うどんの優しみ

まだ肌寒い夜、汁物が食べたくなる

出来れば麺類がいいな

蕎麦も好きだし

チャンポンにも惹かれる

ラーメンも捨て難いけど

今夜はうどんがいいな


手をかけるのはしんどいから

そんなに凝ったものじゃなくて

刻み葱におぼろ昆布、天かすがあれば充分

麺はいつもより少し柔らかめにして

溜息をひとつ、湯気に紛らせて吐いたら

てのひらに丼の温もりを感じながらゆっくり

そうそう、七味唐辛子を二振りほど

おぼろ昆布と天かすは

トロトロに溶けて出汁と混じって

渾然一体となった時が好き


食べ終わって、ほぅと大きく息を吐く

いつの間にか身体と共に

心がぬくもっている


この不思議な、うどんの優しみ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る