第105話:その頃彩乃はⅢ

しかしいつもの優しい明日香しか知らない&まだ少し幼いあかりはちょっとビックリしてしまったようで、どう返事をすればいいか分からないといった感じだったため話を戻すことにした私は


「じゃあちょっと本人にあかりのことが嫌いなのかどうか聞いてみよっか」


「えっ⁉ ちょっ、佐々木先輩⁉ もしそれで本当に嫌いって言われたら私どうすればいいか分からないんですけど! って、既に一之瀬先輩の方向いてるし!」


ひーくん達とは距離があるとはいえあんまり大声を出すと聞こえてしまうからか驚きつつも極力あちらに聞こえないよう声量を抑えながらそんなことを言ってきたが、既に返ってくる答えが想像できている私はお構いなしにそのまま


「ねえ! ひーくんってあかりのこと嫌いなの?」


「別にー!」


(やった~、一字一句全部当たってたぁ♪)


「その反応からするに先輩からどんな答えが反ってくるのかだいたい予想がついていて、それがドンピシャで当たっていたってところなんでしょうけど……こっちは本当に心臓に悪かったんですけど!」


「まあまあ、あかりちゃんが怒りたくなる気持ちも分かるけど一旦落ち着いて。って言っても納得いかないだろうから」


そこで言葉を切った明日香は嬉しすぎてニマニマが抑えきれていないのが自分でも分かるくらいご機嫌な私の方を見てき、『あの件について話してもいい?』とアイコンタクトで聞いてきたため首を一度縦に振ると再びそれで『オッケー』と返してきてから


「これから話すことは他の一年生部員には内緒にしてほしいんだけど………」

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