SR 銀の手
小手。いわゆる腕部を守るために使われる防具のことである。
古今東西問わず、腕を潰して戦力を大幅に下げようという発想は存在する。
腕は武器を持つのに大事な部位であり、同時に胴体と比べても守りが薄くなりがちな部位でもある。
そのため、その腕を機能しないようにすれば戦いにおいて優位に立てるわけだ。
小手はその部位を守るために作られた防具だ。
今回はその小手が出てきた話だ。
チラチラとテレビなどで新技術由来の商品が紹介され始めている。
UFOのように空を飛ぶ乗り物であったり、水を電気に変える発電機であったりといった、生活を一変させるほどの代物……ではない日常に入り込むようなものだ。
それはエレベーターからもたらされた素材をわずかに使った軟膏だった。
刷り込むと手荒れがなくなるというもので……実際素材を使っているのか怪しいところすらある代物である。
というか医薬部外品なのでそこまで強力な効果は実証できなかったようだ。
これは多分付加価値として素材を使ったはいいが、思ったよりも効果が出なかった感じなのだろう。
今は申請で弾かれないことを祈っているみたいなコメントが出ていて笑うしか無い。
マイナスイオンじゃねーんだぞ。
正真正銘の超技術や超素材も使う人間次第でしか無いということをまざまざと見せつけられる。
せめて健康被害が出ないことを祈ろう。
さてと。
今日の分のガチャを回そう。
SR・銀の手
出現したのは銀でできた美しい小手だった。
両手で一揃いの金属製の物で、手首までを覆うように作られている。
銀の手……というと。
ケルト神話の神であるヌアザの義手、アガートラムを思い浮かべる。
様々な創作物で利用される超常的な義手としてその存在感は……マニアックな作品なら割とよく出てくることだろう。
まあこれは手袋に近い形状の物だから義手ではないが……。
一見金属に見える部分も伸縮性があるようで手を入れようと引っ張ると伸びる。
それでいて叩くと硬いから不思議な金属だ。
とりあえず着けてみることにした。
なんというか、ウエットスーツを着るようなぬるりとした感覚。
乾いているのにしっとりしているような。
手にピッタリと張り付いているからそのように感じているのだろう。
で、着けてみた感じとすれば……。
わからん。
特におかしな感じはないし、なにかが使えるようになった感じもない。
小手を着けている割には手指がかなり細かく動かせるくらいで……。
金属の硬さによる阻害感がまったくない。
ゴム手袋でもここまでスムーズには動かせないだろう。
……SRにしては地味だな?
後日。兄が銀の手をはめた状態で絵を書いていた。しかも左手で。
そう、銀の手の本当の効果は、手指の器用さを引き上げることだったのだ。
それは特に利き腕でない方に強く働くようで……、器用な人間の数倍の器用さを装着者にもたらし、両利きにするのだ。
ガチャの景品を使ってまで書いた兄の絵はというと。
その……前衛芸術です……。
一目で理解を拒む。
あらゆる技術を注ぎ込んで作られたゴミ、というべきか。
なまじ高度な技術が読み取れるだけに、その絵の下手くそさが際立つ。
SR景品の効果で超正確なデッサンが出来ているだけに……。
……あれ、この景品、もしかして面倒事も無いしあたりなのでは?
器用さは便利だしな。
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