第六話 『白き獅子の継承者』 その13



 ―――弓姫は竜の背で、『隠し砦』の頂上部に飛べと叫んだ。


 そこならば、ここから近く、手当も出来る。


 涙は、あふれそうになる……だが、彼女は『マージェ』、竜のためにも強がった。


 竜は、ただ、ひたすらに翼で空を叩くのみ。




 ―――黒猫は、空を飛ぶ竜の脚を伝って檻のなかに。


 昔、自分もいたからか、黒猫は7人の少女たちに親しみを覚える。


 ……だから、兄の言葉を口にする、その怯えきった少女のために。


 だいじょうぶ、私が、守ってあげるから。




 ―――黒猫の手術が始まるのさ、彼女は竜に『順番』を訊く。


 竜は『ドージェ』の目が探った『順番』を、黒猫へと語る。


 次に爆発するのは、茶色い髪で右目の下にほくろがある子。


 そうだ、戦いながらも、『ドージェ』は調べていたのさ、手術すべき順番を。




 ―――空のなかで、手術は次々に行われていく。


 縫合している糸を冷えたナイフの銀の刃で切り裂いて、爆弾をつかみ、空へ捨てる。


 糸で縫う、しっかりとは縫えない。


 だから、次の手術に取りかかる。




 ―――幾つかの爆弾を抜いたころ、竜は『隠し砦』にたどり着く。


 檻のなかに、すばやく弓姫が入って来た。


 泣いていない、すべきことがあるのだから、あの男の正妻は泣いてはならんのだ。


 エルフの秘薬と、聖なる蚕がつむいだ無菌の糸で、弓姫は手術に参戦する―――。




 ……戦っているのさ、みんな命をあきらめていない。だから、ソルジェ。君もそうすべきなんだよ、君の生き様は、こんなところで終わらない。




「…………ん」


 ……全身がクソだるい。とくに、手首が痛えなあ。おお、足が……どこにもついてない。右もだし、左もだ。そうかよ、なるほどね……。


 吊り下げられているということか……。


「あら、起きたのね?……常人なら丸一日は眠っている薬を打たれたのに」


 女の声だ。


 なるほど、お前か、アニス・ジオーン。


 オレの視界が鮮明さを取り戻していく……そうだ、カビ臭い地下牢で、オレは天井から伸びた鎖に吊り下げられている。予想通りね。


 そして、『竜鱗の鎧』は脱がされている。それどころか、上半身は裸だ。淫乱女の趣味なのか、靴も脱がされ裸足だな……ザ・虐待されてる捕虜っていうイメージの状況だよ。


 まさか、我が身にこんなコトが待ち受けているとはね?リエルとベッドにいた数時間前からは、想像もつかないことだよ。世界はやさしさと残酷さとか、色んな側面があるものだが、この数日は本当に波瀾万丈だ―――ッ!?


 バシイイイインンンッッ!!空気が破裂するような音を、耳が聞く。なにが起きたのかは、オレの肌が知っていた。アニス・ジオーンが、オレを鞭で叩きやがったのさ。オレの腹が、熱くなる。いいや、それだけじゃ済まない、皮膚が裂けて血がにじむ……クソ女めッ!!


「アハハハハハッ!!声も出さないんだから、さすがよね、ソルジェ・ストラウス!!」


「……あんまりにも、ベタなことをされているもんでな。お兄さん、ちょっと恥ずかしくて言葉にならないのさ」


「まあ。本当に口の減らない男よね?拷問されているのよ?」


「まあね。で、ガラハド・ジュビアンよ?恋人にばかり任せて、お前はそこでオレを見ているだけか?」


 そうだ。この地下室には、ガラハドのクズ野郎もいる。ヤツは、オレをあの赤い目をにやつかせたまま、吊されたオレを見ていた。


「……拘束したお前を見ていると、勝利の気持ちがあふれてね!!ああ、見ているだけでも楽しいほどだよ」


「そうかい。変態野郎め」


「ロリコンのお前などに言われたくはない」


 失礼なヤツだ。オレはシスコンだが、ロリコンではない。ミアへ抱いているのは家族愛であり、性的な衝動はないぞ?


「ふん。オレはシスコンなだけだっつーの」


「どっちも一緒でしょ?」


 アニスが口をはさむ。


「オレは妹が好きなだけさ」


「なんだ、ソルジェ・ストラウスもやっぱり変態ね!!」


 クソ女がオレにまた鞭を振ってくる。痛いね。だが、それよりも、怒りの方が強い。オレににらまれたアニスが、後ずさりする―――しかし、ガラハドが後退する恋人の背に回り、彼女の怯えを許さない。


「ダメだぞ、アニス。猟兵は、逃げちゃあダメじゃないか?」


「……そうねえ、ガラハド」


「ああ。ほら、ソルジェに鞭をくれてやれ?……いつもオレが君にしているときみたいにさあ?」


「ええ。そうするわ!」


 ド変態カップルのクソ女のほうが、勇気を取り戻してオレへと接近する。そして、鞭を入れた。狂ったように、何度も何度もだ。皮膚が爆ぜて、血があふれる。クソ痛いね。ほんと、ムカつく。


「……ふむ。さすがは親父の『一番』だ。この程度では、顔色一つ変えないか」


 ガラハドが近づいてくる。


 殺すチャンスだが、オレに打たれた薬とやらの影響なのか、手足がまだ動きそうにないな。ガラハドの手が、オレの体に触れてくる。正直、男にさわられるぐらいなら、アニスの鞭の方がよっぽどマシだ。


「……んん。素晴らしい肉体だ。さすがだよ、ソルジェ。かつてよりも、なお、その強さを増しているようだな」


「気安く触ってんじゃねえよ」


「ほう。男の指は嫌いかね?」


「当たり前だろうが」


「だが、親父には躾けられただろう?」


「……はあ?」


「拷問に耐える訓練を、施されたのではないか?」


「―――ガルフ・コルテスは、オレにそんなプレイをしたことはないぞ」


「ほう。親父の愛の鉄拳を、受けたことがないのか……くくく。残念だな、ソルジェ・ストラウスよ!!」


 ヤツの爪がオレの体に食い込んでくる。痛いし、ムカつくね。そして、気持ちが悪い。


 その狂人はガルフへの偏執をイメージさせるに十分な表情になる。ガルフに殴られた自分を見せびらかしたいのだろう。じつに歪んだその笑顔を、見せつけるかのようにオレの顔へと寄せてくる。いや、オレの誤解ではない、その分析通りだろ?お前はファザコンをこじらせているようだな。


「オレの勝ちだぞ!!ソルジェ・ストラウス!!オレは、9つの頃から、親父の鉄拳で鍛えられてきた!!おかげで、オレは、どんな拷問にも耐えられる!!お前よりもな!!」


「……ふん。変態の自慢をされても、たまらないね」


「ソルジェよ!!分からんのか、親父の『一番』よ!?……オレのほうが、お前よりも、親父から愛されていたことの証拠を、オレは言ったのだぞ?」


「そうかい。そいつは良かったな」


「ああ。ありがとう。確かめられて良かったよ。オレは、ときおり不安になった」


「……不安ね?」


「そうだ。息子であるオレよりも、他人であるお前の方が、親父の『一番』であることに屈辱を感じていた。それはそうだろう?」


 狂人の父親へのおかしな愛情を聞かされているのだろうか、参ったね。


「オレこそが、このガラハド・ジュビアンこそが、『白獅子』、ガルフ・コルテスの後継者に相応しい唯一の男なのに。お前なんぞに負けていたのだからな」


「劣っているという自覚はあったのか?だろうな、超えたければ、一対一で勝ちに来るものだ」


「いいや。そうではないぞ、ソルジェ。オレたちは、『何』だ?……猟兵だろう?あらゆる手段を用いても、勝つ。それで強さと有能さを証明する」


「……なるほど、間違った理屈ではない。オレを捕らえたこの今がある以上、たしかにお前は猟兵として、オレを超えているのかもしれんな」


「ああ!!ありがとう!!さすがは、親父の『一番……だった男』だ!!」


「……今日から、お前が『一番』になるのか?」


「当然な。祝ってくれよ、ソルジェ。今日は、オレの誕生日だよッッ!!」


 そう言いながら、ヤツの腹へと拳を入れる。殴りやがった。クソ、打たれた薬がまだ抜けない。腹に力が入りゃしねえよ……っ。


「……おや。鞭よりも、効いているみたいだな?」


「へへへ……どうかね、お前のパンチなんか―――ッ!?」


 フックが、オレの顔面を殴りつけてくる。何度も、何度も、ガラハドは憎いオレのことを、殴り続けて来やがるのさ。クズ野郎め。サンドバッグ代わりかよ……ッ!!


 しばらく殴られ続けると、さすがにオレもグッダリとしてきた。バカみたいに鼻血は出やがるし、口のなか、血の味がする。


 ヤツの指が、オレの頭をガッシリとつかむ。


 興奮状態のガラハドが、オレに近寄る。主張するのだ、自分こそが勝者だと。


「オレはな、ソルジェ!!貴様に、勝ったぞ!!今あるこの現実が、オレの正統性の証明なのだ!!最強の傭兵は、『白獅子』は……ッ!!オレが継ぐのだッッ!!」


 最強の傭兵……?


 『白獅子』ね。


「……くく、くくく!」


「……何が、おかしい、ソルジェ・ストラウス?」


「ハハハハハハハハハハハハハハッ!!」


「何が、おかしいと聞いているんだッッ!!」



 ヤツの拳が、オレのアゴを横から殴る。クソ、馬鹿力め……オレの体から、もう少し薬が抜けてなかったら―――首が折れている勢いだぞ。


「どうして、笑った!!教えろ、ソルジェ!!答えろよ、ソルジェ!!」


「……分かんねえのか?……お前は、ガルフを理解していない」


「ちがう!!理解していないのは、お前のほうだッ!!」


「ガルフは……ヒトを憎んじゃいなかった……」


「なんだと……」


「殺しまくっていたが……猟兵らしい殺し方の全てを……知り尽くしていたが、彼は妄執になど囚われなかった……オレやお前では、あの自由さには、達することはない」


「ハハハハハハハハハッ!!」


 馬鹿に笑われると、オレでも腹が立つ。とくに、この馬鹿な上にクズな男に笑われるとな。


「何だよ、ガラハド?」


 何、笑ってやがる、このクズ野郎が―――。


「分かっていないのは、お前だぞ?」


「はあ?」


「お前は、よくオレのコトを残虐だとか、クズだとか言いやがるが」


「真実だろう」


「ああ!!そうとも!!だがなあ、この戦い方の全て、心の在り方すべて……それは、親父の『全盛期』を模倣してのことだよッッ!!」


 ……ガルフ・コルテスの全盛期ね。オレと会った頃には、とっくに老境。二十年以上の昔から、ガルフを知っているコイツには、その知識では勝てないな。


 ん。オレは、ガルフの知識で負けたことが、口惜しいのか?……馬鹿な。だが、まあ、そうかもしれないな。彼は、オレの『師匠』だ。コイツの親父だろうが、関係ない。オレの師は、全員、オレのモノだよ。


「オレは、お前の知らない『白獅子』を追求してきたッ!!最強無比の傭兵!!猟兵と名乗り、敵対したあらゆる強者も弱者も、駆逐してみせたッ!!それが、ホンモノの『白獅子』なのだ!!それを知らぬお前などが、親父を語る資格はないッッ!!」


「……たしかに、オレはガルフの『昔』まで知っているわけじゃない。だがな、ガラハド・ジュビアンよ?」


「……なんだ、ソルジェ・ストラウス。オレは、イラついているぞ?よく、考えて、発言することだな」


「―――ガルフが選んだのは、オレだろう?」


 ガルフ・コルテスに歪んでいるほどの愛情を持つ彼には……ちょっと、辛辣な事実だったようだね?ガラハドちゃんは、オレには言語として聞き取ることの出来ない叫びを、あの死に化粧を施した唇から放っていた。


 散々に、わめいて、狂ったように地団駄を踏む。


 オレを殴り、蹴り、首を絞めてくる。


 それでも?もちろん、唇を歪めて、滑稽でかわいそうなガラハドちゃんを嘲るための表情をつくるのさ。だって、オレは男の子。嫌いな男が苦しんでると、死ぬほど楽しくなっちまうからね!


「わらうなあああああああああああああああああああああああああッッ!!」


 そう叫びながら、ヤツはナイフを取り出す。殺されるのかな?いいや、そうじゃないみたいだよ。ヤツはオレの左手首、それから十数センチ上のあたりに刃を当てる。ああ、そうかね?コイツは、人の手足を切り落とすのが趣味だったね?


 でも。


 分かるよ、君は、ガルフ・コルテスの『子』だからさあ?……オレの手足を切り落とすことは出来ないんだよ。


「そるじぇえええええええええええええええええええええええええええええッッ!!」


 それでも、これぐらいはやれるのかね。ヤツはオレの左前腕部にナイフを押し当てて、手指を動かすための腱を、切っちまいやがった。ガルフの戦術じゃあるな。解剖学を熟知することで―――ヒトの弱点を研究している。


 そうだ。その傷を負わされたら?手術して腱でも縫い合わせない限り、オレの左手の指はろくすっぽ動かんさ。ああ、クソ痛いよ?血もダラダラ垂れてくる。しかし、戦場の暴力の水準からしたら?ガラハドちゃんにしては、甘すぎるよね?


 その理由?


 知っているよ。


「……ふん。劣等感とは怖いモノだな」


「なんだと!?」


「そうだろう?ガラハドよ、お前はオレを超えた存在だと語ったが、アレは自分にウソをついている言葉だな?」


 猟兵は黙る。そうだ、狂気を宿した、ガラハド・ジュビアンでも……男としてのプライド、あるいは劣等感が、オレとの対決を望んでいるのさ。


 策にハメて、多対一でオレに勝ったとか?


 そんなことでは足りない。それで『最強の猟兵』と名乗ったところで、自分が納得出来ないさ。認めたくないが、コイツは超一流の戦士だからね。戦士が、戦士として相手を超えるとはどういう意味か?……戦いで殺すことだけさ。その事実ぐらい、ヤツは知っている。


 捕らえた『捕虜』を殺したところで、この『ガルフに選ばれなかった二番目の男』は、『ガルフの一番であるオレ』には永遠に勝てないのさ―――その序列を最も気にしているガラハドだからこそ、葛藤しながらも、オレに致命傷を与えてこない。


 利き手じゃない左手の腱を切ったのが、彼に出来る唯一の抵抗だ。あくまでもオレの戦闘能力を残したい―――残したいが、勝てるぐらいには弱らせたいのだ。


 彼の葛藤に気がつくことが出来るのは、きっと、世の中でオレだけ。


 残念だが、オレと彼には一種の類似性があるのを認めようじゃないか。オレたちはガルフをかなり尊敬している。その技巧の数々を賞賛しているし、オレは後年の彼の『自由さ』に憧れたし?……彼は、ガルフの全盛期の『強さ』を崇拝している。


 だが。


 残酷な現実があってね。


 ガルフは子育てに失敗し、このクズ野郎を見限って、オレとつるんでた。死ぬまでね。彼は『養子』であるガラハドよりも、オレといる方を選んだのさ。


 その事実は、ガラハドからすれば、あまりにも口惜しいことらしい。


 だから、証明したがっている。


 オレを本当の意味で超えるしか、この男はガルフ・コルテスの選択を覆したと納得出来ないのさ。哀れなほどに、ガルフ・コルテスに囚われてしまっている男ではある。そんなに死んだ男の『一番』になりたいのか?


 下らんな。執着が強すぎる。だからこそ、ガルフはお前にドン引きしてた。ガルフはかなり無責任な男だからな?自分の責任とかを感じたりするヤツじゃない。お前が変なのは、お前の責任だと断言していたよ。


「おい、変態野郎……認めちまえよ。オレと、戦いたいんだろ?……勝ちたいのさ。だから、お前はオレをここで殺すことも出来んのだ。二番目だからな」


「……ああ。そうだ!!お前には、分からないと思っていたぞッ!!この苦しみがな!!親父が、拾って、育てのは、お前ではないッ!!オレなのだッ!!それなのに、お前は、お前が、一番、愛されていることには、腹が立ってしょうがないッ!!」


「……そうかい?で。そのナイフで次はどこをえぐる?何を奪えば、オレに勝てると考えているんだ、二番目のガラハドちゃん?」


「奪ってやるさ……お前に宿り、お前の本来の力じゃない、その『力』をなああッ!!」


「……なるほど、たしかに……この『魔眼』は、フェアじゃないかもな?」


「そうだ!!それさえ、無ければ、親父は……親父は、お前を一番には選ばなかったはずだッッ!!」


 ……そうだろうか?


 オレにはよく分からない。そもそも、べつにガルフの『一番』とやらになりたいわけでも……いいや、素直になろう。オレは、そうだ、ガルフ・コルテスの真の継承者は、オレであるべきだと確信している!!


「だから、貴様のズルいその『眼』を!!奪ってやるんだああああッ!!」


 ヤツの手がオレの顔面を固定する。ほんと、なんて人生だろう?左眼を、人生で二度も刃物で切り裂かれたヤツは……さすがにオレぐらいじゃないのか?


 オレは猟兵。恐怖を与えるだけの存在。だから、目玉に迫る鋼の尖端をにらみながら?ザクリと刺されてしまう。痛みと共に、一瞬だけ視界が白く光ったと思うと……今度は暗黒が訪れていた。アーレスの魔力が、消えるのさ―――。


「……ハハハッ!!まだだ!!まだ、奪ってやるぞ、時間をかけて、弱らせてやる!!」


「そして、オレに勝つのかね?」


「ああ。だから、右腕は傷つけない。折れた竜太刀ではなく、なまくらを振るのだ、この腕で!!そして……そして、オレの『奇剣』で、お前の首を落としてやるよッ!!」


「ほう。そいつは、楽しみだね……ん?」


 誰かがこの地下牢の外にやって来た。


「誰かが外に来たみたいだぞ?」


「……ああ。知らせだよ」


「知らせ?」


「ここに到着する2万の兵士たちだ……それを指揮するカーロン大佐だろう。オレに報酬をくれるのさ、お前たち無能集団では、一生手に入らない額だ!!」


「お前は金稼ぎが上手だからな」


「そうだよ。まあ、口惜しがりながら、待ってろ?アニス、行くぞ!」


「ええ。それじゃあね、ソルジェちゃん?夜を楽しみにね?」


「節操無しの君が、いつかみたいにセックスさせてくれるのかい?」


「ううん?その舌はね、うるさいから切り落とすの!戦闘能力は減らないから、いいでしょう?」


「いいわけないが……やるんだろうね?」


「ええ。やっちゃうわ!じゃねえ、また後で!!」


 そう言い残して、ガラハドとアニスは消えた。欲望に素直な人々だ。有能だが、偏執的で視野が狭い。おかげで、確信が抱けたよ。ここがどこで、今がいつなのか。


「……『忘れられた砦』の地下牢……そして、オレは3時間ほど気絶していたか。ならば脱出せんと……洪水で溺れ死ぬな」


 ……さあて、ズタボロだけど、脱出劇のスタートさ。




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