空が泣いている

昨夜から降り出した雨は

止む気配もなく

風に吹かれ窓硝子に当たる雨粒は

そこからツーっと流れ落ちて

まるでとめどなく流れる涙のようで


泣けないのか

泣かなかったのが癖になったのか

今ではわからないけど、そんなの

どっちでもいいことかもしれない


代わりに泣いてくれている空

窓を開けてその涙を掌に受ける

後から後から落ちてくる空の涙

掌から溢れて零れていく


空はずっと泣き続けていて

わたしは泣いていない

ただ哀しみだけが

ひび割れた心に沁みこんでいく


わたしは泣きはしない

空だけが泣き止まぬまま

涙雨を風にのせて

窓硝子を叩き続ける

雨はただ降り続いている


空が泣いている


心が泣いている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る