暗躍する死神四魔将side

第124話

 ネイルド公爵邸の地下に存在する一室で男達は談笑していた。

 部屋内の空気は淀んでおり、締め切られている事もあり空気の流れがない。

 その事がより一層、室内の空気を悪くしていた。

 ただ、それには理由があり、この部屋は特別な事に使うために作られた部屋。


 部屋の中は、壁も天井も床も全てが石材で出来ており全てに魔法陣が刻み込まれている。

 

 この魔法陣は、外部に言葉を通さない防音魔法の意味がある。

 そして、室内に蝋燭が揺らめく中、男達は話を始めた。


「ユリーシャ姫はいまだに見つからないのか?」


 口火を切ったのはガムルと呼ばれているであった。

 ガムルの言葉に一人の男が……ヴァルドが頷く。


「ああ、王都では少しずつ噂になっている。エルンペイア様を討伐するために、隣国のアルネ王国に使者を出すために王宮から逃げ出しとな。まぁ……噂をしたものは、エルンペイア様の近衛兵連中が殺しているらしい。ただ、その事でより一層真実味を帯びている感じだな」


 ヴァルドの話を聞いたガムルが深く溜息をつくと落胆したかのような声色で言葉を紡いだ。 


「おろかな……放置しておけばいいものを。これだから近衛兵連中は口だけの貴族だと言われるのだ」

「そういえば……マリウスの奴がフェンデイカで奴隷狩りをしている時に、ユリーシャ姫に似た奴を見つけたと声高々に高級なマジックアイテムを使ってネイルド様に報告してきたらしいぞ?」

「……」


 ラグルドは2人の話を聞きながら寡黙に両腕を組んで二人を見るだけであった。


 彼らをユゼウ王国の民は恐怖を込めてこう呼ぶ。

 最強の死神四魔将と……。

 怪力無双のラグルド、残虐マリウス、魔法師殺しのヴァルド、瞬殺の殺し屋ガムル。

 

 どれもが元はSランクの冒険者であり、誰もが一騎当千の能力を持つ。

 それぞれがネイルド公爵家直属の四騎士団を率いており、周辺の貴族に絶大な影響力を持っており、ネレイド公爵家を支えている。


 そんな彼らの地盤を支えるのは多くの民の血であり奴隷でもある。

 ここネレイド公爵領は、国王が代替わりしてから各国で禁止とされていた奴隷産業を作り上げユゼウ王 国内でも屈指の奴隷を産出するまでに至っている。

 国王エルンペイアとも繋がりが深く国の闇の部分をも担っている。

 

「それにしても見たか?ギルド職員の顔。自分たちが殺されないと思って高をくくってやがって殺される瞬間に、『力で得た物は力でいつかは踏みにじられるぞ!』とか言ってやがったんだぞ?」


「ああ、あれは傑作だったな。弱者の言い分だ、狩る側の我々にとって意味を成さないのにな」

 

 男は笑いながら杯のワインを飲み干す。


「弱いは悪だ。殺されるほうが悪い」


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