R 物差し
文明の深度はその文明が持つ
精度の取れないスケールを持った文明はその時点で工業において精度が出せなくなり、複雑な機械を作り上げることができなくなる。
農業に置いても、農薬や水といったものの量を扱うのに分量の調整が不可能になる。
適切な単位を扱うことで、文明は進歩してきたと言える。
かつてギルドはその適切な単位を独占することによって利益を上げていたことすらあるように、優れた単位はただそれだけで文明に明日を見せるのだ。
結論を言うとヤードポンド法は死滅しろ。
今回は物差しが出てきた話だ。
朝目が覚めると、アンデッドドラゴンの死体がテラスの前に置かれていた。
その竜体のあちこちが砕け、焦げ、裂けている。
あの兄のことだ、勝ったということを私に自慢したいがためにこれを持ってきたのだろうが、私にはそれがどれくらい凄いことなのかさっぱりわからない。
というか、兄の基本戦術は量産モンスターによる特攻な手前、余計理解し難いのだ。
ダンジョンに無謀な突撃を続けているように見える兄は、なんだかんだきっちりと安全対策を取っているのだ。
その結果が量産モンスター特攻なのだから度し難いが。
完全に腐りきった結果骨だけになったそのドラゴンは、肉がないために骨を砕くことでしか倒せない。
しかし、それは尋常ならざる強度を持つ竜骨で構成されているためにほぼ不可能と言ってよかった。
どうやって倒したのかというと。
ドローンを装備した
いつの間にかドローンが
強引に拘束した後は魔剣やら妖刀やらの、相手の強度を問わず破壊が可能な武器を使って無理やり解体したそうだ。
関節からバラバラに砕き、首を妖刀で切り落としたあたりで抵抗がなくなり、動かなくなったそうだ。
逆にそれで動いていたらだいぶ怖い生き物だった。いやアンデッドだから死んでるのか?
まあいいか。
持って帰ってきたということはモンスターの材料にするつもりだろう。
自慢だけで終わらせる人ではない、兄は。
さーてガチャだ。
いや、大した気晴らしにもならないが。
R・物差し
出現したのは50センチほどの大きさの金属の物差しだ。
手に持って振っても特になにかおかしな現象が起こったりしないあたり、武器としての使用が考えられるものではないらしい。
スケールも一般的なセンチで刻まれていて不自然なところはない。
いや、なんか墨入れが薄いな?
それぐらいか。
しかし物差しか。
兄が竹物差しを6本破壊していた思い出しかないな。
そのたびに親に怒られていて大変そうだった。……大変そうだったのは母である。
何かを測れば何がおかしいか分かるはずだ。
多分。物差しである以上、測るところがおかしいはず。
とりあえずこれでも測ってみるか。
りんごジュースだ。
そっとその高さに物差しを添わせてみる。
えーと、大体11オンス。
……。
オンスは液量だろうが!
ビンに物差しを添わせた瞬間に目盛りがグニャリと動いて、単位が変わったの目で見えたぞ。
いや、変わるにしても長さにしろ!
なんで液量なんだよ!
しかも目盛りが荒い!
荒すぎる!
計量カップよりもスカスカじゃねえか!
その後、何度測ってもすぐ違う単位になったので物差しを思いっきりぶん投げた。
一回も長さの単位にならなかったのは流石である。
後日。兄が重量計にしていた。
物差しに物を乗せると何故か目盛りがその乗せている物の重量を指し示すことを兄は見つけ出していたが、毎回その単位が違う単位になるため結局兄もぶん投げていた。
金属の重量測るのにカラットで単位出されても困るんだよ……。
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