半夏生(Ⅱ)

梅雨明け前の七月はじめの日


太陽が黄経100度を通過する日を

半夏生はんげしょうというそうな

今日がその日だと知った



片白草かたしろぐさと呼んでいた

その草に半夏生はんげしょうの別名があるらしい

半夏生はんげしょうの頃に花が咲くからとも

葉の一部を残して白く変わる様子からとも


色々な由来を辿っていくと

不思議な物語の中に

入っていくような気持ちになる



梅雨のジトジト湿気は

好きになれないけど

半夏生はんげしょう」と

口に出して呟くと


やるせないような

なのに懐かしいような

複雑な想いに駆られる


雨に濡れている片白草かたしろぐさ

あれは、わたしか


いっそ雨が止まなければいいと

哀しみの全てを隠して欲しいと

空を睨んでいた、わたしの幻影




いや、

やっぱり梅雨は嫌いだ


今はこうして梅雨明けを待っている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る