【キャラクター短編 常夜月紫SS】

圓と常夜、運命の出会い

<三人称全知視点>


 ゲームクリエイターで小さなゲーム会社の社長を営む父と人気少女漫画家の母の子供として生まれた百合薗圓はまさに鳶が鷹を産むという諺を体現するかのような子供だった。


 一歳にして言葉を発し、二歳にして平仮名、片仮名、漢字、アルファベットを操るに至り、三歳からは父親や母親の資料を漁って古今東西の様々な文学作品に浸るようになった。


 美しい少女漫画家と言われた母に似たのか美しい容貌を持ち、着せ替え人形にしていた影響もあったのか女の子の格好を気に入った圓はその格好で小学校にも通うようになり、学年一位の才女として知られるようになっていた。

 元々オタク趣味の集まりで、互いに互いの趣味には干渉しないという暗黙の了解があった百合薗家では圓の女装や趣味が矯正されることもなかった。こうした環境が現在の百合薗圓の基礎を築いたのはまず間違いないだろう。


 父と母の仕事を三歳で手伝い始めた頃からゲームや漫画家としての素質はあり、圓の両親も将来はゲームクリエイターか、漫画家のどちらかの職につくと信じて疑わなかった。


 その既定路線に変化が訪れたのは、ある夏の雨の日のことだ。



 ――圓、小学三年の夏のある日。


 その日は丁度圓の父は会社に出社し、母も担当編集と共に取材旅行に行っていて留守にしていた。

 冷蔵庫には一人分の作り置きの料理が入れられ、電子レンジで温めれば食べられるようになっている。


 圓は日課の読書(同時四冊読み)を始めようとして、外で物音がしたことに気づいた。


 圓の家は尾張国の国府がかつて置かれていた旧中心都市にあった。

 家もさほど辺鄙なところにはなく、普通の住宅街の一角にある。


 ただし、平日はどの家の住民も仕事や用事のために家を出て、午前も十時頃を過ぎれば人気が無くなる。

 その日、夏休みの圓がたまたま家に居て、物音に気づいたのは彼女・・にとっては幸運だったと言えるだろう。


 圓が外に出た時、見つけたのは紺色の上衣と袴という出立ちの自分よりも年上の少女だった。

 そのコスプレかと疑いたくなるような忍び衣装の少女は肩から血を流している。苦悶の表情を浮かべた少女は圓の方に警戒の視線を向けた。


「…………大丈夫? ボクの家に来て暫く身を隠すといいよ」


 ほとんどが非日常的な光景を前に冷静さを失うだろうが、圓は違った。

 彼女が追っ手に追われていることに気づき、身を隠すことを提案したのだ。


 少女は警戒していたが、小さく頷いて圓の家に入った。

 圓が包帯や消毒液を取り出そうとした時、ガタン……と音が鳴った。


 カーテンを僅かに捲り外を見ると、そこには似たような忍び装束の少女が血痕を確認し、周囲を探っている。

 目敏く電気がついている家を発見した少女はすぐに早着替えで女子制服を着た中学生に変装して呼び鈴を鳴らした。


「…………」


「大丈夫、ボクがなんとかしてくるから」


 圓が少女に二階に隠れるように促すと、圓自身は扉を開ける。


「あの、どちら様でしょうか?」


「こちらに、女の子が来ませんでしたか?」


「女の子ですか? 知りませんね。ボクは丁度夏休みで勉強をしていたので……何かあったのですが?」


「では、怪しい物音がしたとか……」


「何かあったのですか?」


「いや、なんでもない。……すまなかったな」


 少女もあまり深い詮索をして疑われることを警戒したようだ。

 少女は圓が扉を閉めると制服のまま屋根へと飛び上がり、そこから逃げた少女の行方を追いかけ始める……どこを探しても少女はいないのだが。


「ほら、もう行ったよ」


「……忝い」


「いや、別にいいよ? 困った時はお互い様っていうでしょう? ……ところで、事情を聞いていいかな? 事情も知らずに巻き込まれるっていうのはねぇ」


「しかし……」


「まあ、話したくないなら別にいっか。ただ、あのままもし君のことがバレていたら、ボクも殺されていたかもしれないよねぇ?」


 少し意地悪なことを言うと、少女は小さく俯き、口を開いた。


「私は常夜月紫。常夜流のくノ一だ。……そして、彼女は隠影音羽……私を暗殺する密命を帯びた隠影流の当主の娘だ」


 鎌倉時代に常夜幻が創設した歴史の表舞台に名前が出ることなく今でも裏の世界で忍び隠れる常夜流忍者。

 その現当主である月紫は、父であり先代当主である父の死後、ライバルである隠影流忍者から常夜流忍者の壊滅を狙い、追われることになったという。


 その密命を帯びたのが、月紫の同世代で次期隠影当主と言われる先ほどの少女――隠影音羽だったという訳だ。


「ごめんねぇ……治療とかやったことがないから。うん、こんな感じでいいのかな? お母さん達が帰って来てからしっかり応急処置してもらうことになるけど」


「……しかし」


「いいんだよ、気にしなくて。今出て行くのはマズいでしょう? バラバラになった常夜流を再興したいなら今は動かない方がいい、利用できるものは利用すべきだと思うよ?」


 「例えば、ボクとかねぇ。ほら、忍者なら他人くらい利用しなくちゃ」と笑って圓は台所に立った。

 残っている料理では二人分に満たない。折角だから何かを作ってあげたいと調理台に立った訳だが、当時の圓は料理の腕がある訳でもなく。


「本当にごめんねぇ……今作り直すから」


「……なんで、そこまでしてくれるの? 見ず知らずの私に」


 圓が勿体ないからと自分で食べようとしていた黒焦げの目玉焼きのお皿を手に取った月紫の問いに圓は困った顔をして。


「何故かって? 何故なんだろうねぇ? ただ、ボクが助けたいと思ったから、ではダメかな?」


 自分でも理由を探しているようだった。圓は困った人を見つけたら助けたいと必ず思うような聖人君子ではないと自覚している。割とその時の気分や自分の置かれている状況に左右される。……まあ、それはどんな人間でも同じだが。


「……ありがとう、ございます。頂きます」


「頂きます」


 その後、圓は月紫と共に食事を摂り、家族が帰ってくるのを待った。


 ――その時、圓は既に大きな決意をしていたのだろう。


 隠影流忍者達が姿を消した夕暮れの頃、圓の父と母が帰宅した。



 圓の父、百合薗ゆりぞの愁一しゅういちと圓の母、百合薗ゆりぞのすみれにとって、圓は羅針盤の少女コンパス・ガールと呼んでも過言ではないほど多くの指針を示してくれた存在だった。


 経営で悩んでいた愁一は圓の何気ない一言で救われ、菫もスランプの時に圓から言われたシチュエーションで書いてみたら筆が進み、その漫画はベストセラーになった。


 自分達には勿体ない子供……いつかこの子が自分達の元から消えてしまうんじゃないか? いつか夢から覚めてしまうのではないか?

 そんな不安を抱きつつも、それでもずっと側に居てくれると、そう信じたいと思っていたのだが……。


「それで……お前はどうするつもりなんだ」


 留守番をしていた圓の口から語られたことは荒唐無稽だった。

 現代に住む忍者――そのライバル関係にある一族同士の争い。

 ファンタジー耐性がある愁一と菫でなければ、この状況の理解にまず時間を必要としただろう。


「ボクはこの子を守るつもりだよ。この子を助けた時からそう心に決めていた……行いの責任を取れない者に行動する資格はないからねぇ」


「カッコいいことを言うわね」


「……それに、ボクはお父さんとお母さんのことも守りたい。行いの責任は全てボク一人で取るべきだからねぇ……勿論、今すぐにとはいかない。暫くはお父さんとお母さんの世話にならないといけない」


「つまり独立するということか……」


「ねぇ、どうして? どうしてそういうことになるの!?」


「そうです、圓様! 貴方の生活を、大切な日常を私のためなんかに捨てる必要は――」


「――もう、決めたんだよ!」


 菫と月紫が動揺し、引き留めようとする中、圓は覚悟の籠った瞳を愁一に向けた。


「どの道、いつかはこうしようと決めていたからねぇ、それが早いか遅いかってだけなんだ……まさか、ここまで早まってしまうとは思わなかったけどねぇ。……お父さんとお母さんは将来はゲームクリエイターか、漫画家のどちらかの職につくと思っていたでしょう? そう期待していたんじゃないかな? でも、ボクはその期待に応えられない。選べないから。アニメだって作ってみたいし、小説も書いてみたい。ゲームも勿論作ってみたいし、漫画も……でも、それだけじゃないんだ。この世界にはやってみたいことが多過ぎて、それをどれかに絞り込むなんてボクにはできない。だから、いつかは独立してやりたいと思えることをなんでもやりたいと思っていた。それが夢だったんだ。……ボクは欲張りだからねぇ」


「まさか、圓がそんなことを考えていたなんて……」


「我が子ながら凄いな。欲張りだが……俺とお前の息子ならなんだってできそうだって思えてしまうから不思議だ」


「それに、説明の中で色々と端折ったところがあるんだけど、その中には知り過ぎると危険なこともある。ボクはお父さんとお母さんのことが好きだし、この生活が好きだから、それを壊したくない。……あまり一緒にいると良くないと思うから、ボクは月紫さんと……月紫さんの仲間達と一緒に暫く暮らすことにするよ」


「…………そっか、そう決めちまったんなら俺達にはどうすることもできないな。しっかり生きていけよ、圓!」


 その日から圓は生まれ持った物事の浮き沈みを色として視認する超共感覚ミューテスタジアを駆使して愁一から借りたお金を元手に瞬く間に圓家の総資産を遥かに上回る富を築きあげた。

 息子が実はとんでもない力を隠していたと、忍びの少女について聞かされた時より愁一達は驚いていた。


 元々家事を手伝っていた圓だが、その日から菫から料理を学ぶようになり、瞬く間に腕を上げた。

 こうして新しい生活を営めるように残る夏休みの全てを注ぎ込んでいき――。


「それじゃあ、行ってくるねぇ」


「お世話になりました」


「全く……息子が独り立ちするのはもっと先だと思っていたんだけどな。ああ、転校願は出しておいた……まあ、実際は転校じゃなくて小学校を辞めたってことなんだけどな。小学校中退なんてなかなか聞かないぞ?」


「大丈夫大丈夫、実はあまりにもつまらな過ぎて高校までの勉強は一通り終わっているから」


 小学校一年生の担任の先生が目敏くつまらなそうに授業を受けている圓を見つけたのが切っ掛けだった。

 嘘を言っても仕方ないと「簡単過ぎてつまらない」と言った圓に対し、高校生の子供を持つその教員はお古の教科書やノートを使って中学生や高校生の範囲の勉強を教え始めた。

 型に嵌めることなく、一人一人にあった教育をと思っていた彼女と圓の相性はピッタリだったのだろう。……もっとも、文系出身の彼女は高校の理系分野の範囲に入ると全く分からず、一年生の冬には逆に圓から教えられる側になっていたが。


「今なら高卒認定取れるかもしれないねぇ」


「リアルチートか、俺の息子は!?」


「月紫ちゃんも、身体に気をつけてね。圓にはたっぷり家事技術を仕込んでおいたから……途中から私より料理上手くなった気がするけど、きっと、気のせいよね?」


「ありがとうございます。お世話になりました、愁一様、菫様」


 その後、圓は月紫とその後召喚されるまで住処とする山の上の屋敷での生活を始めることになる。

 最初は月紫と散り散りになっていた常夜流忍者達との生活だったが、様々な事件や仕事を通じて様々な出逢いに恵まれて次第に仲間が増えていき、いつしか大所帯となっていった。


 大倭秋津洲帝国連邦随一の大企業――百合薗グループ。

 その噂を聞く度に、愁一と菫は遠くで暮らす息子のことを思い浮かべ、微笑みあった。



<三人称全知視点>


 迷宮の中を駆け抜ける影――常夜月紫は魔物を撃破しながら進んでいく。

 あの日、危険を顧みず助け、大切なものを手放してまで救ってくれた恩人。そして、いつしかそんな立場ではないと分かっていながらも愛してしまったあの人。


 圓を思い浮かべる度に胸が苦しくなる。後悔が押し寄せる。


 ――私がいれば、こんなことにはならなかった。


「……私が圓様を守る、そう誓ったのに」


 東町、鮫島、曙光――圓を苦しめて来た者達を殺したのは単なる八つ当たりだったと自覚している。

 最愛の人の危機に駆けつけられなかった……その後悔を、自分に対する怒りを月紫はどうすることもできなくて。


「……ホワリエルとヴィーネットの方が、私なんかより強いわよね」


 あの二人はもう区切りつけて圓の転生体を探そうと決意している。

 それは、咲苗や巴も同じだ。


 ――自分だけが圓が死んでしまったというところで足を止めてしまっている。自分だけが先を見据えられていない。


「ジェノサイド!」


 迷宮の床を切り裂き、ショートカットにショートカットを重ね、圓が最後にいた場所に到着する……が。

 そこには焦げ跡と霜焼けが残るばかり、圓が使っていた武器も死体も残されていなかった。


「…………圓、様」


 死体を見つけ、絶望した方が良かったのか、それとも区切りをつけられずに一生生死不明、行方不明のままであるのか、どっちが幸せなのだろうか。

 月紫は最後に圓が立っていただろう焦げ跡の前で頽れ、泣いた。


 涙が枯れ、泣き腫らした月紫は決意を新たにした。進む決意を――ホワリエルやヴィーネットのように、圓を見つける決意を。

 あの時、ホワリエルとヴィーネットの前で啖呵を切ったものの、迷宮を駆け抜ける中で現実を思い知らされ、打ち砕かれかけていた決意を。


「まずは、化野さんに情報をもらうべきかしら?」


 あの小娘達よりも先に圓を見つけるために、何か情報を持っているであろう化野のいるシャマシュ教国の王宮に向かって走った。



<三人称全知視点>


「貴方達は……もしかして、忍者さん達かしら?」


「常夜流の三蔵さんぞうと申します。本日から暫く私共がお二人の警護をすることになりましたのでよろしくお願いします」


 夜遅く、呼び鈴が鳴ったことに気づいた菫が扉を開けると、そこには忍び装束の男女三人の姿があった。


「……圓と月紫さんはお元気かしら?」


「そのことを含め、お話ししたいことがあります」


 三蔵達を案内し、部屋の中に入ると愁一がテレビをつけて流れている緊急ニュースの内容に驚いていた。

 つい先日、とある高校の一クラス全体が集団神隠しにあったというニュースが各局で報道され世間を騒がせていたが、その程度の話題は宇宙の彼方に吹き飛んだ。


『臨時ニュースです! 本日二十時、大倭政府に対し宣戦布告が行われました! 繰り返します、本日二十時、大倭政府に対し宣戦布告が行われました! 大倭秋津洲帝国連邦に対し、宣戦布告をしたのは、大倭陸軍参謀本部によれば、百合薗グループ、桃郷財閥、光竹財閥、浦島財閥、邪馬財閥、海宮財閥、蘆屋財閥、三門財閥、鬼斬機関、陰陽寮、《聖法庁ホーリー》大倭支部などなど。大倭政府の官房長官は数分前に記者会見を行い、彼らを逆賊と認定し、徹底抗戦を行うと発表致しました』


「……これは、どういうことなんだ?」


「そのままの意味でございます、愁一殿。大きく流れが変わったのはとある高校の一クラス全体が集団神隠しにあった事件。あの事件に圓様も棟梁様と共に巻き込まれました。あの一件で圓様を死亡扱いにした大倭秋津洲帝国連邦政府は「財閥総動員法」を理由に政治家を派遣し、圓様の全財産を国に差し出すように言い渡して来ました。当然、衆議院議員の小野田進歩を含む使者を我々の手で暗殺し、同時にこれまで面倒だという理由から避けて来た国家崩しを現司令塔の柳様の決断と、異世界に召喚されていた圓様ご自身の承認により実行に移した次第です」


「……つまり、どういうことかしら? あの事件は異世界召喚だったということなの? いえ、それに召喚された圓と連絡を取ることができた……えっと、えっと……さっぱり意味が分からないわ」


「圓様はクラスメイトと共に異世界に召喚されましたが、幸いすぐに連絡を取ることができました。元々、圓様を含むこの国の裏に通じる者達と大倭政府は敵対関係にありました。大倭政府は腐敗し、政治家や一部の者達にとって都合のいい政治を行っています。それを巧妙に隠していますから気づかないのも致し方ないことでしょう。戦争により支配した大東亜共栄圏諸国、その植民地の経営のための費用が足りなくなった彼らは圓様達の活動に法外な税金を掛け、搾り取って来ました。滅ぼされて当然のことです。我々はこの混乱に際し、お二人に危害が及ばぬように守るよう柳様より言伝っています」


「……俺達を巻き込まないように、と言っていたがもしかしたらあの時の圓はいつかこうなると読んでいたのかもしれないな」


『彼らは逆賊です! この国家を、国民の皆様の生活を破壊する彼らを一致団結して倒――』


『鎮まれッ!』


『……貴方は、柳将軍!?』


『今は百合薗グループの執事統括の柳だ。大倭陸軍の諸君! 君達はこのままでいいと思っているのか! 果たして売国奴はどちらだ! 国民に目眩しして身勝手勝手を繰り返し、この国を腐敗させて来たのは肥えて太った政治家達だ! あの女狐に騙され、操り人形となっている与党。国民を真に顧みることのない政府。財閥七家という防波堤が無くなった時、彼らは次に国民に毒牙を掛けることになるだろう。諸君、真に国を思うなら戦うべきがどちらかを己が目で見極めよ! 大倭秋津洲帝国連邦を我々の手で滅ぼし、腐敗を一掃し、あの薄汚ない女狐一派を討ち滅ぼす! 真に愛国心のある者達よ! 敵を見定めよ! この国家と心中したいのならば、この柳影時が相手になる!』


『大変です! 逆賊の百合薗グループが参謀本部の会見場に乗り込んできました』


『……柳将軍。……そうですね、あれほど愛国心溢れていた貴方が国家に歯向かう、その意味をしっかりと考えるべきでしょう。暫しお時間をください。大倭陸軍全体で身の振り方を考えさせて頂きます。――会見は中止だ!』


『ちょっと!? どうなっているのよ!?』


『放送を中止しろ! レポーター、放送を中止しろ! 繰り返す、レポーター、放送を中止しろ!』


『どういうことなの!?』


『……上からの指示だ。百合薗グループを含む各種機関からがいくつものタレコミがあった。大倭政府が今までに行った汚職の証拠――それこそ、現政権を潰せるだけのものだ』


 その男の言葉を最後に映像が切り替わり、そこから各局が一斉に汚職報道を始めた。

 その中には宣戦布告のニュースを唯一放送しなかった百合薗グループの資金が流れていた放送局も含まれる。


「とりあえず、この戦争の影響は民間には及びません。政権交代の影響はあるでしょうが、その程度だと思われます。お二人はここで暫く生活なさってください」


 愁一達が不安そうにテレビを眺める中、大倭政府の議事堂に反物質爆弾が投下され、戦争と呼ぶべき内乱の幕が切って落とされた。

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