第50話
「そうだね、一応はアルネ王国とウグヌス教国は30年前まで戦争をしていたんだ。それが両国の衰退に繋がるという理由で、停戦したと私は聞いた」
「つまり、現在、アルネ王国とウラヌス教国は停戦状態ってことですか?」
「そうなるね」
おいおいマジかよ。
停戦している国に対して十字軍を派遣して攻めてくるとか頭おかしい。
しかも中世時代に5000人規模の軍隊を投入するって事は、間違いなく国も関与してると見て間違いない。
魔王を手に入れるためと言っていたけど間違いなく戦争で使うつもりだろう。
「ヤバイですね。間違いなく……」
「……こちらから手を出したら戦争の口実に使われるだろうね」
俺の言葉を引き継いで話したヤンクルさんの言葉に俺は相槌を打つ。
きっと向こうから攻めてきたのに、いつの間にか俺たちが悪くなっているパターンだろう。
こちらを全滅させて口封じした後に、適当な話を作って戦争口実に使うんだろうな。
そんな事を考えていると……
「たいへんです!ユウマ村長!」
村の方から焦りを含んだ声が聞こえてきた。
声がした方向へ視線を向けると、走ってきたのか息を切らせて俺を見上げてる男性がいた。
「どうかしましたか??えーと……」
名前が出てこない。
えーと、名前名前……たしか、ふで始まる名前だった気が……。
「(川で魚をよく取ってきてくれるフイッシュさんだよ!)」
小声でヤンクルさんが教えてくれる。
「どうかしましたか!フイッシュさん」
言い直した俺を見てなにやら冷たい視線を向けてくるフイッシュさんに俺は冷や汗を垂らす。
「フイッシュさん?」
俺の言葉にハッ!としたフイッシュさんが話し始める。
「はい、実は南の方から軍馬らしき物に乗った女性が現れて村長を出せと言ってきました」
フイッシュさんの言葉に俺とヤンクルさんが顔を見合わせる。
フイッシュさんは現在、川まで行けず魚が供給出来ないという事から村の周辺の壁の上を歩いて周囲を巡回してもらっているのだ。
その時に女性に見つかって話しかけられたのだろう。
俺は、ウラヌス十字軍の方へ視線を向ける。
いまの時間帯はもうすぐ夕暮れと言う事もあり、ウラヌス十字軍は攻撃を止め、野戦食や寝床の準備をしている。
明日の朝まで攻めてくる事はないだろうし会いにいくなら丁度いい時間帯だな。
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