R ブラスナックル
ブラスナックル。指にはめて使う金属製の武器でパンチ力を強化する目的で使われる。
基本的には握りと拳を保護するための金属枠で構成された道具だ。
メリケンサック、ナックルダスター、カイザーナックルなど様々な名称や俗称が存在し、これがどこにでもあるありふれた道具であるかを証明している。
今回はそのブラスナックルが出てきた話だ。
なにやら随分と期間が空いたような気がする。
兄に親知らずが生えてきて、それの抜歯をするしないで両親が妙に怯えたような反応をしていたのだ。
抜いた穴に病原菌感染した経験があるらしく、それの激痛を事細かに説明するとかいう聞いてる側も痛くなる話を聞かされる羽目になってしまった。
よりによって兄の親知らずは横向きに生えていて、しかも思いっきり手前の歯を押しているという状態で早めに抜かないと手前の歯までだめになる状態だったそうで。
まあ物怖じしない兄は両親の話を聞き流して抜いてきた。
問題はその後である。
この兄、しれっと抜歯した穴を回復系魔法で治しやがった。
はじめからそこに親知らずがなかったかのようにきれいに塞がっている。
……これ、歯医者に怪しまれねえかな。
絶対怪しまれるよな……。
どう説明するつもりなんだ。
アレほどバレるようなことはやめてくれと言っているのに。
……意外とバレなかったりするのかな。
まあ、魔法が存在することは世に知らしめたからな。
はあ……。
まあいいか。
どうにかするだろ、兄が。
だめだったらだめだったでその時だ。
ガチャをひこう。
R・ブラスナックル
出現したのはカイザーナックルだった。
青いプラスチック製の安物で、力を込めて握るとわずかにたわむあたり、簡単に壊れそうな代物である。
うーん。
武器かぁ。
拳にはめて使うような武器、となるとやっぱり何かを殴ることで試す必要があるわけだが。
微妙に指が入らねえんだよなぁ、このブラスナックル。
私の指は細い方だと思うのだが、その指が穴に入らないのだ。
第二関節で詰まる。
本当にこれ人間用か? と言いたくもなるが、まあ私よりも手が小さい人なら普通に入りそうではある。
ガチャ景品だから実は微妙に大きさが変わって誰が使っても第二関節で詰まる様になってる、とかありそうだが……。
直感でしかないがそれは違いそうである。
なぜなら、指に詰まっている状態のブラスナックルがすでに妙な圧力というか手応えというか、力を感じるのだ。
指を動かすと壁に沿って滑るような感じだ。
仕方ないので指の根元の関節を真っすぐ伸ばして指先を折りたたむ。
指先だけで拳を作るようなイメージだ。
このままパンチすれば中指の関節が当たるような形である。
折りたたんだ指先だけでブラスナックルを保持しているため殴るためには不安定だ。
だが、ブラスナックルの効果を試すには十分である。
木材を的に、私は拳を振り抜く。
パン、と軽い音とともに木材に拳大の穴が空いた。
木材そのものに触れる寸前に、だ。
わあ……。
力場……力場? みたいなものが生じている。
斥力が拳から放たれて木材に穴を開けたのだ。
これまでのガチャと比べれば普通だと言える。
だが、なにかこう、嫌な予感がしなくもない。
具体的には、兄がなにか悪用するような、そんな予感が……!
後日。兄がブラスナックルから斥力フィールドを展開した。
外側から飛んできた射撃物を弾くバリアである。
なにがどうなってそうなったのかさっぱりわからない。
斥力力場を全身に広げて、力場に触れたものを弾くようにしているようだ。
しかも兄は、そのブラスナックルを振り抜くことで目の前を衝撃波で吹き飛ばすという変な技を編み出していたのだ。
放つ瞬間にラムダ……なんとか、とか言っていた。
また漫画の技か?
なんだその……なんだその引き出し……。
そうはならんやろ……。
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