第140話 ユートピアです!!

「こ、これは……」


 目の前の光景に唖然と呟くメルヴィー。

 まぁ、当然の反応ですね。

 この光景を前にすれば、誰だって驚愕に目を見張る事間違い無しです!


「お嬢様、これは?」


「よくぞ聞いてくれました!

 この場所こそ、僕がほぼ3週間もかけて完成させたユートピア。

 僕の好きな娯楽を集めた、僕の遊び部屋です!!」


「おぉっ!!」


「流石です、お嬢様!」


 そうでしょう、そうでしょう!

 シアとノアが褒めてくれますが、これ僕も自信を持って胸を張れます。

 だって、自分で作った場所なのにさっきからドキドキが止まりませんからねっ!!


 壁一面に備え付けられた壁面収納を埋め尽くす漫画、ラノベの数々。

 壁面収納には耐紫外線の結界が張ってあるので日焼けする心配は一切無し。


 正面には壁に埋め込まれた100インチの巨大テレビに地球で人気を誇る様々なゲーム。

 ゲーミングPC用のディスプレイも6枚完備。

 ハードはちょっと改造して量子コンピュータ並みの計算速度を誇り、ラグなんて皆無。


 人をたくさん呼んだ時用に、天井には映画館並みのスクリーンとスピーカーを仕込み。

 後ろにはバーカウンターを設置。


 神能を使って、ほんの少しだけ地球と繋げる事でネットすら利用可能。

 この場所のデザインに時間はかかりましたが、まさにユートピアと言えるでしょう!!


「では、この場所は軍事とは一切無関係なのですね?」


「ん? そうですけど?」


 すると、何故かホッとした胸を撫で下ろすメルヴィー。

 どうかしたのでしょうか?


「それを聞いて安心致しました。

 お嬢様がお昼寝まで削って作業なされていたので、神々との戦争のご準備をされているのでは? と少し心配していたのです」


 神々と戦争って……まさか、そんな面倒な事を僕がする訳ないじゃないですか!

 まぁ、向こうが敵対してくれば、話は別ですけど。


「でも、何でメルヴィーはそんな事を思ったのですか?」


「それは……以前、お嬢様が大神達に文句を言いに行くと仰っていたので。

 その際に大神達とご喧嘩なされたのでは、と思いまして」


 ちょっと喧嘩しただけで、3週間も準備に費やして本気で攻め込むって、僕はそこまで非常識じゃないです。


「確かに」


「お嬢様なら有り得ますね」


 あ、あれぇ?

 皆んなの中で、僕ってそんなイメージなんですね……ちょっとショックです。


 もし仮に僕が本気で神々と戦うつもりなら、情報局もあの程度にしません。

 魔法を用いた完全ステルス、滅光魔法と各種耐性を用いたバリア。


 神能を用いて、対象にゼロ距離転移する銃弾に空爆用の爆弾。

 そんな戦闘機を乗せる要塞としてデ◯・スター……は合衆国政府が作らないと公言したので作りませんが。

 同程度のサイズの移動要塞を。


 主砲としては〝殲滅ノ神〟の権能を用いて、世界の空間軸ごと抉りとる、防御不可能な攻撃方法を確立。

 僕が本気にならばこの程度は、当たり前です。


「う〜ん、なんかス◯ー・ウォーズが見たくなって来ました。

 折角ですし、皆んなで見ましょう!」


















「やっぱり映画と言えばポップコーンですよね。

 それにしても、こうして映画を見ていると本格的にデ◯・スターを作ってみたくなってきました」


「ですが、あのサイズの物を作るより、我々が生身で戦った方が効率がいいと思いますが?」


 メルヴィーさん、なんてロマンのない事を……まぁその通りですけど。


「でも、お嬢様なら本当にお作りになりそう」


「確かに、こっそりと星作って、それ破壊して、映画の再現とかなさりそうですね」


「うぅ……そ、そんな事しませんよ! 多分」


 断言出来ないところが、我ながら情け無いですね。

 デ◯・スターはしなくても、ライトセイバーとかならやりかねませんしね。


「そんな事より、早く次のヤツを見ましょう……と言いたいところですが。

 コレールからの連絡がありました、お仕事の時間のようです」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る