終戦


平成20年 7月


日本政府から終戦への調整を依頼され、リトル・トーキョーでの加州新聞社長フジモトことジョージとの会談を終えた沙羅は、最終的な調整の為同行の外交官とそのままワシントンDCへ飛び、結局、合衆国での仕事を終え帰熊出来たのは学校が夏休みに入る少し前であった。

そして、その帰熊した沙羅の姿は実咲の家にあった。




「沙羅、おかえり、そしてお疲れ様」



「ただいま、実咲のパパ達も頑張ってくれたし、上手いこと終わらせられそうよ」



「本当、沙羅は気付いたらどんどん遠くに行っちゃうなあ」



「防災とかに関するのはともかく、政治に関わるのはもう嫌って思ってたけど、今回の戦争のおかげでいよいよ後に引けなくなっちゃった」



「沙羅って裏で動くのとか向いてるのかもね」



「やめんね、あ、もうそろそろ帰るね」



「ふふ、じゃあまた学校で」



この日より数週間後、日中両軍は全面的に停戦。開戦より1年程、日本軍は停戦の少し前に核施設を制圧していた。これより両国は国連の仲裁で和平へ向けての交渉に入り、正式に戦争状態が終結したのは更に数ヶ月後の事であった。

日本では平成19、20年戦役とも呼ばれた日中戦争の結果は、日本の勝利に終わった。

その和平の主な条件としては中国国内の核施設への国連原子力調査団の派遣を認める事、日本軍中国軍双方が開戦前の配備線まで撤退する事、中国は改めて台湾島、新南群島を日本領として認める事等があった。



かくして、複雑な事情が絡んだ戦争は終わり、平和が戻ったはいいものの、日本政府が内密にしていたその事情を沙羅、そして何より国防総省が明るみに出した事で、国民の政府への不信が高まりつつあった。











































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