第334話

「次に品行方正で、誰にでもやさしく戦いを望まない方です」


 男女平等ってことでいいのか? それなら女でも殴れるユウマさんだからな。

 品性公平だな。それに、相手がきちんと接してくればやさしくするし戦いは俺からはあまり仕掛けないからな。


 そう考えると、俺ってかなり男女平等だな!


「次に攻撃魔法が苦手ですが、仲間を作る才能があるそうです」

 

 ふむ……。

 仲間を作る才能は、よくちびっこ共にお菓子を上げた時には、ユウマさんユウマさんと尊敬されていたな。

 どうやら聞けば聞くほど、俺は聖人ぽいな! 


「それと聖人がいる土地は、豊かに実り魔物からの襲撃も受けなくなります」

 

 そんな事をウカル司祭様が言っいた気がするな。


「最後には巡礼の旅をして世界を救うと言われています」


 旅はしているが、ウラヌス十字軍の目を妹から逸らせるためだからな。

 世界を救うかどうかは、知らんな。


「どうですか? ユウマ様――聖人様というのは、どのような方か分かりましたか?」

 

 俺はエリンフィートの言葉に力強く頷く。


「ああ、まるで俺みたいな奴の事だな! むしろ俺こそが魔王にして聖人で間違いないと思う!」

「ええー……」


 エリンフィートは、嫌そうに叫んでいる。


 さて、エリンフィートが言っていた巡礼の旅をして世界を救うかどうかといった話だが…………そんなメンドクサイ事を俺がするはずがないだろうに。

 そんな、問題は勇者とかそういう存在にやらせておけば……そういえば、ウラヌス十字軍にユークラトスという勇者がいたな。

 あいつも一応、敵だからな……。

 そう考えてしまうと、勇者に世界を救ってもらうのも問題があるか?

 まったく困ったものだな。


 まぁとにかくだ。

 目の前の、エルフガーデンに住まうエルフ達の長老は、俺が聖人だと思って接触してきたと思って間違いないな。


「エリンフィート、俺を呼んだのは魔力が強い俺を聖人だと思って呼び寄せたという理由で間違いないか?」

「はい、一部そうです」

「一部?」


 俺はエリンフィートの言葉を聞きながら首を傾げる。

 

「実はお願いがありまして――」

「お願いがあるなら、冒険者ギルドを通してくれないか? 冒険者ギルドの規約で勝手に受けると色々と問題があるらしいからな」

「そ、そうですか……」


 エリンフィートは、一瞬だけ苦虫を潰した表情をすると俺に見られていたことに気が付いたのか、すぐに表情に笑みを浮かべて俺を見てきた。


「それではお話だけでも……」

「まぁ、受けるかどうかは別でいいなら話くらいは聞いてもいいが――」

「ありがとうございます。実は、エルフ特有の病についてなのですが――その病から村を救っては頂けませんか?」


 ふむ、病か……。俺も病だけは、どうにもできないからな。

 ――っていうか、俺が病にかかったら大変だな。

 さっさと、エルフの村を見捨てて別の町に向かってもいいかもしれないな。



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