SSR 寝袋
寝袋。キャンプや登山などで利用される、持ち運びに適した寝具だ。
その都合、重量と寝具としての性能と金額とがトレードオフの関係にある場合が多い。
安い寝袋ならば薄っぺらく、地面の凹凸をそのまま伝えるが、高くて重い寝袋なら快適に眠れる、などだ。
また軽くしようとすると必然的に値段が跳ね上がる。
なぜなら特殊な素材を利用する傾向にあるためで、軽くて暖かくてフカフカの素材は大体高いのだ。
今回は寝袋が出た話だ。
実は、兄には魔法の才能がない。
ノーライフキングのリチャードさんに何度教わってもまともに使えなかったのだ。
こういうののお約束だと魔力がないとか、魔法を使う才能に偏りがあるとかそういう要素が出てくるのだが、兄は根本的に使えない体質なんだそうだ。
それを聞いた兄は一瞬悲しそうな顔をしたのだが、その30秒後には嬉々として黒のまどうしょの図面を複製し、改造を始めたので特に応えた訳はなさそうだ。
というかリチャードさんから教えてもらった知識から即その魔導書の改造を始めるあたり、才能そのものは溢れているように見える。
頭“は”いいんだよな……。
その頭を使って本当にろくでもないことをし続けたので困るのだが。
ほら、もう新しい魔法の紙を作り上げて放っている。
炎の……竜巻……?
渦巻く炎が端に向かって直進していくのだ。
銃器型の杖と相性が良すぎる。
兄に与えてはいけない知識だった……。
さて、ガチャを回そう。
そろそろいいものでないかな。
高い牛肉とか。
そういうこと言ってるとA6牛肉とか出てきてドン引きするハメになるから期待は禁物だ。
SSR・寝袋
出現したのは、ポット型に押し込まれた布の塊だ。
いわゆるかなり小さく折り畳める寝袋である。
拳大ほどの大きさまで小さく出来るのは相当高い寝袋だけだ。
開けようとして、ふと思う。
もしかしてだが、バカみたいにでかいとかあるのでは?
開封すると爆発的に広がる、とかありそうで困る。
そっと広い場所で開けてみると、押し込められた寝袋が思ったとおり弾けるように広がった。
広がった、はいいが普通のサイズだったので警戒が無駄になった。
いや、中身の寝袋がはね飛んできたせいで思いっきり顔に当たって痛かったけども。
しかし本当にしっかりした寝袋だ。
材質もふかふかで寝心地が良さそう、だがあくまで寝袋相当では、の話でもある。
これで寝ると身体がバッキバキになりそうだ。
とはいえ寝袋。
効果を確かめるには使って眠るしかない。
しかし昼寝するには微妙な時間で困るな。
そっと寝袋に身体を差し込んで、目を閉じる。
微妙にゴワゴワしていて本当に寝付けるのか……。
ねむ……。
とえりゃぁ!
気がつくといつの間にやら眠っていて、10時間ぐらいぐっすり眠った感覚と、身体がバッキバキになっている感覚とのダブルパンチで目が覚めた。
やべえ!
10時間も眠ってたら晩ごはんに降りてこないからって心配される!
ガバっと起きて携帯を取り出して時間を確認。
そこに書かれた時刻は、ガチャを引いてから20分も経っていない時間だ。
当然、日付も変わっていない。
……?
え?
後日。兄が発掘ダンジョンを攻略するのに寝袋を持ち込んだ。
この寝袋、眠っている間、時間を操作して睡眠時間を1万分の1に圧縮する効果があるようでダンジョンを探索する兄としては本来睡眠に利用できる時間をすべて探索に利用できる景品でとても喜んでいた。
最も、硬い地面で寝ると身体がバッキバキになる寝袋としての問題(しかも時間を操作する関係で寝袋自身も相対的に硬くなる)は、解消されておらず、兄はどうするのかと思っていると。
寝袋の中に別に布団を詰めて解決したのだった。
まあはい、そうですよね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます