R フォークリフト
フォークリフトとは、ツメを持ち、それによって荷物を保持、運搬が可能な乗り物だ。
コンテナの下部にフォークリフトのツメを差し込む用の穴を開けておいたり、パレットと呼ばれるフォークリフトのツメに対応した台を利用することで、規格化された環境でのフォークリフト利用が可能になる。
規格化された環境ではあらゆる種類の荷物が同じ方式で扱う事ができるため、フォークリフトのような一見融通の聞かなさそうな車両が非常に優秀な働きをするのだ。
今回はそのフォークリフトが出てきた話だ。
早速、兄が魔法を覚えてきた。
いや、元々使えたが気がついていなかった、というのが正しいのかも知れない。
というのも、R・黒のまどうしょに書かれている魔法をどうにかして無駄に紙を使わずに使えないかと試行錯誤していた時があったのだ。
大雑把には全て失敗に終わったのだが、発掘ダンジョンで兄が厄介なものを見つけてきたのだ。
それは魔法の杖、というべきか。
金属の筒がついた棒を拾ってきたのだ。
この棒、元々はちょっと強いスケルトンが持っていたもので、振ると何故か炎が飛んでくるというものだ。
その構造は単純極まりなく、黒のまどうしょに書かれた魔法陣とよく似たものが中に入っているだけなのだが、どうもこの金属は魔法陣の発生させた効果を先に飛ばす性質があるようなのだ。
魔法の原理こそまだわかっていないものの、この杖を使えば魔法が使える。
兄に与えていいおもちゃなのかそれは?
かなり微妙だ。
まあ、現状炎が飛び出たり氷が飛び出たり雷が飛び出たりするだけなのでまあいいとしよう。
ええい、ガチャだガチャ!
さっさと終わらせられる面倒事はさっさと片付けるに限る。
手間がかかりそうな面倒事はさっさと終わらせられるタイミングにだけ手を出すに限る。
R・フォークリフト
出現したのはフォークリフトだ。
ツメが2本……いや、なんでかこれ3本あるな。普通は2本のはずだが。
クソ、また規格違いか。
いきなりこのフォークリフトが役に立たないものになったぞ。
規格化されたパレットやコンテナを扱えるからフォークリフトは意味があるのだ。
3本ツメじゃどうやっても使えないじゃないか。
しかし……エンジンはかかるな。
機動戦闘車はエンジンすらかからなかったことに比べればまだマシか。
フォークリフトは後輪をハンドルで操作するタイプの乗り物だから操縦感がかなり特殊であるが、ベッドやらサメもどきやら、カヤックやらに乗るよりかは楽、かな。
いや、実験室内で乗り回す乗り物があると楽だとかそういう話でしかないだけで、別にそこまで広いわけじゃないからいらないといえばいらないのだが。
そう考えながら、ついうっかり少し上がっていた爪の部分に腰掛ける。
……は?
ツメの部分が、まるで高級ソファーかと思うほどに座り心地がいい。
どう見てもそうには見えない、金属のツメでしかないのに、全身を包むような安心感のある座り心地なのだ。
しかもどのような体勢で座ってもその座り心地が変わらない。
え?
これ椅子なの?
フォークリフトじゃん。
しかもツメじゃん。
え?
後日。兄がフォークリフトを
フォークリフトのお尻の部分からサメの頭部が突き出したような形状に変化しており、バックで実験室内を走り回っている。
兄はそれのツメの部分に座って
なんでそういう改造しちゃうかなぁ。
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