UR 無限連結式転移ゲート その4
手に余るモノを管理する場合、その大きさや概念を切り分けて自らの管理可能な形に変えてしまうのが望ましい。
特定の手順を守っていればそれが管理できるという状態にするのが理想形である。
たとえば土地は運用会社に預けることによって、運用会社との契約を気にするだけですむようになる。
兵器の管理も、整備と保存と使用で権限を分けることによって、それが危険なものだと意識しなくてもすむようになる。
今回は手に余るモノを一元化してしまう話だ。
兄がせっせと無限連結式転移ゲートにへと
静止軌道衛星ステーションの調査、管理にとにかく人員が必要であるためだ。
静止軌道衛星ステーションは5つのステーションが転移ゲートによって連結しているため、外部から見た大きさよりもだいぶ広い。
それに、ステーションから降りて宇宙エレベーターの周囲も調査しなければならない。
そのため、人員はいくらいても足りないのだ。
……まあ、だからといって一息に3000体も生産したのは勢いがつきすぎているという気はするが。
何が起こるかわからないからそれぐらい必要、だということだろうか。
それに、ダンジョンからステーションへとなにかを運び込んでいるような気がする。
ステーション同士を繋ぐ転移ゲートをいい感じに閉鎖しておかないと、後々問題を起こしそうだから、それを閉じておくための資材……に見えるが、その中にちらちらと見覚えのある物品が混ざっている。
そう、ダンジョン侵食用の柱だ。
ダンジョンとの情報のやり取りを円滑にし、その周辺を自身のダンジョンにへと組み入れる、侵食を行う資材。
ダンジョンとはいえ、それは建造物である。
自然の洞窟を整え、古い遺跡を利用し、迷宮を築きあげる。
今でこそ機神と化しているが、兄のダンジョンは本来そういうものなのだ。
しかもその事に気がついたのは……だいぶ運び込みが終わってからである。
見えている新惑星の宇宙エレベーターのダンジョン化率、すでに78%。
なんなら地球側の宇宙エレベーターも静止軌道衛星ステーションがすでにダンジョンとなっている。
手が……手が早い……!
まあ、ダンジョン化してしまえば内側にあるものはいくらでも好きな地点に転移させられる。
作業効率を上げるためだと……、と思ったのだが。
兄の目的は違った。
そこにある以上、周囲の国が干渉してくるのは必定。
だからこそ、こちらから宇宙エレベーターを開放し、
うーん、ストラテジー。
ダンジョンはその内側で完結する
武力をちらつかせてくるなら
確かに開示せずに放置していると世界に無用な混乱を引き起こして、最終的に私の平穏が毟られるような気がしなくもないが。
開放するのもそれはそれで問題を起こしそうで困る。
とはいえダンジョン化しておけば何かと便利……ぐぬぬぬ。
私は、面倒になって兄にダンジョン化させることだけ許可するのだった。
気がつくと、新惑星側の宇宙エレベータープラットホームに、機神が接続されていた。
たくさんのケーブルのようなもので接続され、プラットホームに格納されていたのだ。
テラスはプラットホームよりも高いため周囲の視界は開けたままだが、宇宙エレベーターの巨大な塔が視界のすぐ目の前に立っているのはだいぶ存在感がすごい。
しかもすでに新惑星側の無限連結式転移ゲートを掌握したそうで、早速開発が進んでいる。
それらしく、国家に見えるように環境を整えているのだ。
もうどうにでもなーれ。
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