ダンジョンアタック
ダンジョン。ファンタジーでおなじみの、侵入型のマップである。
基本的にモンスターが徘徊し、罠が仕掛けられていて、財宝が眠っているのが特徴だ。
というか、物語には意味がない要素が出てくることがないので必ずその要素を満たすダンジョンが出てくる。
求める財宝のために、あるいは必要ななにかを得るために、そこにいるであろう怪物たちと対峙する。
それがダンジョンだ。
ダンジョンは常に誰にでも平等で、誰だろうと殺しにかかってくる。
そして生き残れるのは真の強者のみである。
今回は発掘ダンジョンを攻略する話だ。
また兄が部隊を整えていた。
今回の
というか、前回単一に揃った装備が用意できていたのが本来おかしいのだ。
わざわざそのために依頼をこなし続けたのか、手に入る素材から量産可能な装備を選択したのかはわからない。
そして今回は明らかに性能で選んだであろうちぐはぐな装備身にまとった
何のために作り上げたかというと、発掘ダンジョンの攻略のためである。
前回、完全な虚無の空間が広がっている26層で足踏みをさせられていた兄だが、ダンジョンの侵食によってその場所を自身のダンジョンにし、足場を作ろうとしていた。
事実、それは順調に進んでいたのだ。
だがその虚空の中を自由に飛べる
つまり……飛行戦力による
疲労もなく、休息も必要ない。
それでいて
この通信能力は
それらも相まって、兄なしで突っ込ませても問題なく対処が可能になっているのだ。
兄は常に
それによって、26層の全長100kmにも及ぶ虚空を突っ切り、次の層にへと飛び込んだのだ。
そこにあったのは、かつて誰かが生活していたであろう居住空間だった。
様々な生産装置と、畑のようなものが混在していてこれを作った人物は片付けるのが苦手なんだろうと私は思った。
ダンジョンのモニタ越しでも明らかに散らかっているのがわかる。
27層の端に残っていた建物の中には、一人分のミイラがベッドに横たわっていた。
この人物が、このダンジョンのダンジョンマスターだった。
周囲に残る日記からもそれが伺える。
逐一解析翻訳しながらなので細かいニュアンスが拾えていないが、それでもこの人物がどのような人物だったか読み取れる。
ただ一人でダンジョンに囚われ、ダンジョンの一部となってしまった男だった。
話し相手もおらず最後には狂ってしまっていたのか、その文章も異常だと言わざるを得ない。
まあ兄は特に気にせず屋荒らししていたが。
こいつ……倫理観がないのか……。
後日。27層の居住区よりも下の階層には、ダンジョンの維持に必要なものがそれはもう雑に詰め込まれていた。
ダンジョンポイントを自動生産する結晶。
水を生み出しすべての階層に供給する宝玉。
空気を生み出して、同じようにすべての階層に供給する魔石。
環境を操作し、維持する黒曜石の柱。
そして最下層には巨大なダンジョンコアが鎮座していた。
それらを全て……兄は
場所さえわかっていればこっちのもんじゃい、と言いながら発掘ダンジョンの下から侵食したのだ。
兄がこれで何を得たのかというと……。
発掘ダンジョンの中で生まれるモンスターやドロップ品や財宝を自由に生産可能になった。
発掘ダンジョン内の恵まれた環境を完全に支配したためにそれらの土地を自由に使えるという利益もだ。
なんか国でも作り出しそうな勢いである。
いやいやまさか……そんなことは……。
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