百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.8-25 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.6 丁
Act.8-25 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.6 丁
<三人称全知視点>
時はリサーナとヴィクトスがヘルムート達と繰り広げる戦闘の開始よりも僅かに遡る。
アゴーギグ達特務騎士達がそれぞれの標的と遭遇するよりもほんの少し前、最も敵本陣に近づいていたホネストは本陣に程近い森の一角で紅羽と遭遇していた。
HP:20,000,000
MP:30,000,000
STR:70,000,000
DEX:10,000,000
VIT:20,000,000
MND:10,000,000
INT:10,000,000
AGI:90,000,000
LUK:20,000,000
CRI:20,000,000
新たな種族を獲得し、ステータスも大幅に強化された紅羽はイフィスパーティで最も強い戦力となっていた。
できれば当たりたくないと思っていた紅羽と遭遇し、ホネストの表情が陰る。
『もしかして、私のことがお嫌いですか? ご気分を害されたのでしたら申し訳ございません』
「いえ、そういう訳ではありません。そもそも、紅羽殿と直接二人でお会いしたことはありませんし……正直に言うと当たりたくない相手でした。紅羽殿のお噂はお聞きしていましたから」
ローザの従魔――その戦力は大迷宮の地下にいるフルレイドランクの
冒険者ギルドのランクではSSSランク相当――それほどの力を持つ相手は本来、人間が立ち向かい勝利を収められるような相手ではない。唯一、ラインヴェルドをはじめとする英雄級の実力者だけが、真面な戦いを繰り広げることができる。
ホネストは自分がラインヴェルドやバルトロメオ、アクアやディラン、ヴェモンハルトやスザンナのような英雄級の力を持つなどとは思わない。
確かに魔法は人並み以上は使えるがそれだけだ。その英雄級の実力者――メリダを常に後ろで見て、その違いを嫌と言うほど思い知らされてきたホネストはよく理解していた。
『戦いは決着がつくまで分からないものですわ。……私は負けると分かっていて諦めるような方とは戦いたくありません。例え負けるとしても最後まで諦めずに頑張れば、もしかしたら届くかもしれませんわよ。諦めたらそこで終わってしまいますが、もし僅かでも届く可能性があるのなら、諦めてしまうのは勿体無いと思いませんか?』
「そうですね。僅かでも勝てる可能性があるのなら…………紅羽殿、お手合わせ願います!」
ホネストと紅羽――先に攻撃を仕掛けたのはホネストだった。
「
発動したのは、ホネストが新たに作り上げたオリジナルの土属性戦術級魔法。
見た目は「
この魔法の真に恐ろしいところは不死性だ。「
しかし、「
そのカラクリは「
砂粒一つ一つが本体であり、内部に大量の魔力を保有してその魔力で瞬時に再生することが可能なのだ。そのため、「マナフィールド」の効果を受けず、半永久的に修復することができる。
流石に「マナフィールド」で外部からの魔力供給が絶たれた状態で戦い続ければいつかは魔力が底を突くだろうが、再生や砂兵の維持に必要な魔力量は微々たるもの――その全てを削り切ろうとすれば相当な時間を必要とするだろう。とても現実的な話ではない。
「
この砂粒は燃やしても熔けず、水で固めようにも固まらないのだから、この魔法を突破する方法は限られている。
しかし、この魔法を使ったとしても紅羽に勝てる見込みは皆無に等しい。
その理由はあらゆるものを焼き尽くす『
『
万物焼却の性質は実質、消滅の効果だ。ただ、あらゆるものを焼き尽くす焼却の焔よりも消滅攻撃が優先されるため、消滅攻撃を浴びれば消滅させられてしまい、焔である以上、炎を凍らせる焔を浴びれば凍結させられてしまう……時間が経てば内部から焼き尽くして復活することができるが。
しかし、「
だが、焼き尽くされて再生させることができないとしても、大軍として運用することはできる。その大軍を駆使して紅羽のHPを削っていけばいつかは撃破できるかもしれない――という願望を込めた作戦だ。
地上戦力は砂獣と砂兵が八百、空中戦力は砂翼竜が四百、そして砂の巨人一体――圧倒的戦力を前に紅羽は――。
『面白くなってきましたわね。
放ったのは精霊術法の炎を変化させた火の鳥。その表面には『
小鳥達は次々と砂の兵達や翼竜、砂獣に命中し焼き尽くしていく。
しかし、砂の兵達もただでやられるだけではない。地上戦力を全て砂の翼竜に変化させ、同時に紅羽に襲い掛かった。
『『
紅羽は『
紅羽を狙い襲い掛かった砂の翼竜は全て焼き尽くされ、あっという間に砂の翼竜が五十体、砂の巨人一体にまで減らされた。
紅羽は球を解除すると、五十体の火の鳥を放ち、砂の翼竜全てを焼き尽くした。
『『
更に小さな無数の炎の球を放って砂の巨人を焼き尽くし、そのままホネストに迫る。
どうやら、ホネスト本体に対して『
「
ホネストは結晶魔法を駆使して耐酸性、耐塩基性、耐毒性、耐熱性、ダイアモンドを超える硬度と、ダイアモンドが持ち得ない高い靭性を兼ね備えた究極金属ブラックストーンの弾丸を生み出すと、武装闘気を纏わせて紅羽へと放った。
紅羽はその全てを華麗に躱すと、そのまま精霊術法の炎と鳳凰の焔を燃やして巨大な炎の鳥と化し、ホネストに突撃攻撃を仕掛けた。
『
「
分厚い究極金属ブラックストーンの壁を幾重にも重ね、更に武装闘気で覆うことで最強の防壁を作り上げたホネストだが、武装闘気を纏った紅羽は猛烈な速度でブラックストーンの壁に突撃し、耐火性を上回る程の灼熱で溶かしながら貫き、そのまま壁の向こう側に居たホネストを焼き尽くした。
◆
『もし、相性が悪かったら勝利は難しかったわね。……『
紅羽は敵の本陣を目指しながら先程のホネストとの戦いを振り返っていた。
「
弱点が少なく、前宮廷魔法師団長の魔法とも相性が良い。もし、ホネストと戦う相手がメリダであれば、ホネストは勝利を収められただろう。
「
もし、『
その場合、本当に紅羽がホネストに勝利できたかどうか定かではない。ステータスの面で勝る紅羽が断然有利な戦いを強いることはできたかもしれないが、今回ほど圧倒的な勝負にはならなかっただろう。
『……五人分、勝たないといけないわね』
紅羽の中でゴリオーラ達は既に敗者であった。勝利のためにはまず五人撃破し、対等な数になるまで持っていかなければならない。
「……紅羽殿か。まさか、こんなところで遭遇するとはな」
紅羽がややイフィスパーティの本陣寄りの森の一角で遭遇したのはミーフィリアだった。
『
『お手柔らかにお願いしますわ』
「それはこちらのセリフだ。ローザ嬢の従魔である紅羽殿が本気を出せば私などひとたまりもないからな」
互いに謙遜しつつ、集中力を高めて一挙手一投足に目を光らせる紅羽とミーフィリア。
「水伯の女王の吐息-局所暴風雨-」
先に動いたのはミーフィリアだった。局所的に暴風雨を発生させるミーフィリアのオリジナルの戦術級魔法の応用版で一瞬にして紅羽を暴風雨の渦中に落とし込む。
『『
素早く『
「真・水伯の女王の吐息-局所暴風雨-」
ミーフィリアは「水伯の女王の吐息-局所暴風雨-」を解除すると、空間跳躍、座標指定、透過能力を空間魔法で付与した空間魔法による干渉以外では回避不能な「水伯の女王の吐息-局所暴風雨-」を『
確かに『
「水伯の女王の吐息-局所暴風雨-」を直撃で浴びた紅羽は大きく消耗していたが、『
「
紅羽の脱出はミーフィリアの予想通りだった。素早く「水伯の女王の吐息-局所暴風雨-」を解除すると、時間魔法の球体で高速飛行する紅羽を捕らえる。
この青白い時の球体には時の流れを奪う効果があった。完全に時を奪えば時間が停止し、奪い切らなければその分だけ低速状態に追い込まれる。
そして、その奪った時間を利用して時間を加速することが可能なのだ。
この魔法は「
「空間瞬間転移魔法-アプリション・アンド・ディサパーリション-。空間切断魔法-スペーシャル・カット-」
ミーフィリアは予備動作無く紅羽の目の前に転移すると、周りの空間諸共相手を切り裂く空間魔法を放って紅羽を切り刻んだ。
空間諸共切り裂かれた紅羽は無数のポリゴンと化して消滅する。
「空間瞬間転移魔法-アプリション・アンド・ディサパーリション-」はミーフィリアが新たに開発した空間魔法だ。
最大の特徴は予備動作なく転移することができることで、魔力の使用量も試作品だった「空間魔法-ゲート-」や、「空間魔法-ゲート-」の完全版で、これまで視界内に限定されていた転移門の設置できる範囲が座標を知っていれば魔力の許す限りどこへでも設置することができるようになり、同時に一対の空間転移門しか作り出せないという制限も無くなった「空間転移門魔法-ポータル・オブ・ワープゲート-」によって転移門を作り上げるよりも遥かに少ない。
基本的に個人魔法だが、別の人と接触した状態で転移することも可能だ。
魔力消費量が距離が伸びるほど増える「空間転移門魔法-ポータル・オブ・ワープゲート-」よりも長距離移動に関しては確実に魔力が少なくて済むが転移先を明確に意識し、転移の対象となる存在を明確に認識する必要があり、万が一座標が狂ったり、転移対象が明確に認識されていない場合だと事故が発生するという大きなリスクが存在する。
ミーフィリアもリスクとリターンが釣り合わないため、長距離移動には「空間転移門魔法-ポータル・オブ・ワープゲート-」を用いるが、至近距離では視認により座標の認識の代用が可能なため、転移門を使うよりも直接転移を仕掛けることが多い。
まあ、今回の場合はどちらにしろ紅羽が退避行動を取る前にミーフィリアの至近距離からの空間切断が放たれていただろうから、どちらにしろ大差なかったのだが。
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