第38話:ネタばらし
『さぁ、そろそろネタばらしといこうか』
そんな言葉に続けて校長は俺達に座るよう勧めてきたので俺は先に佐々木を座らせ、それを確認してから別のソファーに座ろうとしたところ
『ひー、じゃなかった。一之瀬君は私の隣!』
と言ってきたので仕方なく同じソファーの一番端っこに座ったところ今度は怖い笑顔で、自分の隣をポンポン叩いて俺が座る場所を強制的に指定された。
「生憎私の部屋にジュースはないのでね、申し訳ないが温かいほうじ茶と貰い物の喜○福で我慢してくれ」
「ありがとうございます」
「うむうん……なあ、もう一個ないの?」
(やっぱ喜○福美味しいわ。あとで冷蔵庫から何個かパクって帰ろう)
「残りは冷蔵庫に入っているからもし欲しいのなら二人で仲良く分けて持っていきなさい」
「えっ、マジで? やったー、俺生菓子系ってめっちゃ好きなんだよね」
「毎回毎回そういったお菓子を頂いた時だけバクバク食べている姿を見ていれば嫌でも分かるよ。それよりもそろそろ話を進めたいのだが」
「一之瀬君、取り敢えず私の分あげるから校長の話を聞こう。ね?」
そう言いながら佐々木はどこか優しい顔で俺に自分の分の喜○福を渡してきた。
(⁇⁇ まあ貰っとくか)
ということでお礼を言ってからそれを頂き大人しく食べていると校長が
「うん゛っ、まずは荷物検査の件についてだがあれを行ったのは君達のクラスだけだし、校内放送を流したのもそこだけだということを踏まえて話を聞いてくれ」
そこから色々と話が続いたが簡単にまとめると
・校内放送と荷物検査をしたのは普通科2年2組、つまりは俺達のクラスだけ
・そのため荷物から煙草が見つかったのはA男だけ (B男はA男の後ろの席だったためギリギリセーフだった)
・教○委員会がなんちゃらというのは全部嘘。というかアイツらがそんな自県の恥をさらすようなことをするはずがない。まあ本当にそういうことをやっている地域もあるらしいけど
・A男を見せしめに使ったことは本当
・A男の処罰については窃盗&煙草の所持のせいで中々危ない状況だが、俺が怒鳴り込みにきたこともあるから何とか頑張ってはみる。そのために手は既に打ってある
という感じだった。
(校長の真の狙いが何だったのか分かりはしたけど、それでもやっぱり納得いかねえ。納得いかねえけど、A男が退学に追い込まれる可能性を一切考えていなかった俺の当初の作戦では失敗に終わっていた可能性が高いのも事実だ。……クッソ!)
「ここまでの話は分かりましたけど、結局最初からA男を見せしめに使った理由ってなんなんですか? 正直最初から助けるつもりがあったのなら一之瀬君の言う通りあんまりいい選択ではない気がするんですけど」
「今回のようなことが何回も起こされては困るからという理由もあるが、何もそれだけが理由じゃない。ちなみに佐々木君は何だと思う?」
「えーと、告知なしにいきなり荷物検査が行われるという前例を作ることによって生徒による煙草の持ち込みを抑制するのが目的だった……とか?」
「うーん、悪くない線をいっているが正解ではないかな。ということでイチ、答えをどうぞ」
「チッ、大体の人間は目の前で『それは流石にやり過ぎだろ』と思うような光景を目撃してしまうとその後に下す罰が甘くなりがちという心理を利用して、A男を退学ではなく停学で済まそう……ってところだろ?」
そう不機嫌気味に言うと校長は満足そうな顔で拍手をしながら
「ブラボー、流石はイチ」
(『ナイスアシストだろ?』みたいな感じでウィンクするな、クソ爺)
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