗められたモノです。
この程度で僕を閉じ込められると思っていたのでしょうか?」
この世界は実在しない幻覚の様な物。
言ってしまえば、サキュバスなどの悪魔が作り出す夢の世界と同じ。
まぁ、神能で展開している分、たちが悪いですけど。
本物の世界を創造出来る僕にとってはこの程度、何の意味も為しません!
「神能〝創世ノ神〟」
リーリスが創り上げた、この夢の世界を支配し、管理権を奪い取る。
「さぁ、行きましょうか」
2つの世界を繋ぎ合わせ、世界を渡る扉を開いた……
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