第36話 AIに囲まれた世界〜レンタル父親になった本当の真実
『そう言えば、レンタルされるとどうなるんですか?レンタルする側とレンタルされる側にはメリットがあるんですか?』
『確かに、なぜ、レンタルされた夫婦が離婚しないのか?疑問になるよなぁ?不思議だと思うよなぁ?』
『そりゃ、不思議ですよぉ。AIに管理されて、厳しい審査の上にレンタルされるのは理解できますけど人間の心は単純にはいかないと思うなぁ?』
『だよなぁ。実はお互いの記憶を消してデータを書き換える事が今の技術だと可能になったんだよぉ。』
『えぇ?そんな事が出来るんですか?』
『そっか?知らなかったのか?』
『もしかして?』
『そうだよぉ。レンタルを申請した人の記憶を得る事により、レンタルされる人を選ぶのだが、同じ時間を共有した人を探すのはマイナンバー制度で可能になった。その為、レンタルを申請したら、過去の記憶は消える。』
『という事は?』
『今回のケースは田中 佳子(38)が野球部のキャプテンだった高木 隼人(38)を好きだった。しかし、奇跡的にも高木 隼人(38)もマネージャーだった田中 佳子(38)を偶然にも好きだった。つまりは両想いだった。』
『なるほど…つまりは、お互いが好きだった時の記憶をつなげたという訳ねぇ?』
『そういう事だなぁ。という事は、田中 佳子(38)の辛い記憶としてあった吉村 明(38)に騙されて結婚してDVにあった記憶や高木 隼人(38)と20年間逢わなかった記憶も無くなったのぉ?』
『そういう事だなぁ。』
『では、田中 芳樹(14)の記憶も?』
『そうだよぉ。記憶の中に高木 隼人(38)の記憶が入っている。もちろん、かなり修正はされているから、やった事がないキャチボールした記憶や野球観戦した記憶などは違う人の記憶を入れてある。』
『えぇ?それって、詐欺じゃないですか?犯罪に加担してません?』
『馬鹿だなぁ?国が率先としてやれば犯罪ではなくなる。もちろん、戦争を起こした国であったとしても勝利した国は正しいと言われる世の中なんだぁ。昔、福祉国家として、北欧などで行ってきた優性主義などがその典型だなぁ。障害者の子供は世に出る前に破棄された。その数は160万人以上にのぼるらしいけど…真実は解らないが…』
『でも、高木 隼人(38)はそれで良いのぉ?仮にも昔、結婚して子供もいたのに…アルコール依存症になり死のうとしたのにそれで良いのですか?』
『おいおい、レンタル父親やレンタル母親を選び、偽装結婚をするんだよぉ?解るかい?記憶を修正されても幸せになりたいからじゃないかぁ?』
『それは違うわぁ…記憶を消されて幸せになれます?残酷だけど辛い気持ちや悲しい記憶を大事にして、そこから這い上がるから人間なんじゃないですか?』
『甘いなぁ…なら、何で、人間は愚かに戦争をする?他人の事を返りみずに、命よりも経済を優先したんだぁ?コロナウイルスが蔓延させた国は人工的なウイルスだと真実を明らかにするまでに50年以上の歳月を要した?本来なら誰しもが真実が明らかなのに、臭い物に蓋をしたんだぁ?』
『それは、私には解らないわぁ。』
『私達は嫌でも受け入れなければならないんだぁ。この世に偶然はないんだぁ。常に必然があり、見えない何かに操られているのさぁ。』
『そんな事はないわぁ。私は私しか信じないんだから?』
『それならそれで良いけど…歴史を振り返ると俺がいっている意味が見えてくるさぁ。世の中は頭の悪い人の為にあるのではなく頭の良い一部の富裕層の為にある事に…』
『という事は私は人を助けた訳ではなくて、動かされていたの?』
『それは時代が決める事さぁ。それよりも、次の仕事がきているぞぉ。』
『解ったわぁ…。生きる為に…頑張ります。』
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