第73話:お互いに愛し合う (上)

なんて若干オカルトみたいなことをさっきよりも更にぽわ~んとしてきている頭で考えていると、いつの間にかソファーの隣にあるコンセントにドライヤーのプラグを差していたらしい彩乃が俺の左膝に優しく触れ


「ちょっと足を閉じてくれる?」


「うん」


「……そうそうオッケ、オッケ。それじゃあ今からひーくんの髪の毛を乾かすね。ということでお邪魔しま~す♪」


そんなよく分からんことを言い出したかと思えば彩乃は俺の両足を跨ぐようにしてソファーに膝立ちし、そのままゆっくりと腰を下ろしてきた。


「抱きしめていい?」


「私も早くひーくんに抱きしめてほしくてしょうがないけど、今それをしちゃうと後ろしか乾かせなくなっちゃうからまだダメー。……でもこのままだと後ろにひっくり返っちゃうかもしれないから、ちゃんと押さえててほしいなぁ」


「………ん~ぅ、彩乃の腰に両手を回したら更にじれったくなった。私服姿の彩乃

を抱きしめるのもいいけど、もふもふパジャマの彩乃も抱きしめたぃ」


今彼女が着ているパジャマの肌触りが凄くよかったり、着ている服の素材によってその人の温もりや同じ場所でも触れた時の感触が全然違うという新発見だったり、色々と昨日とは状況が違ったり……etc.


という感じで時間が経てばたつほど自分の意志とは関係なく彩乃を求める欲求が高まり続けていっているのだが、それはあちらも同じなのかちゃんとドライヤーをかけてくれながらも……じわじわとこちらに迫ってきていた。

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