R ノンオイルポテトチップス調理器

 ポテトチップス。言わずと知れたスナック菓子の王様である。

 薄く切った芋を揚げて味を整えるだけで出来上がるそのお手軽さと、材料が芋であることから効率的に炭水化物を摂取できるところがポテトチップスの優れた部分である。

 また近年では、油で揚げないノンフライ調理というものが登場して、それによって揚げないポテトチップスも出てきている。


 今回はそのポテトチップスを作るための専用調理器具が出てきた話だ。























 今まで気がついていなかったのだが。

 ガチャレクシアにも隠れるように黒ずくめの教団の人員が出入りしていた。


 裏路地で怪しげなチンピラどもと密会をしていたり、小間使いと思われる男性と密会していたり、冒険者相手になにか薬のようなものを売っていたりしていたのだ。

 それに、どこかの商会の倉庫を拠点として出入りしているようである。


 わからないのは、どうやって移動しているか、である。

 昨日山で見たかかとに泥をつけた男が、今日ガチャレクシアで見つけてしまったのだ。


 徒歩で移動したのなら十数日は掛かってしまう距離にある山脈から、である。

 サメ機巧天使シャークマシンエンジェルの目視による分析ではかかとに付いている泥は同じ成分であり、あの山から持ち込まれたものなのは間違いない。


 えー……。

 これやばいんじゃないの……。

 兄は兄で気持ち悪い笑顔を浮かべているし、ろくでもないことになるんじゃないかこれ。


 ま、まあいいか。

 ガチャでも回そう。


 R・ノンオイルポテトチップス調理器


 出現したのは炊飯器だった。

 いや違う、炊飯器みたいな形をしたなにかの調理器具だ。

 上に開閉可能な蓋がついていて、その中にはヒートシンクみたいな形状の部品が円形に並んでいる。


 炊飯器並みに場所を取る割に、その名前はポテトチップス調理器。

 用途があまりに限定的すぎる。


 それに……なんだ。

 ノンフライのポテトチップスってそんなに旨くないイメージが有る。

 カラッとしていなくてパリパリとした食感じゃないのだ。


 とはいえ……まあ、試してみないことには何も始まらない。

 私はじゃがいもをスライサーで薄切りにし、水気を切ってからそのノンオイルポテトチップス調理器にセットした。

 ヒートシンクのような形状のパーツに立てるように薄切りじゃがいもを刺していく。


 これ、この作業だ。

 ノンフライのポテトチップスには色々問題点があるが、中でもこの作業が一番めんどくさいのだ。

 揚げるのならくっつかないように雑に油に投入するだけでいい。


 蓋を閉じて、炊飯器のような操作パネルから自動モードで調理を開始。

 タイマーが表示されるがなぜか60分。

 ノンフライのポテトチップスってそんなに時間がかかったものだったか?




 60分後。

 チーン、と電子レンジのような音をともに調理器は動作を停止した。

 蓋を開くと、そこにはチョコが掛かったポテトチップスが並んでいる。


 ……なんでチョコ掛かってんの?

 どこにもそんなモノはセットされていない。

 しかも、ポテト部分はしっかりと揚がっているように見える。


 1つ取って食べてみる。

 一口食べるごとにチョコの油分とポテトチップスの油分が口に広がる。

 味はうまいのにその過程の全てに疑問符がつくせいで味の印象がまとまらない。


 どこから来たんだこの油とチョコレート……。



















 後日。兄がチーズの掛かったピザ味のポテトチップスを作り出した。

 もう油でこってりしているポテトチップスの中でも特にこってりしているあのポテトチップスを、だ。

 ノンオイルはどこ行った。


 兄が調べた結果では、中で調理されたポテトチップスにランダムに味付けをする調理器具だそうだ。

 その過程で、油で揚げる作業も味付けとみなされている、らしい。

 そのためだけに兄はじゃがいもを10個ほど消費したのだから間違いない。


 他と比べればまともな景品だけれども。

 なんだこの納得いかない感じは……!

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