第14話:体育祭の出場競技決め
「はい、じゃあ次にクラス対抗リレーに出たい人」
そんな我がクラスの体育祭実行委員の誰だかが挙手を求めると、足の速さに自信がある奴や陽キャどもが手を挙げたり、勝つためには誰々を入れるべきだと提案していたりする中俺は何をやっているかというと、会話全無視して読書中である。
何故そんなことをしているかって? そんなの出たくないからに決まってんだろ。
「○○は何かに手挙げた?」
「いや……えっと、まだだけど」
「んじゃあこの空いてるやつからどれか一つ選んで」
(あーあ、可哀想に。俺と同じ陰キャぼっち君がまた陽キャに捕まってしまったよ。まあ隙を見せたお前が悪いってことで、当日は頑張れよ)
「まだリレーって空いてる? 空いてるなら俺リレーも出たい」
「なら俺達は二人三脚にも出ようぜ」
はい出た陽キャどもの複数出場。勝ち確演出ですよこりゃもう。
「先生、取り敢えず決まりました」
「うーーーん、OK。じゃああとはこれを名簿にまとめて出しておいて」
「分かりました」
さて、少なくともうちのクラスは俺以外全員強制出場となってしまったようが、何故一人だけ無事にこの時間を乗り越えられたか解説しよう。
まず高校のこういった行事というものは小中学校と違い選手数がピッタリになるよう人数調整されていることが少なく10人くらいは複数出場、なんてことも珍しくない。
その為一人二人サボったところでバレないのは馬鹿でも分かること。しかしこれをサボるには少し頭を使う必要がある。
というのも体育祭実行委員がいらない気遣いをするタイプの人間だと目ざとく戸惑っている陰キャぼっちに声を掛けてくるからだ。しかしこれには一つだけ対処法がある。
それは何か? 答えは簡単。兎に角何でもいいから一切の隙を見せず、顔を下げ続けていることだ。そうすることによって相手は声を掛けずらくなり、大抵の場合はスルーされる。
ちなみにこの方法は変な奴だなみたいなレッテルを張られかねないが、陰キャぼっちだということがクラス中にバレている (多分) 俺からすれば今更である。
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