ニセモノ

いつの間にやら、わたしは

少しずつ色んなものを諦めて

穏やかな顔になっておりました

けれどもそれはニセモノです


ホンモノならば

こんなに寂しくはありますまい

不幸だなどとは思いません

それでも幸せだと笑えない


わかるのは

わたしがニセモノだということ

いつ揺らぐかわからないなぎの海

抱えているのは嵐の気配


諦めて抑えて

だけど真実ホンモノの心を晒すだけが

正解ではないこともあるから

それはわかっているから


わたしは今日も

ウソツキのニセモノです


穏やかな顔をして

わたしにメッキを被せます


少しでもわたしがもつように

できるだけわたしがもつように


深い深い海底の魚の目をして

ニセモノのわたしは微笑みます

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