第三章3

第141話

 いつものとおりクエスト完了の報告をする為に村の中を通っていると多くの人に声をかけられた。

 俺が植物プラントを倒してクエスト完了した場所は隣の町に続く街道だったそうだ。

 おかげで明日から街道を通れると言っていた。

 

 あとは俺が作った湖はすでに村では知らない人がいないらしい。

 まあ、あれだけの音だったからな。

 魔法で隠蔽もしていないのだから情報が漏れるのも仕方ないだろう。


「ユウマ君、これ食べな」


 屋台のおばさんが俺にリンゴを差し出してくる。

 俺はリンゴを受け取ると齧りながら冒険者ギルドに向かった。

 『冒険者が集う場所フェンデイカ支部』と看板に書かれている建物の両開きの扉を開けて中に入ると、冒険者ギルドには見慣れない男たちが何人もいた。


「あ、ユウマ。おかえりなさい」


 リネラスは、相変わらず砕けた口調で俺に話しかけてきた。

 もう少し公私混同を弁えた方がいいのではないだろうか?


 それよりも……男達はリネラスの言葉に反応して俺を見てきた。

 その目には俺を見極めようとしてくる意図が見え隠れしているように見える。


「リネラス、クエストが終わったから確認して欲しい」


 俺は冒険者ギルドカードを取り出してリネラスに渡す。

 リネラスは冒険者カードの記録を確認した後に、金貨の袋を手に取った。


「ユウマはすごいね。たった1日であの干上がった池を何とかしちゃうなんてね。壁のクエストが終わったらユウマはSランク冒険者だよ? そしたら私をもらって……「すこしいいか?」……むっ!?」


 リネラスの言葉遮り男達が俺に話しかけてきた。

 俺は男達の言葉を無視してリネラスと話す事にする。


「リネラス、お金は全部貯金で頼む」

「えっと……分かったわ」


 俺の言葉にリネラスは頷くと金貨の詰まった袋が消えた。

 ふむ、相変わらずどんな原理になっているかよく分からないな。

 これこそが本当の魔法だと俺は思ってしまうんだがなと思いながら、俺はリネラスのとの会話を途中で遮ってきた男を見る


「何か用か?」

「少し場所を移したい。ついてきてくれないか?」

「断る」


 どうして俺がそんな面倒な事をしなければならないのか?

 第一、ここで話せないってことはギルドの仕事を通さない仕事だろう?

 ギルドを通さないと言う事は面倒な事に巻き込まれたときにギルドが後ろ盾にならないと言う事を意味する。


「あの!ここでそういう勧誘じみたお話はやめてください! 申し込むなら冒険者ギルドを通じて……「うるさい!たった一人しかいない。何の力もない冒険者ギルドの職員が黙ってろ!」……」


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