第68話:初めてのお泊り

約束通り着替えを持って部活に来た彩乃と一緒に夜ご飯の材料を買いにスーパーに寄りながら帰宅したまではよかったのだが、何故か家事という家事を全て禁止されてしまい今は彩乃がお風呂からあがってくるのを一人居間のソファーに座ってゲームをしながら待っているところである。


ちなみに俺は彼女が洗い物をしている間に入らせてもらった、というか半強制的に入らされた。


とかなんとか考えていると洗面所の引き戸をスライドさせる音が聞こえ、もこもこのフード付きパジャマとショーパン姿の彩乃が部屋に入ってきた。ちなみにデザインは薄ピンクと白の二色で幅の広いボーダー柄である。


「ひーくんお風呂と洗濯機ありがとう。ちゃんと乾燥機もセットしておいたから全部終わったら畳んでおくね」


「………………」


「んっ、どうかした?」


「かあいい、です。……正直かあいすぎて寝るまでずっとくっついていたい……です」


(昨日の件を踏まえるにちゃんと言葉にしてあげたり、今後ずっと彩乃と一緒にいたいのならちょっといい雰囲気の中で体をくっつけあうだけでもそれはセ○クスであるという価値観を共有することが大事になってくるのではないかと考えて少し頑張ってみたけど……もう無理‼)


そう思った瞬間恥ずかしさの限界がきてしまい俺は上に着ていたパーカーのフードを勢いよく被りさっきの言葉を誤魔かすかのようにゲームを再開すると彩乃はそれを優しく下してきたのち、膝立ちになって下を向いている俺の頭を撫でながら


「私のパジャマ姿を可愛いって言ってくれたり、そんな私を見てイチャイチャしたくなってくれてありがとう。今私すっごく嬉しい……嬉しすぎてひーくんにくっついたら心臓のドクドクが伝わっちゃうかも」


「………………」


「でもまずはこの生乾きな髪の毛を乾かしましょう! ということでイチャイチャは少しだけお預けです♪」


「ん~ぅ~」


「そんなに物欲しそうにしてもだ~めっ。あとドライヤーをかける前にひーくんの顔に化粧水を塗っちゃうから一回目を瞑って~」

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