第73話 暗殺
お母様の女性も社会進出しないと! という力説は1時間ほど続いた。
ようやく解放された頃には、頭の中はパーティ後と言う事もあり――ぐるぐるしていた。
お部屋から出て行かれたお母様の後姿を見た時に、私はすぐにドレスを脱いでからベッドの上に――。
「とうっ!」
――と、言いながらベッドにダイブしてから仰向けに寝転がった。
私がドレスを脱いでいる間に足元でウロウロしていたルアちゃんもベッドの上に乗ってきて私の顔を舐めてくる。
私は、ルアちゃんを放置したままベッドの上で横になりながら思考を手放して呆けていると……やけにルアちゃんが甘えくる。
「この反応は――お腹空いたの?」
ベッドの上で仰向けになっていた私は、うつ伏せになりつつルアちゃんを見る。
するとルアちゃんは、私の口元を舐めてきた。
――やっぱり……。
「お腹空いているんですね」
私は、下着姿のままベッドから降りると、クローゼット前に歩いていき青いワンピースを取りだすと頭から被ってからサンダルを履いてからルアちゃんを抱いてから部屋を出る。
そして、シュトロハイム公爵家別館の調理場の中をチラッと見てから中に踏み入った。
調理場は、貴族学院の女子寮食堂に併設されている台所の数倍の広さがある。
私は、いつものお肉が保管してある場所を見ていくと――。
「食材がないです」
私はチラッと腕の中に抱き抱えているルアちゃんを見おろす。
私に見られたルアちゃんは、ご飯が貰えると思ってキラキラした目で見返してくる。
うーん。
困ったものですね。
犬ってお肉以外に何か食べられるのかな?
私はお肉保管庫には何もないのを確認しつつ、野菜保管庫を見て行く。
「たまねき、ニンジン、じゃがいも……」
これって犬は食べられるのかな?
うーん。
私の知識の中には、そう言った知識がないのが困る。
ササミは上げてもいいのは知っているんだけど……。
加熱すればいける?
お鍋の中に水を敷いて魔道コンロに魔力を流してから火をつける。
お湯になる前に、包丁を使いじゃがいもの皮向きしながら芽を丁寧にとっていく。
そしてお湯になったところでじゃがいもをお湯の中に投入し火を通す。
30分ほどしてからじゃがいもをお湯の中から取り出して、空中に魔法陣を描いて詠唱を行う。
そして自分の魔力を制御した生活魔法を発動させる。
木製の器の中に生活魔法で作った水を入れてからじゃがいもの表面を冷ました後に取りだす。
そして鉢の中にじゃがいもを2個入れたあと木の棒を使ってペースト状にすりつぶしていく。
「はい。これね」
私はすり潰した茹でたじゃがいもをお皿の上に盛ると、床の上に置く。
お手とさせた後に――。
「食べていいですよ」
私の許可が下りたのが分かったのかルアちゃんは、お皿に盛られたジャガイモを食べ始めた。
私は近くの椅子に腰かけると、じゃがいものペーストを食べている様子を見ながら欠伸をしてから厨房のテーブルの上に頭を乗せて瞼を閉じた。
しばらくして――。
足元の刺激から目を覚ますと私の足を必死に舐めてきているルアちゃんの姿があった。
床に置いたお皿を見るとどうやら全部食べきったみたい。
私はお皿を拾いあげるとボールの中に残っている水でお皿を洗ってから戸棚に戻し調理場から出た。
お部屋の前についた所でドアノブを回して中に入ろうとした所で、部屋の扉が内側から勢いよく開けはなたれた。
ルアちゃんを抱っこしていて油断していた事もあり私は通路で転んでしまう。
「一体――何が……?」
私は自分のドアの方へ視線を向けると、そこには見知らぬ男性が立っていた。
その男性は、ほとんど特徴の無い顔立ちをしていて身なりもあまり良くない。
でもその男性の私を見る目はどこか血走ってるように感じられる。
「お前のせいで……お前のせいで……娘は……アンネローゼは……我が家は……」
「え?」
私は断片的な話しか聞く事は出来なかった――でも……男性の言動を聞いて理解する。
目の前の中年の男性は、もしかして……。
男性は、懐から刃渡り10センチほどの短剣を取りだすと私に向けて振りおろしてきた。
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