第26話 特産品は何がでるか分からない
さっそくフェイブマックスXという意味不明のバイクに跨る。
後ろの荷台には10個の連結された板が続いている。
その上に袋を縄で固定してある。
袋の中はガチャガチャに使う入れ物と、ガチャガチャで出てくるフィギュアたちだ。
お袋が店番をしているリサイクルショップ(でんでん)に変装してフィギュアとカプセルを爆買いして、巨大倉庫に沢山ある入れ物というかガチャガチャしたら出るやつを準備するのに数時間がかかり。
事の発端者である林介は逃げました。
兄として活を入れる必要があると常日頃から思い。
長い長い数時間の苦闘は、寝る暇すら与えてくれなかったのだ。
そして朝になった時に終わり、現在に至ると言う訳で、異世界に続く扉を開いた。
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巨大倉庫(現実)→村(異世界)
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フェイブマックスXのバイクのスピードは結構出ることが判明した。
それプラス後ろには沢山のフィギュアがある訳で、これがなければ相当なスピードになるだろう。
草原をバイクがドライブしている。
異世界にバイクというシュールな組み合わせに僕は苦笑しつつも。
村に到着すると。
村人達が僕のバイクでフェイブマックスXを指さしている。
子供たちは乗ってみたいとかわくわくしている目つきこちらを見ている。
バイクの後ろにはまるで連結トラックのように、10個の板がタイヤによって回転している。
板数枚はカプセルに入ったフィギュアと、がちゃがちゃの器具が揃えられている。
村人の異変に気付いた村長娘のネンネちゃんはこちらに走ってきた。
「すごいですね、その乗り物はどのような原理で動いているのですか?」
「ガソリンというものだ。だけどこの異世界に入ったらガソリンメーターが減らなくなった。恐らく今は魔力で動いている」
「乗ってもいいですか?」
「おう、乗ってもいいよ、ちょっとドライブでもするか」
といいつつも連結部分を解除して村長娘の家に預ける。
もちろん大量のカプセルに入ったフィギュアたちもしまう事も忘れない。
ネンネが後ろに跨り、密着すると。
なんだろうかありがちな事なんだけど、胸がすごく密着して、ふわふわだ。
ネンネは普通の胸だと思っていた。
アクシデントで彼女の素っ裸を見たときも結構な距離があったから普通だと思い込んでいた。
ネンネは隠れ巨乳である事が判明したのだ。
煩悩退散と自分の理性が飛びそうになるのを冷静に抑えて、
話に耳を傾ける。
バイクはゆっくと村から出て、草原を走り続けた。
風が僕達を追いかけて来るように、ぶわりと舞い上がる。
木の葉が空中に飛び交い、まるで幻想的なシーンを演出してくれる。
木々達は歌を歌うように、木の葉を擦り合わせている。
冷たい風はいつしか暖かい風になる。
雲はなだらかに動いて、爆弾みたいな雲になる。
雲が沢山の風で飛び散り、まさに爆弾が爆発した雲だと思った。
「あれはなんだ?」
そこには緑の人間が走っていた。
それも普通の人間の半分くらいの大きさだ。
最初小人かと思ったが、それにしても結構な大きさだ。
「ゴブリンの大群ですね、後ろからはドラゴンが来てます」
そのドラゴンと呼ばれた生き物は大きな翼を広げて、空の覇王らしくゴブリンを狙って急降下する。
ゴブリンが1体殺される所を見ていた。
ドラゴンは緑と青の鱗をしている。
普通のドラゴンなのかもしれないけど、なぜああまでゴブリンを追いかける事をしているのだろうか?
そこが疑問だったが。
先頭を走っているゴブリンを見た時に納得した。
そこには巨大な卵を抱えているゴブリン達がいたのだ。
ゴブリン達が森に入ろうとしたまさにその時。
沢山のゴブリン達が現れて弓矢でドラゴンを射殺しようとする。
雨のような矢を受けたドラゴンは唸り声をあげて地面に墜落する。
そこへ沢山のゴブリン達がわんさかと群れて止めをさそうとしている。
僕は咄嗟に動いていた。
別にドラゴンが格好いいからとかそういう理由ではない。
どこの世界にも子供を奪われていい生き物なんていない。
「あの卵はおそらくゴブリン達が食用にするようです、なんとか助けられませんか」
走りながらネンネがお願いしてくる。
「分かった! ネンネはこのバイクを守っててくれ」
「お願いします」
ネンネにお願いされたとあってはやらない訳にはいかない。
翼の朽ち果てたドラゴンは目の前に現れた人間を見てきょとんとしている。
【人間、なんのつもりだ】
まるで母親のような女性の声が頭に響いた。
「あんたを助ける」
【助けなど不要だ】
「見るからにあんたは殺されそうだ」
【それもいいだろう】
「だけどあの卵はあんたの子供だろ」
【そうかもな、だが、もう我には生きる生命力がない、先程の矢は心臓に突き立っている。長くても10分だ】
「なら、ならなんでそんなに悲しそうなんだよ」
【子供の誕生に会えないほど無念はない、そして今後子供が無事に生きてくれる保証もない】
「ならあんたの子供を僕が育ててやる」
【それは真か】
「ああ、そうだ」
【なら、助太刀いたそう】
「僕が助太刀するんだよ」
【なんとすまぬ】
ゴブリン達の数は20体ほど。
どれもが歴戦の猛者のように強そうだった。
されどゴブリンはされどゴブリンなのだ。
「ヴぉおおおおおおおおおおおおおおお」
ドラゴンが雄叫びを上げると、ゴブリン達が尻込みする。
その時僕は地面を蹴った。ダイヤモンドの剣を抜きざま、弟とちゃんばらごっこをして覚えた剣術を使用する事とした。
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