一枚の絵

この絵は

わたしを描いたもの

あの頃のわたし

まだ先に待つものを

何も知らなかったわたしを

まだ先に待つものを

何も知らなかったアノヒトが

描いてくれたもの


形見になった絵

額縁の中のわたしは

黒い服を着て俯いている

残る絵筆の跡を

硝子越しに目で追った

閉じ込められたままのわたし

閉じこもったままのわたし


あれからの年月など其処には無くて

ただ、あの時間だけが

静かに囚われている


この1枚の絵の中に

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