第12話 巨大倉庫の中は研究所
雑談会の後、村長娘のネンネさんと農家のリーダー女性のネッティーさんが薬草3箱、鉱石1箱を持ってくれた。あとはスライム樽1個もだ。
やはりネッティーさんにも岩の隙間にある扉は見えなかった。
「なるほどな、お主にしか見えない扉があって、そこが日本と呼ばれる世界と繋がっていると、かえって君だけにしか見えないのは良かったな」
ネッティーの思わぬ発言に、僕は途方にくれつつも疑問を抱くことになった。
「考えても見た前、お主以外でその扉を見る事が出来る人がいたら、そいつらはお主の世界に行き、争い事を産むだろう。それならお主だけがこの世界にやってくるだけでも助かるというものだ」
「ネッティーさんは現実主義者なんですね」
「そうか? うちも修羅場を潜ってるからね、さて、うちはここで待ってるから、ネンネに一時的な別れをすませなさい、お主はあれと出来ているのだろう?」
「出来ているというわけではありませんが」
「気にするな」
心の中でそれは気にするよと突っ込んでいた。
ネンネさんは薬草が積まれた入れ物の箱を持ってくると。
「ここに置いておきますね、ヒロスケさんはこれらを日本で沢山売って母親孝行してください、わたしには父親も母親もいませんから」
「ごめんな」
「ふふ、ヒロスケさんが幸せならいいのです。また数日後に合いましょう」
「おう」
僕は日本の北海道の手稲区のリサイクルショップの巨大倉庫に繋がる扉を開けた。
まるで掃除機のように3つの薬草籠と、1つの鉱物籠が吸い込まれたのであった。
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村→巨大倉庫
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現在僕は巨大倉庫に設置されてあった研究所に入っている。
その研究所は林介が言っていたように、改築されていた。
あらゆる機材が揃えられた物を見ると、
さすがに感動してくる。
そもそもこの研究施設は父親が使っていたもので、一体何に使っていたのかすごく興味があるが、もしかしたら父親も異世界に入った事があるのではないかと少し前から疑問に感じている。
そして少し前から抱く疑念は父親が異世界人なのではないかということだ。
生前に発言していた内容の言葉を今更思い出していたのだ。
そこには異世界に通じる何かがあった。
「まずは薬草からと」
まずは自分の体で実験する事とする。
恐らくだけど異世界のものを日本に持ってくると、色々な化学反応が起きる。
それは日本の物を異世界に持って行く事でもある。
日本の物を異世界に持っていくと、日本の物と魔力みたいなものが融合して、ありえない物になる、それは作物の種しかりというもの。
その逆の場合はどうなるのか、
もちろん村長娘から巨大トマトと巨大スイカと巨大メロンの種を分けてもらっている。
やはり普通の種よりでかかった。
最初の実験は医療用メスを右手に持つと、左腕を斬りつける。
メスはとても鋭いものなので、いい加減に斬りつけると大量出血ものになる。
なのでゆっくりと3センチほど切ると、少しだけ腕の肉が引っ張られるような感じになる。
あと間違ってもリストカットしているわけではない。
薬草を薬にする前に、薬草の状態ですりつぶして、それを右腕に塗ると。
恐ろしいことが起きる。
1秒で傷口が回復したではないか、しかもその皮膚が新しくなり、その周囲の細胞まで生まれ変わる。
そんな事をネンネは言っていない、1秒くらいで治るとは教えてもらっていたが。
しかし周囲の細胞が若返るという現象は初耳だった。
これがこの世界と繋がる事で生じる薬草の力。
次は薬草の全てをかき混ぜて、すりつぶして、出来上がった白い球。
これは病気の人に飲ませないと分からないので、10個ほど作ると、
僕は車に乗って、病院に向かった。
母親はリサイクルショップで接客仕事をしていたが。
あともう少しで楽させてあげれるよと僕は心の中で思っていた。
こういった品々は普通にリサイクルショップで売っても売れないだろう。
そこで林介の出番だ。
インターネット販売というもので、なんとかするしかない。
問題は薬として国が許可してくれるかだ。
そこは林介と相談しよう。
到着したのは手稲駅の近くにある。手稲総合病院だった。
手稲総合病院はこの手稲区で一番でかいとされる病院だ。
一時期祖父が心臓病で入院しており心臓に機械を入れる時、手稲総合病院でお世話になった。
その病院には大勢の病気を抱えている人達がいる。
僕は患者の家族のふりをしながら、1階のナースステーションを通過する。
1階には子供などの小児科の患者がいて、さほど重たい病ではないとされる。
2階にはガンの病気の人がいて子供も大人も関係なくいる。
中には病気で手足を切断していた人達までいる。
2階には20部屋ある。
1部屋に3人くらいの患者がいる。
2-1号室に入る。
そこにいる少年の目には包帯が巻かれてある。
そして苦痛のせいなのか、悶え苦しんでいる。
母親は涙を流して苦しむ少年の右手を掴んでいる。
僕は私服の医者のふりをしてそこにやってくると。
「この薬を飲ませてあげてください」
「あなたは、先生なのですか? でもいつもの先生と違うような」
「僕を信じて」
「ですけど、失礼ですけどあなたは誰なのですか?」
「通りすがりのヒーローさ」
ヒーローという言葉に反応したのは少年だった。
「その薬を飲めば痛みがひく?」
「もちろん」
少年は止める母親の言葉など無視して、その薬草団子の薬を飲み込んだ。
次に起きた現象は、僕の人生において最高なものだった。
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