UR 新ガチャ大陸
新大陸。かつての人類が探し求め、そしてたどり着いた新天地を指す言葉である。
海に阻まれ、出会うことのなかった新たな土地であり、新たな資源の眠る場所でもある。
多くの場合、新たな要素との出会いは、多くの恵みと災厄を招くものだ。
人々を飢えから救う食材や新たなる技術を生み出す鉱石、そして人々を死に至らしめる病まで。
そして、それらを求める人々によって争いもまた生まれるのだ。
今回は新大陸が出てきた話だ。
兄が発掘ダンジョンの地図を作っていた。
ダンジョンの侵食も終わり、完全に兄のダンジョンの一部になった発掘ダンジョンであるが、その内部構造はややこしい。
上層の一般的なダンジョンのやたら入り組んでいたせいで兄がほとんど破壊して突破した迷宮部分や、下層のそれぞれの階層で異なる地形と気候を持つ空間とで作るべき地図は異なってくる。
それに細々とサブのダンジョンが存在しているので、それらの確認も行わなければならない。
それぞれ未だ回収出来ていないギミックや財宝なども残されていて兄はそれをダンジョンの機能によるピーピングで見つけてはそれを
だが、それを行わせるにも地図があったほうが良いのだ。
なぜなら……、
兄は遠隔での指示出しに慣れていないため、何がどこにいるのかの認識を損ない、結果的に前線にいる
出撃命令を出したすぐあとに別の場所への出撃命令を出したりなどを何回かやらかした。
あれもこれもダンジョンの機能をどう動かせばいいのかよくわからないせいなのだが……。
まあ兄が珍しく間の抜けたことをやってるだけの話だしどうでもいいか。
ガチャを回してしまおう。
UR・新ガチャ大陸
カプセルを開けた瞬間、なにか空気が変わったような気がした。
紙切れが一枚入っていただけの空のカプセルだったが、それが故に余計に焦燥感を掻き立てる。
なに? 新ガチャ大陸?
突如、地面が揺れた。
訂正。突然
それによって屋上が揺れた。
その上、階段を駆け上がってきた兄がこっちに向かってこんなことを言うのだ。
新大陸を見つけたぞ! と。
兄が表示するモニターには、
その視界の先に、確かに森や山を持った大地があるのだ。
あとついでに、山をも超える大きさのガチャの筐体もだ。
まるでその大陸が誰のものかを主張するために、巨大な御神体をおいたかのようだ。
ああー……。
タイミングが良すぎる。
だとすれば、あれはガチャで出現した新大陸。
すなわち新ガチャ大陸。
ええー……。
後日。新ガチャ大陸のことがニュースになっていた。
なんで!?
というのも、例の新惑星だ。
あの惑星の観測中、巨大なガチャの筐体が存在する大陸が突如として出現したと報道されているのだ。
しかも、それに近づく超巨大構造体の姿までバッチリ望遠鏡の映像に写っている。
大陸が突然出現したことによる混乱と、それに足で歩いて接近する超巨大構造体の存在への恐怖とでニュースの内容も非常に荒れている。
なお某国は大陸の所有権が我が国にある、と主張していた。
お前ブレねえな。
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