第93話 5柱の魔人フウマ
体が風で支配される。
風その物のようにそいつはこちらに走ってくる訳ではなく、ゆっくりと歩いてくる。
僕はダイヤモンドの剣の真上を足掛かりにしてこちらにやってくる敵を見ている。
ここは落下中だけど空そのもの、後数秒後には僕と敵は地面に激突して、大ダメージを負う事になる。
それでも簡単に諦める訳には行かない、僕の生存または死亡で、すべての未来が変わる。
現実世界でも変わり、そして、この異世界でも何もかも変わるのだ。
それはまるで忍者のように体を包帯のようなものでぐるぐる巻きにしている。
そしてそれが戒めの道具だという事にもすぐに気づく、
なぜなら沢山の御札が張られているから。
「殺す相手には名乗る決まりだ。それがしは5柱の魔人フウマ、魔人族の代表としてやってきた。ディン王国と仲良くなっていく中で君たちの勢力は邪魔にしかならない、消えてくれ」
身動きが取れない、ここで死ぬのか、先に落下しても大ダメージ、ここで殺されても最悪な結末だ。
どうすればいいんだ。
頭の中でスパークを引き起こす。
ありとあらゆる可能性を考える。
すべてが無意味になろうと、すべてが可能性としてあろうと。
それでも今、やれることは、死ぬ事だった。
頭の螺旋状の記憶が、すべて死となった。
運命は動かない、
魔人族の男フウマは、5柱なのだろう。
この5柱さえいなければ、すべては上手くいっていたのに、絶望が自らの欲望へと身を乗り出した時。
「そりゃーないんじゃないの?」
そこには赤いサラリーマンスーツを着た林介がいた。
あれ?
まだ来るには早い気が。
「てか林介、どうやってこの飛んでいる空間に」
「ようは次元を斬っちまえばいいのさ。後、皆ワクワクしすぎて早く来たから、みんなそれぞれの担当とぶち当たっている所だよーん、あとここではリンスケとカタカナで呼ぶように、アメリカンチックでしくよろ」
僕は希望の光を見つけた。
「それでもこいつの死は変わらぬ」
「いんや変わってるよ」
その時、魔人フウマの右腕は剣ごと消滅していたのだ。
「うおおおおお、痛みがないぞ」
「そうだね、次元そのものを斬っただけだから、その右腕は別次元で存在してるよ」
「返せ」
「敵に返すほど、おれぁ、あまかねーんだよ」
林助が真っ赤に染まった。
次の瞬間。
「この名前を知らないかい? レッドサムライというのを」
「し、しっているぞ、お、おまえはああああああああ」
その時には全身を次元で両断され、生きたまま別次元に飛ばされた魔人フウマがいた。
「君はなんと愚かなものだろう、まってくれたまえ、お兄さんを助けにいかないと」
「ああ、できれば丁重にな」
「そうも言っていられないのさ」
とか言いながら僕事すべてを時空に斬り飛ばしたのであった。
全ての空間がゆがみ、全ての生命がゆがんでいる。
そんな気がしている。
その白い空間では沢山の映像が見える。
そこにこつこつとゲームマスターのようにやってくるのはリンスケであった。
あとがんじがらめにあって頭だけ別次元に飛ばされている魔人フウマもいた。
「ここは敵にはあまり見られなくないのでね、とりあえず頭は山の上に飛ばしておいた」
「えげつないな」
「そうかい? ここですべてを見る事が出来る。久しぶりにこの次元に来たから、次元ちゃんに嫌われちゃいそう」
「次元は生きているのか?」
「そそ、この次元もあの次元もさらにあの次元もみーんな生きている。生命そのものだと、親父に教わった。そしてこの次元を使えるのは俺とそしてあんたと父さんだけだ」
「でも僕には操作の仕方が」
「それを学んでいけばいい、まずはちゃっかり動いていて奇襲でも掛けるつもりであったオリスト君にお仕置き、あと魔人フウマちゃんには専門の殺し相手がいるから、そっちに転送っと」
「本当にゲームマスターだな」
「そういう訳ではないさ、オリスト君はグレイトゴブリンの王だね、オリスト君が赤ちゃんの頃にオリスト君の父親を殺したのがこの俺さ」
「それ威張る事じゃねーだろ」
「ちっち、威張っていいのさ、そうやって勝利条件をコンプリートしていくのさ、おお、この爺さんはリンゴーンだね、相変わらず偏屈な爺さんだったよ」
「リンスケは村に来た事があるのか?」
「おうガキの頃な、引きこもってた時期があって、何が正義か何が悪かが分からなくなったんだ。そして見つけたのが、親父だったわけ、親父はこの世界を教えてくれた。いつか兄貴にも教えたいとよく俺に言っていた」
「そうか」
「親父はこの世界にいる。どこにいると思う?」
「さぁ?」
「ディン王国の中、そしてディン国王は狼介でロウスケ、その息子がナーポレノンだよまったく想像もつかない展開でちたー」
「そうか、そう言う事か、ナーポレノンは扉を使ってこちらに現実世界に渡りたいと、それですべてを変えると、だからこんなに本気でこの村を」
「そのとーり、いえーす、ですが親父は責任を感じて、ナーポレノンを止めに行っただろうけど、その後は知りませーん」
「まぁそんな所だろうなぁ、つーかナーポレノンと血が繋がっているのは嫌だな」
「それは仕方ないさ。さぁ、皆の勇士を見てあげてよん」
そこに映し出されたのは、ウィルソンとディボンドであった。
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