第105話 緊急仕入れ
肉屋で引きこもりのデブであったディボンドはレベル2のグリーンポーションを作った事がある。振りかけるだけで、その周囲の怪我人等を圧倒的な効果で回復させてしまうというものだ。
ディボンドそれを僕に見せた後沢山製作しただろうが、1人の人間には限られた物しか製作出来ない事を一番僕が知っていた。
ディボンドと入れ替わりのように彼が捕虜収容所に向かったのを見た時は、後は頼むよと心の中で思う、後で任せろよとさらに心の中で一言言い放った。
その場所に到達した時、フェイブマックスXを慌てるように乗り捨てる。もちろん【ミニチュアボックス】に格納する事は忘れない。
その扉に入った瞬間。
僕は信じられない光景を見ていた。
ここはリサイクルショップ(でんでん)で会ったはずだった。
ボロボロだった倉庫、しまいにはゴミのように積み上げられ、まだ使えるリサイクル品。
ミカンちゃんがこちらをみてにこりと笑ってくれた。
彼女は盾剣組織のメンバーを指示している。
「その道具はあっちにしまってねーそれはこっちで、そこ、それでも大事な商品だから傷つけないようにね」
ミカンちゃんは中学生なのにいっぱしの1人の大人のようになっていた。
彼女の適格な指示で、大人達はテキパキと動いている。
総数20人はいるであろうか、建物が造られて完成間際といったところだ。
どうやら僕があちらの世界に行った後にすぐ建設を始めたようだ。
それだけリンスケはマジで今後の事について考えてくれていたのだろう。
そして20人の人々は扉から突如現れた男性が新しい主人だという事を認識したようだ。
20人が整列した。
その前方には黄色のローブのアメリカ人であるフォスフォーカスさんがいた。
そのミカンちゃんと談笑しているのが浴衣の似合う男でお相撲さんのデンリュウだった。
「彼がわしらの新しいボスとなる。覚えておくように、名前はこれから彼が説明する」
【御意】
フォスフォーカスさんがばしっと決めると、20名の配下達は休めのポーズをとりながら、一糸乱れぬ列で整列していた。
この前まではリサイクルショップの倉庫として使われていたこの空間。
現在ではそれの5倍くらいは大きくなっているだろうし、近所のおじさんおばさん連中が煩そうだけど。
まぁ、うるさいというのはそんなお金はどこにあったのという野次馬精神だろうが。
「それではボスお願いします」
デンリュウから突然くだされたボスとしての発言に。
僕は戸惑いながらもごくりと生唾を飲み込んだ。
「皆さんの行動で1つの世界が救われるのです。弟はこちらの世界を救おうとしていました。しかし僕はこちらの世界とあちらの世界を救おうと思うのです。傲慢でしょうか? きっと傲慢なのでしょう、ですが僕は知ってしまった。あちらの世界にいる心優しい人達を。そして危険な人達を。危険な人達を止める事が僕らには出来るのです」
一区切りうつと、皆が真剣な眼差しで見つめてくれていた。
僕は一言一言を選びながら発言する。
「僕は弟のように素早い決断も出来ないでしょう、僕はこの世界ではグリーンヒーローとして有名ですが、あなた達もヒーローになれるのです。弟はヒーローの鏡でした。では皆さん、僕はあちらの世界を救わねばなりません、怪我などに効く軟膏などの薬を支給集めてください」
20人の人々は今日から仲間となり配下となる。
リンスケは彼等と相対しながら、ちゃんと彼等の話に耳を傾けていたのだろうか?
それは分からないけど。僕が今やらねばならない事は決まっている。
母親が現在経営しているリサイクルショップ(でんでん)に向かう事であったのだから。
「とっとと、ちょっとまくだせい」
フォスフォーカスさんが手を上げる。
「あなたは3人のうちの1人のボスとなられる方、リサイクルショップにいって警察の追跡範囲に入るのは困りものです」
「それは考え過ぎでは?」
「最近の警察を舐めない方がいいでしょう、そこで、リンスケ様は準備をしてまいりました。世界中のリサイクルショップからリサイクル品を購入するというとんでもない事をしました。リンスケ様には最高な資金があったのです。とはいえあなたにも資金はありそうですが。それとまた手紙ですのじゃ」
フォスフォーカスさんはふぉふぉと笑いながら皆に指示を出した。
「傷等が癒える薬のリサイクル品を探せ。薬のリサイクルは法律でなんたらだったが、世界のリサイクル業界はな、無駄を失くす為、不用品などを使っている所がある。まぁ闇業者みたいなもんじゃがなぁあ、片っ端から集めろい」
【御意】
20名の仲間達が沢山運ばれてきたコンテナ達を調べ始める。
その時に外の景色が見えたが。
辺り一面草むらだったり使われていない土地があったのだが。
それが無くなり、1つの工場地帯となっている。
「てめーらリンスケさんが死んだからってさぼるなよおおおお」
なぜかミカンちゃんが現場監督になってるし。
「やば、今日は部活でした。フォーカスさんとデンリュウさんちょっと行ってきます」
「お嬢、運転しやすぜ」
デンリュウが運転する車に乗ってミカンちゃんは中学校に向かった。
とんでもない中学生がいたものだと、少し恐怖に取りつかれそうだ。
このように指導したのはやはりリンスケなのだろうけど。
自分ですら億単位の一財産がある。という事は凄い昔から異世界を知っていたリンスケには膨大な量の財産があってもおかしくないだろう。
それをどうやって稼いだかは知らない。
もしかした盾剣組織のメンバーとして稼いだのかもしれない。
思えばリンスケの事を全然僕は知らなかった。
弟の事を全然知らない兄ってどうなのだろうかと思った。
悲しさのあまりきょとんとしていると。
20名の配下達がカートを引っ張って沢山の軟膏の入った袋を持ってきた。
彼等は必至でいて真面目に働いている。
いや彼等にとったら働くではなく人助けなのだろう。
もちろん彼等にも家族があるし給料も出るだろう。
「君達は人を助けたいか?」
【もちろんです。早く行ってやってください】
「ああ、ありがとう」
僕は20人の配下に圧倒されていた。
こちらをまっすぐと鋭い視線で眺めているのがフォスフォーカスさんであり。
僕は戦闘車両に次から次へと【傷薬軟膏】などを詰め込むと、戦闘車両をミニチュアボックスにしまい。
「じゃいってくる」
【御意】
20名の仲間達が腰を執事のように曲げて返事をしてくれる。
フォスフォーカスさんはにこにこしながらなぜか歯磨きをしていた。
老人になると歯が命になってくるのだろうか?
僕は扉の向こうにやって着て、戦闘車両に乗り込むと。
ドライバーテクニックで猛スピード運転をしながら、捕虜収容所に向かった。
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