R プラスチックトランプ
トランプ。カードに4種類の記号と1から13までの数字が刻まれた52枚とジョーカーを含めた53枚で一組とするカードセットだ。
絵柄がシンプルなため様々なゲームに使えるほか、占いの道具や手品の道具など、ランダム性が要求される場合でも利用される。
現在ではその源流は中国にあると考えられているが、詳しいことがあまりわかっていない。
豆知識としては、スペードのエースだけ大きく派手な文様なのは、17世紀のイギリスでトランプに税金がかけられ、納税をした証拠としてスペードのエースにスタンプを押していたことから来ている。
今回はそのトランプが出てきた話だ。
プラスチック製のものだった。
兄がサメもどきの改造に着手した。
今まではただの人手でしかなかったためダンジョンがはじめから生産できるサメもどきだけでよかったが、発掘ダンジョンを見つけてしまった以上、攻略するための戦力が必要となったのだ。
一層はそれでどうにかなったが、二層はそうもいかないようで。
二層がどうなっているか詳しくは聞いていないが、まあサメもどき、基本的にものすごいどんくさいのだ。
動きはトロいし、自己判断力がかなり皆無だ。
転んだときは自分で起き上がるぐらいはできるが、もしその際に負傷していても傷の手当をするとかそういうことをすることがない。
なので動かしているサメもどきはマメにチェックしていないと気がついたら動かなくなっていたりする。
そんなので戦闘をしようというのが本来間違いなのだが、なまじ数で押せていただけに改良への着手が遅れたのだ。
いやまあ改良するための資材がない、というのもあるらしいのだが……。
というか改良用の資材ってなんだ。
まあどうでもいいか。
今日のガチャだ。
R・プラスチックトランプ
そのトランプは海外製のプロテクターみたいな箱に入れられていた。
開けると羽みたいに箱が広がる。
動画サイトの手品紹介で見たことがあるトランプ、といった印象。
若干高級感がある。
トランプか……。
異常な絵柄がある、とかだろうか。
あるいは占いに使うと的中率がすごいことになっているとか?
そう考えながら中身を手にとった時だ。
私はこれのおかしいところを即座に理解した。
このトランプ、異常に硬い。
手触りや光沢はどう見てもプラスチックだ。
だが、全く曲がらない。
反りすらしないのだ。
私はムキになってカードを一枚取り、曲げようとしてみるも、本当に反りすらしないのだ。
カッターナイフで表面を削ろうとしても傷一つつかない。
ペンチ2つで挟んで曲げようとしても曲がらない。
頑丈すぎる。
直球でおかしいのがきたな……。
後日。トランプが頑丈なのをいいことに、発掘ダンジョンの壁にトランプを釘のように打ち付けている兄の姿があった。
トランプには当然数字が書かれているため、地図と数字を紐付けられる。
そうすることで迷う可能性を減らせるのだ。
看板代わりにトランプを使う兄。
お前もおかしいよ……。
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