R 練気ストーブ

 ストーブ。部屋の気温を上げるために使われる暖房器具である。

 基本的には何らかの燃料を燃焼させることによって暖を取る。

 また、熱を発生させる関係上、その熱を他のことに利用して調理を行うなど他の用途に使われることもある。


 今回はストーブが出た話だ。



























 兄が錬金術士のアトリエの釜でうどんを茹でていた。

 調査に煮詰まったのかとおもったが、そうではないようで。


 なんでもどのように制作すればいいかわかっているものから制作してみることにしたそうなのだ。

 レシピの解読はサメ機人シャークボーグにやらせている。

 その関係で手が空いている兄は、そのような手段でやれることからやってみたそうなのだ。


 結果?

 謎の緑色の液体が入っている釜の底から丼に入ったぶっかけうどんが引き上げられた。


 流石に得体が知れなさすぎるのでは?


 しかも兄はそれを普通に食ってるし……。

 味は普通。

 うどんそのものであり、レシピ通りの味。


 ……え?

 あの釜から引き上げたのにレシピ通りの味?

 マジで?


 錬金術士のアトリエの設備は摩訶不思議である。

 ……私も覚えるべきか?

 覚えれば兄に対しての抑止力にも……いやならない気がするな。


 まあいいか。

 ガチャを回そう。


 R・練気ストーブ


 出現したのは、なにか不安になる形状の円筒状のストーブだった。

 黒いメッキが施され、内部にヒーターとなるパーツが組み込まれている。

 そして動かすことが出来るように持ち手がつけられている。


 外見上ガスストーブのように見える。

 構造自体は学校用のストーブと同じなのだ。

 だとすれば、底のあたりにガスを供給するためのチューブが付いているはずなのだが……。


 それがないのだ。

 どこにもついていない。

 実はガスストーブじゃないとか、そういう可能性も考慮して見てみたのだが、燃料となるものを入れる口がない。


 点火スイッチしか見当たらない。

 押し込むとスイッチが入り、上げるとストーブが切れるあのスイッチだ。


 うーむ。

 スイッチ入れられるが、燃料は入れられない。

 じゃあ何を燃料に動くんだこれ?


 空気で動く、とかだと便利でいいのだが。

 そういう便利なのはあんまり出てこない。

 そもそもこれから暑くなるっていう時期にストーブを出して来ているだけでも信用ならんのだ。


 とりあえず点火してみるか。

 ガチガチ、とやや重いスイッチの音と共に、点火プラグから火が起こされ、ストーブが赤くなる。

 が……ストーブ自体は全然暖かくならない。


 うーん?

 なんで赤くなっているのかもよくわからない。

 そう思っていると。


 かっと、身体が熱くなった。

 突然、全力で走ったかのような疲労感と熱が身体に走ったのだ。

 体の中の力を練り上げた結果熱が生まれているような感覚。


 あっ、練気ってそういう?

 わけが……わけがわからない……!






























 後日。兄がサメ機人シャークボーグ達を練気ストーブに当てていた。

 別にサメ機人シャークボーグを温めているわけではなく、ストーブに当てておくと運動能力が少し向上するんだそうだ。

 マジ?


 いや確かに気を練るって拳法などでは重要な動作らしいけれども。

 それをストーブ一つで実行出来るものなのだろうか。


 実行できているから出来るんだろう。

 だから気を良くしてサメ機人シャークボーグに直接搭載しようとするのはやめるんだ兄ィ!

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