第一話 『竜の舞う谷を目指して』 その2
オレは意気揚々と鍛冶屋を出ようとした―――が、いきなりリエルに背後から抱きつかれて、口に手を回される。思わず、反射的に投げ飛ばしそうになっていたが、理性でそれにブレーキをかける。
投げるなんて、もったいねえ。だって、リエルのそこそこ大きな乳が、背中に当たっているんだからッ!
……クソ!さすがに、鎧越しじゃ分からねえぞ!!だが、いい傾向だ。ツンデレ美少女が、ついにデレて来やがったのだ。
いいぜ、リエル。オレの子を産ませてやる……新しい竜を見つけたら、お前が産んでくれる息子といっしょに、その竜を徹底的に調教するんだ―――。
「……団長」
えらく神妙な声だった。オレも、そのころには状況を察知している。頭を縦に動かして、意図を伝えるのさ。
だいじょうぶ。ああ、一瞬いらんことを考えていたが、もう気づいている。外に、武装した男どもだ。人数は7人というところか……?
リエルの手首をつかみ、彼女の細くて長い指たちをオレの口元から外す。外の連中に気取られないように、小声での会話が始まる。
「……さすがはエルフだ。オレより早く、よく気づいたな」
「……まあ、エルフだもの」
「くくく。ずっと外に意識を集中してくれていたな。オレを守ってくれていたのか?」
「……っ」
エルフの少女は無言のまま顔を赤くする。うむ。やはり、いい反応だ。脈はありそう。竜とヨメの同時ゲットというのも悪くない。
竜と世界一の弓使いのヨメがいる我が家か。素晴らしい環境だな。
「……しかし。どこのどいつだ?……衛兵や賞金稼ぎにしちゃあ、強さを帯びた気配じゃない。実に、素人らしい殺気だな」
「団長が酔っ払ったあげくに殴り倒していた、隣町の連中じゃないのか?」
「え?」
身に覚えの無いことだ。いや、隣町で酒をあおっていたのは認めるが……そんなことをしたのか?……えーと、記憶がないぞ?
「……まったく。記憶を失うほど、酒に飲まれてどうするのよ?」
「うるせえ。郷愁に駆られて、ついつい酒が進んじまったんだよ……っ」
だとすると、謝るべきか?
オレ、大人だし?
いや、でも……オレの子を産んでくれるかもしれない美少女エルフの前で、それはカッコ悪いもんな。いいか。衛兵にバレるの承知で、ケンカしちまおう。
衛兵に襲われても、少数なら蹴散らせる。死体を森にでも捨てれば、しばらくはバレない。獣みたいに野山に隠れて追跡を誤魔化すのも得意さ。オレたちは普段、大陸の5%に隠れて生きているんだ、隠れるのも上手だよ。
さて。ケンカの時間だ。あるいは殺しかもしれんが。どっちになるかは相手次第だ。
「え?ちょっと、団長?」
オレはリエルの制止を振り切って、鍛冶屋のドアを勢いよく開けちまう。
「き、来たぞ!!う、撃て!!」
奇襲というモノを仕掛けているのだから、声や合図は出しちゃダメだろ?そんな感想を抱きながら、オレは飛んで来たボウガンの矢を素手でキャッチする。
「は、はあっ!?」
「なんだよ、それ!?」
「……ふむ?やっぱり、知らねえ顔だなあ……?」
矢を指でへし折りながら、顔をしかめた。隣町の若者たち?にオレは見覚えがないんだ。だが、オレの背中から、ひょこりと顔を出したリエルが感想を口にする。
「ああ。やっぱり、こないだの連中だわ」
「というと、オレが殴りまくったという?」
オレには記憶が無いが、酒を呑まないリエルがそう言うのだから、アルコールに塗りつぶされた夜があるようだ。深酒とは、おそろしいね。若者たちが、口を開くよ。
「そ、そーだ!!オレはブーシャ村のロブ!!」
「同じくサムソン!!」
「ルイージ!!」
「そして、オレは―――」
「ああ、もう。うるさいからいいよ!七人も同時に名前なんて、覚えられるわけねえだろうが?……オレは、君らの存在さえ覚えていないような男なんだぞ。それで、なんだ?何の用だ?」
「決まっている!!」
「……復讐か」
「それもある!!だが、お前は『賞金首』なんだろう!?」
「さて?どーかな」
「とぼけるな!!赤い髪で、片目の大男!!背中に巨大な大剣担いだって……どー考えても、アンタのことだろ!!」
「よく間違えられるんだ。そりゃ、片目と言っても、オレとは反対側がやられてる男のことだろう?オレを殴って、法の執行機関に連れて行っても、逆に捕まるのはお前たちだぞ」
「え?」
「ま、マジかよ?」
「どっちだ!?片目っても、右だっけ?左だっけ?」
純朴な田舎の市民たちは騙されそうになる。いいね、オレの知性が爆発してる―――。
「団長の嘘つき。そんな男、お前の他にはいないわよ」
この並みの田舎者よりもド田舎で育っていたエルフのお嬢さんは、オレの計画を台無しにしてくれる。エルフは嘘が嫌いらしい。ハハハ!なんていう崇高で厄介な哲学を持っているんだよ!?……世渡り下手すぎるだろ!?
「だ、だまされんぞー!!」
「そ、そーだ!!」
「……騙されかけていたくせに。やっぱり、人間族なんて下等な種族だわ」
「うっせー!!」
「お前もついでにブン殴るぞ!?」
うおおお。リエルのせいで状況はややこしくなる一方だ―――。
さて。めんどくさいし、ぶっ殺すか?……そして、コイツらがどこからか持ち出してきた鎧や槍を、ここのドワーフの爺さんに売るかね。爺さんは喜んでそれらを溶かし、新しくてより有用な鉄製品にしちまうだろう。資源はより正しく使われるのだ。
……しかし、ケンカして殴っちまったのは、オレにも非があることかもしれんよな。その経緯はまったく思い出せない。悪いのは、彼らか。それとも、オレなのだろうか。
……これで、素人をぶった切ったら、オレは悪者になりそうだな。
畑仕事で汚れた泥だらけのズボンをはいてるよーな素人だ。武術など、知るわけがない。徴兵されて三ヶ月の訓練を受けたところで、兵士にはなれても戦士にはなれん。
天下無双のストラウスの竜騎士が、こんな田舎の少年たちを惨殺するってのも……悪いウワサにしかならねえわ。オレだって、名誉ぐらい気にする。
「……おい、リエル。どっちのコースがいい?……血まみれ?クール?」
「私に訊く必要があるのか?」
「迷ってんだよ」
「ムダな殺生は良くないぞ」
「……なるほどね」
見た目が綺麗なオレのエルフは、心も綺麗なツンデレちゃんらしい。まあ、彼女がそう言ってくれているんだ。オレの心は広い。君らより、大人だから!
「さて、少年たち」
「オレたちはもう20だ!」
「悪かった、青年たち。君らも、薄々わかっていると思うが。オレはその手配書の人物なんだよ」
「や、やはり、そーか!このヒト殺しめ!!」
「亜人種びいきの裏切り者!!」
「元・魔王軍!!」
青年たちは口汚くオレを罵ってくる。でも、オレはキレない。冷静だ。大人だから。
「……そう。君らの言う通りさ。そして、だからこそ、考えてみてくれ?」
「な、なにをだ!?」
「ヒト殺しで、亜人種びいきで、元・魔王軍の竜騎士だよ?……君らは、そんな厄介なモノに関わりたいのかね?」
「……え」
「冷静になれ。オレは、こう見えても残酷なんだ。戦いになるなら、容赦なく、ヒトを、殺す。君らが読んだ手配書に載っていたオレの命の値段は、いくらかな?」
「1500シエル……」
「君らで分けたら一人200シエルちょっとになるね。その金額を見て、君らは考えたんだろうな……そんなに大した犯罪者じゃなさそうだ。武器をもって、奇襲したらイケるんじゃないか……」
図星のようだ。押し黙る。それが、その推理の根拠だ。
「―――そうだ。残念なことに、帝国がオレの命に懸けた値段は、そこそこでしかない。なぜか?たとえばさ、10000シエルもの高額賞金だったら?……危ないから、誰も近づかない。関わりたくないだろ?そんな危なそうな犯罪者に?」
「あ、ああ」
「だから、そこそこの金額に下げている」
そうだよ、帝国だって懲りているんだ。ストラウスの竜騎士は、賞金稼ぎが勝てるような相手じゃないと、帝国軍も理解している。だから、安い金で、バカを使うんだよ。
「君たちは、もらえない賞金に踊らされているのさ。帝国はね、君らのことをオレに殺させたいんだよ。何故かは明快だ。そうしたら、オレの居場所ぐらいは分かるからさ」
殺せば騒ぎになるからな。そして、帝国にはオレがどこにいるのかという情報が入る。そうなれば、軍隊を派遣して数で仕留められるんだよ。
「だ、だが、七人が、相手なんだぞ?」
「そうだな。たしかに、男が命を賭けた選択をしているんだ。無下に止めるのはオレも気が引ける。しかし、この芸を見てから決めても遅くない」
オレは彼らのあいだを歩き、ひとりの青年に近寄る。名前は……名乗っていたが、知らない。でも、それはどうでもいいことだ。オレは彼には用は無い。怯えて動けない彼のかぶっている、この兜がいるんだよ。
「失礼」
断りを入れながら、オレは彼の兜を取り上げる。この青年は協力的だ。いい人物である。殺すほどの歌を持つ強者でもないだろうから、イジメちゃいけない。オレは、その安っぽい兜を両手で挟むと、ちょっと力を込めることで、潰してしまう。
「はあああああッ!?」
「か、兜が、つ、つぶれたああああああッ!?」
「そうだ。君たちは誤解している。これは、戦闘用の兜ではあるが、安物だ。君らのような鍛錬していない者でも使えるように、鉄を薄くして軽く作っている。だが、オレの鎧は、こういうモンじゃない。矢を弾くほどに、厚い。力と技巧を伴った槍でなければ、貫くことも出来ないだろう」
オレは歪んでしまった兜を、今度は反対に引っ張り、歪みを矯正してやる。むろん、だいぶ歪んでしまったままだ。職人がハンマーで叩かないと、綺麗には戻らない。でも、いいさ、返却してやる。
青年は、震える手で兜を受け取る。おお。知的だね、自分でもオレと同じことが出来るか挑戦しているじゃないか。
実験している。うん、科学者のごとくな!……で。理解してくれるかね。常人では、鉄製品を曲げることなんて不可能だってこと。
「ま、曲がらねえ!」
「そう。オレは怪力の持ち主なんだよ。だから、君ら素人の攻撃を受け付けないほどに重たい鎧を着ていても、走って逃げる君たちに後ろから追いつき、後ろから斬り捨てることも可能なんだ」
「そうだな。団長からは、逃げられないぞ。森のなかを走るエルフに、この男の脚は追いついたことがある」
ナイス・アシスト!……そもそも君のせいで火に油を注いだんだから、少しは協力して欲しいところだ。
「……で。どうする?君らは、元・魔王軍のオレにケンカを売るのかな?それとも、武装を解除して、この場から、それぞれの方向に散らばって逃げることで、生存の可能性を上げてみるかい?」
「……舐めんなよッ!!き、決まってらあああッ!!」
「―――皆、武器も鎧も捨てて、逃げてしまったわね」
リエルが目を細めながら東西に別れて走り去っていく青年たちを見ていた。
「いい判断だ。団長に嬲り殺しにされるのは、哀れだもの」
「嬲り殺す趣味はないよ。もしも、戦いを挑まれたら、強い弱いも関係なく、ただ真剣に殺してやるだけさ」
「なるほど。それが、竜騎士の哲学ということ?」
「……そうだな。でも、彼らはマトモな判断が出来る大人たちで、良かったよ」
「ああ。犬死にを回避したもの」
「『犬死に』ね……オレの家族はさ」
「え?」
「もしも、さっきのあいつらみたいな選択を迫られたら、『戦って死ぬ』って道を選ぶね、即答するんだ」
「……苛烈な生き様だわ」
「ああ。歌になるべき『死に方』だ。でも……それは、異常なことだったのかもと、最近は考えられるようになった」
それは成長したのか、それとも、オレの魂に宿る『ストラウス性』が薄まっているのか。
オレの言葉を聞いて、リエルの気配がわずかに冷たさを増す。
「団長?……自分の一族の生き様を、否定するのか?」
一族を帝国に殺された彼女にとって、そんな否定は許せないのだろう。うつくしい少女の顔からはやさしさは消え失せて、研いだばかりのナイフのように澄んだ怒りが輝いている。
彼女は、一族を愛していた。いや、今でも愛している。だからこそ、一族を喪失した痛みが、心を狂わせる。それが痛いほどに伝わってくるのさ。
「―――いいや。オレは自分の一族を否定なんてしていない。たんに『クレイジーなヒトたち』って考えているだけなのさ、オレの愛すべき一族はね」
「うん……その意見に反論はしにくいわ。死をも覚悟して戦うなんて、どこか生き物としては、変だもの」
「オレたち一族は、それで別に構わない。その『異常さ』をオレは否定していない。だって、ストラウスってのはそういう存在だからな」
「……怖い一族なのね」
「怖がるな。オレは、仲間は殺さない」
「……知ってる。そのことを疑ったことはない。貴方も貴方の一族のことも、気高い戦士だと尊敬しているわよ」
「そりゃどーも。でも、オレは大人になって、世界をちょっとだけ旅したおかげか、ストラウス以外のことも学べたんだ」
「どんなことを?」
「『他人の価値観』も認められるようになってきた。ああして恥をさらして逃げていく彼らは、家族のもとにたどり着くんだぜ?……それは、悪いコトじゃないのさ」
「……彼らのような臆病者に、感情移入しているの?ソルジェ・ストラウスが?」
「いや。どうだろう?……よく分からないが、彼らをここで殺さずに、良かったとは思う」
ヘラヘラとした顔になる。『ストラウス性』が強かった頃のオレは、多分、あいつらを許すことはなかっただろう。
さすがに、逃げる敵までは追いかけなかっただろうが……3人は殺していたと思うんだ。でも、今日はヒト殺しをしていないぞ。だから、なんだか笑えちまうんだ。殺していたら、笑えんだろう?
「だって、もし殺しちまっていたらよ?そいつを待ってる家族は、ゴハンを余らしちまうんだぜ」
「ゴハン?」
「ああ。メシだよ。ちょっとバカな息子が、そのうち帰ってくると信じて、母親は待ち続けていたりするかもしれん。ナベのなかには、そいつの分だけのシチューが余っている。すっかり冷えてね。母親は息子が帰って来たら、温めてやろうと考えているんだ。帰ってくるわけないのによ?……なあ、そういうコトは、少ない方がいいだろ」
「……もう。すっかりと感情移入しているじゃない」
「そうか?……うん。そうかもな。いいじゃん、あいつら、お家に帰れたぜ」
「団長。敵対する者たちへの感情移入は、あまり良くないことだと思うわ。殺意が薄まれば、討つべき獲物を殺し損なうかもしれない」
「ストラウスに、それはねえよ。竜騎士は、残酷なんだ。戦は真剣にやる。さっきのは遊びさ」
リエルは無言になる。
しばらくの沈黙を経て、彼女はそのやわらかそうな唇を開く。
「……貴方は、怖いのか、愉快なのか、分からないときがあるわね」
「カッコ良くて、クールなんじゃないか」
「今の発言は、軽くて好かない。団長は戦場にいるときは、もっとカッコいいのにな……」
「……はあッ!?……おい、今、なんて、言った!?」
「……な、なんでもない。行くぞ」
―――こ、これは、ガチで脈有りかもしれんぞ。お袋。ストラウスの血に、森のエルフの弓姫の血が混じるかもしれん……ああ、魔力が強い子が生まれてきそうで楽しみだ。
「お、おい!!……竜を探しに行くんだろ?」
オレのツンデレ系美少女エルフさんが、顔を赤くしている……ッ!いいね、こういうの、グッと来るぞ、リエル・ハーヴェルくん!!
「ぼ、ぼーっとするな、にやけるな、竜が逃げるぞ!?」
「……ああ。そうだな。急ぐか。竜がいたら捕まえる。そして、オレのモノにするんだ」
「調教するのか?馬のように?」
「アレよりは危険だが、まあ、方向性は同じかな?……乗せてやるぞ、飛竜の背中に」
「そ、それは……少し怖いな」
「安心しろ。竜は、仲間にはやさしいんだ。どんな生物よりも」
「エルフの結束に対する、挑戦の言葉か?」
「そうじゃない。たんなる私見ってヤツさ」
エルフ至上主義なところがあるんだよな、リエルちゃんには。世界観が狭いから、仕方がねえのかもしれない。でも、オレとつるんでいるのがイヤじゃねえなら、そろそろ分かっているんじゃないだろうか。
『魔王軍』の哲学ってものをさ。
うちの王さまは、人間ウケは悪いおヒトだったけどよ。オレは、エルフからもドワーフからも巨人からも妖精からも敬意を払われている男を、他にはしらないな。
世界には、人間族以外がいてもいいじゃねえか。
エルフも人間族も、どれも、そう変わらんよ。
「……んー。今月の『パンジャール猟兵団』の目標が決まったぜ」
「なんだ、団長?」
「『境界を越えろ』だな」
「どういうことなの?」
「人種の壁を越えろ、ヒトと魔物の壁を越えろ。オレたちは、魔王軍のごとく、結束するのさ。そうじゃねえと……帝国打倒なんて、出来やしねえだろ?」
「……うむ。そうかもしれんな」
「その一環だ。竜と心を通わせる人間を見せてやる」
「楽しみだわ」
―――オレは大人だ。だから、言おうとしていた言葉もガマンできる。『人種の壁を越えることを見せるために、オレと子作りしないか?』。
さすがに……ドン引きされる言葉に違いねえぜ。なあ、兄弟たちよ。ソルジェ・ストラウスは、進化しているぞ?
「……あれ?なぜだか分からないけど、今の貴方には失望も感じる」
「はあ!?気のせいだ。オレは、口ではカッコいいことしか言っていないはずだぜ!!」
「じゃあ、心では、邪なことを考えていたりするの?」
「コラ!上司のことを、弓矢で狙うのは、やめなさい!」
「私の身を守りたいのよ」
「いや、そんなケダモノじゃないと思うんだが……?」
「……はあ。なんで、貴方は私よりも9つも上なのに、バカっぽいの?」
「……うるせーよ。気のせいだっつーの。オレ、そこそこ賢くなっているはずだもん」
「元の性能が低ければ、成長してもバカのままだったりするのよ?」
「エルフは毒舌すぎるだろ?」
「素直なの。嘘をつけないだけだもん」
「じゃあ、空気とか読めない種族なんすかね?」
彼女はコミュニケーションに問題を抱えていると思う。だって、今、本気でオレの後頭部を狙って、矢を放っていたもん。
オレじゃないと、避けれてないかも。後頭部に矢なんて突き刺さったら、死ぬんだけど?
「私への侮辱は、種族への挑戦だぞ、団長?」
「いい腕だ。死ぬかと思った。頼りにしているぞ」
「……まかせろ。私、一族最強の弓使いだったから」
「そっか。なら安心だな」
「あと。さっきの矢、ちゃんと鏃は外してたんだからね」
「空気、読んでたってこと?」
無言のまま、エルフ少女はうなずく。
そうか。うん異文化間のコミュニケーションって大変だなあ。オレ、管理職として、上手くやっていけてるのかなあ、ガルフ団長……てか、前・団長サマよう?
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