第33話:その頃彩乃は
一方的に電話を切られた時点でちょっとイラッときていたらしい明日香さんは、ひーくんから14時過ぎに折り返しの電話がくると小声で『遅い』と呟きながらそれに出ただけでなく、こちらの提案を全て断られた瞬間我慢の限界が来たらしく
『じゃー、もう帰りの飛行機のチケットはよーくんの分も私達が先生から貰っておくから! この馬鹿‼』
と可愛い声ながらもハッキリと怒っているのが分かるような声色で怒鳴っていた。
しかし私よりも先に、しかもあそこまでの怒りようを目の前で見せられてしまうとなんだかひーくんに文句を言いにくい感じがしてきて結局その件について有耶無耶になってしまった。
と見せかけてちゃんとその後のことも考えていたらしい明日香の作戦により私はひーくんの肩に寄りかかって寝たふりをしているのだが、この状態で私が起きたら何か言われるんじゃないかって怖がりながらも毛布を掛けてくれたり、ひーくんの匂いや感触が直接伝わってきたりとこの時点で既に幸せ一杯である。
なんてことを思っていたらもっとも~と幸せなことがあった私はひーくんがイヤホンをして目を瞑ったという情報が入った瞬間隣の席に座っている明日香に抱き着き
「(んん~~~っ♪)」
「(取り敢えず彼女か好きな人がいるのかどうかを知れればいいかなと思っていたんだけど、これは予想外過ぎたね)」
「(うん!)」
「(それにしても『どんな人なの?』っていう質問に対しては最初に『見た目は超可愛くて』って言ったのに、『なんで好きになったの?』っていう質問に対しては『多分超いい人』っていう言葉を最初に出してきたのはまたズルかったね)」
「(うん‼)」
「(それに加えて最後なんかはまだ自分ではよく分からないけど、確かに心では彩乃ちゃんのことが大好きっていうのが伝わってきたね)」
「(うん♡)」
その後も嬉しすぎて声を出して喜びたいのを堪えるため明日香に抱き着いたまま身悶え続けた。
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