第36話 天然国王は鋭い
その国王の髭はなぜか地面まで伸びていた。
その国王の髪はなぜか地面まで伸びていた。
その国王の体毛はなぜか地面まで伸びていた。
「つーかモップじゃねーかよ」
「ナンセンスだぜ、人間、モップではない、雑巾だ」
「あまり変わらないのですが、あなたが国王様ですか」
「いかにもコック王だ」
「それ別な意味かと」
「なにか? わしがコック王ではいけないのか?」
「あなたは見るからに国王であって料理長ではないですし、コック王とはどういう意味ですか」
「それは料理をすべる王様だ」
「聞いたことねーよ」
「ところで、君は誰だ」
「今頃おおおおお」
「父様、彼はわたくしの命を救ってくれた命の恩人なのです」
「おお、それは真か、ビールを一杯やろうではないか」
「父様、まずは彼の話を」
「そうじゃのう、彼、彼とは、つまり彼氏ということか、娘よ認めんぞ、いくら人間がいいからといって、父様をおいておいて人間と交尾をしたら、殺すぞ、いやぶっ殺す」
「赤裸々すぎるな、この国王、安心してください、僕とメイル姫には何もありません」
「交尾はしていないな?」
「そこかい、当たり前じゃないですか」
「安心した。それで君は誰だ?」
「だから早く自己紹介させろやああああ」
「すまぬ、ところで君は? うむ雑巾か」
「それ国王だからあああ」
「国王に雑巾とは名誉ある言葉だ」
「この世界では雑巾はどういう意味なの」
「布だ」
「単なる布でしたああああ」
「あっはっは」
「メイル姫笑ってないで」
「あら、すみません、この方は異世界から来ました」
「いつ僕が異世界から来たっていったのおおおお」
「心の目で見ましたわ、てへ」
「そうか異世界から来たのか、それで誰じゃ」
「いいから姫、この王様に僕を紹介してください」
「そ、そうね、この方の名前はヒロスケ殿、このエクスバン国家に交易にきました。麓の人間の村からですわ」
「ふむ、あの滅びかけた人間の村か、いまでは急成長しているとなっているなぁ、影ではお主のような人が頑張っていたのだなぁあ」
「それでです。ドワーフ王様が気に入るか分かりませんが、色々とお持ちしました」
フェイブマックスXの5台分の荷台残りの5台は変形させて収納している。
ドワーフ専用に集めてきた交易の品。
まず最初が子供用でおもちゃの宝石。
その宝石を袋から取り出すと、
ベピィーとリフィーの表情が真っ青になっている。
この2人がいるからなのか衛兵はいなかった。
それだけベピィーとリフィーが信頼されているという証でもあるのだ。
「おおおお、これは見たこともない宝石、わしの鑑定の目でもわからないぞ、これは未知の宝石だ。すごいことになるぞい、ぜひとも買い取らせてくれ」
「ちっち、まだまだありますよ」
僕はにやりとほくそ笑んだ。
ドワーフ国王は喜々としながら、まだかまだかと僕がサンタクロースのように白い袋をあさっていると。
「これです。湿布と呼ばれるものです」
「な、なんと、湿布とは何なのじゃ」
「例えば肩こりなど、筋肉痛など、あとは色々な怪我などにも使われます。国王様は肩こりとかありませんか?」
「うむ、雑務で肩こりがひどくてな」
「では肩に貼ってみましょうか」
「うむよろしく頼む」
ドワーフ国王が高そうな衣服の肩を露出させると、
僕はそこにゆっくりと湿布を張る。
「おおお、冷たくて気持ちがいいのう、ぐ、ぐおおおおおお」
ドワーフ国王がのたうち回る。
ベピィーとリフィーは真っ青になるも、
心の目を使っているメイル姫には一切のビビりは生じない。
するとドワーフ国王は立ち上がった。
ぴんぴんとしている。
そして彼は突如体を動かすと、
「すごいぞい、肩こりが治ったぞい」
現実世界だと治るのに数日はかかるとされるものだ。
しかしこの世界の魔力と結合することにより、
湿布薬はとんでもない力となる。
この世界の魔力と結合させた湿布薬を現実世界に持ち帰るとどうなるのだろうか?
恐らくだけど最高な湿布薬になるだろう。
「買う、買うぞその湿布薬、国中に広めれば、もっともっと鉱山を掘り当てる事が出来るぞい、地下設備だって作りたいほうだいじゃ、ふぁはははっははは」
「お気に召しましてありがとうございます。次が最後ですが。プラモデルの設計図であります」
ダダンと見せつけるように設計図事書類を取り出す。
実はリサイクルショップにはプラモデルが売られている。
誰も作っていないものを中古として売り飛ばす人がいる。
それを僕は適当に持ってきていた。
そのプラモデルの名前をドラロボという。
このドラロボは色々なドラゴンたちを人形にしたものだ。
その設計図、とはいえプラモデルの設計図をドワーフ王に見せると、
彼はそれを隅から隅まで見つめている。
「ふぉおおおおおおおおおおおおおおお」
ドワーフ国王は突然発狂しだした。
「これなら作れますぞ、巨大ロボットですなぁ、これならこれなら最強部隊が」
「それはいけません」
僕は突然断言する。
「僕は許しを貰えれば、ドワーフ王国とエルフ王国とその他の種族と交易路を作ろうと思っています。僕がやってきた山の麓の村もです。ですがそのためには山賊、または利益の事しか考えない国軍、つまりディン王国などから交易の品を守るために、あなたたちの技術で最強なガードマンが必要なのです」
「おおお、そういうことなら、任せたまえ、だが、人間を」
「安心してください、僕はなるべく戦争をしないように奴隷のドワーフたちを解放できると思うのです。そのためにはドラロボの完成と交易路が必要なのです」
「うむ、その交易路なのじゃが、手伝うことはできないだろうか?」
「ぜひともお願いします。ですがドラロボを最低でも5体は作ってください」
「任せろなのじゃ」
するとメイル姫が手をあげた。
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