R 魔石
魔石。主に魔力を秘めた宝石のことである。
古今東西問わず、独特の輝きを秘めた石は神秘的な力を持っている物だと考えられており、現代でもパワーストーンとして流通している。
最もそれらはいわゆる霊感商法……、言ってしまえば花言葉やらなんやらから逸脱しないものでしかない。
しかし、人々を魅了し惹きつける石は、創作や神話において特別な力を持ったものとして登場しうる。
今回は魔力を秘めた石の方が出た話である。
ノーライフキングのリチャードさんは、とにかく人に魔法を教えるのが得意である。
私が1つ魔法を覚え、それを使ってみせると驚きとともに褒めてくれるのだ。
その凶暴……というか、鋭利な恐怖を掻き立てる見た目からは想像のつかない好々爺っぷりで出来たことを評価し、褒めてくれるために学習意欲が湧き上がる。
初心者には分かりづらい細かい理屈を飛ばして、まずは使えるようになるところから始めるところからもその手腕は伺える。
まあ一方で、自分の過去とか、魔法以外のことであるとかを語るのは下手くそなあたり相当な学者肌の人物だと言える。
本当に要領を得ないというか、発掘ダンジョンのことすらもいまいち説明できないぐらいだからね。
まあ魔法の研鑽のためにノーライフキングになったと言っているからそりゃ学者肌でも当然というか。
魔法の研究を一人でするには、確かに人の寿命が短すぎるとは思う。
教えてもらっている私が言うのもなんだが、この知識を持ち出すわけにはいかないのがなぁ。
社会混乱とか起こしたくねー。
混乱は兄だけで十分なのです。
さて、ガチャを回しておこう。
昨日回すタイミングが早かったせいか、すでに唸り声のような音をガチャが立て始めているので。
R・魔石
出現したのは、握りこぶしほどある赤い宝石だ。
その宝石の赤は燃えるような色彩で、見るものを惹きつける。
一方で、その加工は荒いとしか言いようがなく、せっかくの美しい宝石も台無しだと言うしか無い。
というか一部に別の種類の岩がくっついたまま研磨されている。
しかし、魔石、か。
もう嫌なんだよな。
見るからに魔力、としか言いようがないオーラを帯びているのが。
もうどう見ても危険物じゃん。
そう思ったのでとりあえず投げてみた。
放物線を描いて飛ぶ魔石だが、特に反応もなくそのまま地面に落ちる。
なんだ、手榴弾みたいに爆発する石ではないのか。
うーむ。
やりたくはないが……。
そっと魔石を握り、握り……座りが悪い! 持ちづらいんだよ!
握り、手の中で形になる前の魔法を回す。
リチャードさんに教えてもらった魔法制御の基本の1つだ。
魔法には魔法として形になる前の姿があるらしく、それは物質を透過するし透明で不定形であるという。
まあマジックポイントとか、魔力とか言われる見えないエネルギーだと理解している。
発掘ダンジョンから出てくるマジックアイテムのいくつかはこれで動かせるのがわかっているから、これで……。
と思った矢先、魔石から火を吹いた。
思わず前方に投げてしまったのだが、吹いた火は私のそばを離れない。
私が使える魔法はシャドーボールとシャドーボルトのみ。
この火の塊からは、私が使ったシャドーボールと同じ気配がするのだ。
つまり、この火の塊はシャドーボールなのだ。
思ったとおりシャドーボールのように操れる。
え、ということはこの魔石は魔法の属性を変化させる……?
そう考えれば、相当強力な景品だと言える。
このサイズじゃなければなぁ!
試してみたけど棒の先にくくりつけるとダメなんだってよ!
後日。兄が
途端
丸一日燃え続けて特に問題がないようで、そのまま兄が発掘ダンジョンの攻略に連れて行っていた。
明かりになるし戦闘力もあがってるしで便利だとよ!
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