異世界に転生させてあげるから今すぐ死になさいっ!

作者 曽根崎マイ子

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★★★ Excellent!!!

 先に、投稿サイトのレビューの主流というものがよくわからないため、多少かしこまりすぎた冗長な文になることをご了承いただきたく思います。また同じ要因から過剰な解釈を含んでいる可能性もあります。作品の内容にも触れているため、いわゆるネタバレを完璧には辞せない部分があることについてもご容赦願います。

 さて、ウェブ小説界隈そのものへ踏み入ってまだ日の浅い身ながら、今カクヨムで読むべき作品はどれかと訊かれれば、ためらわず本作を推すことでしょう。筆致がストライクゾーンを射止めた個人的嗜好によるところも多分にあるのですが、現実世界で今を生きる人の思想に真正面から踏み込み、ゆさぶり、爪痕をも残さんとする本作の姿勢が、読まれることを読む人にとって価値ある体験たらしめています。それは需要を超越した名作の条件以外の何ものでもありません。

 それでいてまず驚くのが、本作がその導入において、一見ライト層で流行している「異世界転生モノ」の体をなしていることです。夢も希望も友人もない、どころか一切の成功体験を持たず多重債務に苦しむ、現代のステレオタイプ的青年(と呼ぶにはもう歳まで食ってしまっている)が、当たり前のように自殺念慮を覚えているところへ、異世界からやってきた金髪巨乳の美少女が、チート勇者として転生させてやるから自分の世界を助けてくれ、助けてくれたら結婚もしてあげる、と破格の取り引きを持ちかけてきます。渡りに船どころか濡れ手に粟の大逆転です。当然「彼」がその話に飛び乗らないはずはなく、ただ「転生」である以上、手続きとして一旦死ぬ必要があるためそう軽々とは踏ん切りがつかず、心の準備のために二人で最後の晩餐に出かけます。これが第一話です。

 この時点で本作はそのユニークさの片鱗として、転生前の段階で「彼」が足踏みする様子を見せてきます。どうせ転生さえしてしまえば、彼自身も予想しているとおり… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

涙が止まらなかった。一見、ライトノベルの皮を被っているが、童話であり、文学であり、エッセイでもある。
特に、異世界転生のギミックを逆手に取る作者の発想には恐れ入った。あまりあるリアル、異世界の設定、何もかもが私の生活に影響を及ぼしそうだ。そしてやっぱり、餃子が好きになると思う。

家族というものと、命の大切さ、どちらもありきたりなテーマだが、これほど読者に寄り添い、愛し、写実的に描いた作品は見たことがない。素敵な読書時間でした。私はこの作品を胸に抱いて生きます。