百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を賭けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.7-31 中央フォトロズの一座にて〜シャドウウォーカー強化プログラム〜 scene.5
Act.7-31 中央フォトロズの一座にて〜シャドウウォーカー強化プログラム〜 scene.5
<三人称全知視点>
強化合宿五日目――合宿最終日となるその日、中規模戦闘施設で最後の模擬戦が始まろうとしていた。
イリーナ、ピトフューイ、プルウィア、ホーリィ、リヴァス、クラリス――シャドウウォーカー全員で挑む相手はローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルトだ。
イリーナとプルウィアにとってはトラウマを植え付けられるほど何度もボロボロにされた相手であり、この二人に関しては最後の模擬戦に消極的な感情を抱いている。
「さて今日で強化合宿は最後になる。最後は合宿の総仕上げとして最後に連携を見せてもらいたいねぇ」
「……相手はローザさんか? 正直俺達が束で掛かっても全く勝てる気がしないんだが……」
「今回はローザもリーリエも使わないよ? 勿論、ラナンキュラスもねぇ」
「そうか……それなら安心だな」
「安心していいのかしら? ……それに、ローザさんでもリーリエさんでも、ラナンキュラスさんでもないなら一体誰が私達の相手をするのよ?」
「それはねぇ……アカウントチェンジ・クラリス=チェルシー!」
「わ、私!?」
質問したクラリスも、まさか自分自身が最終試練の相手だとは思っても見なかったみたいだねぇ。
「『裏切りと闇の帝国物語〜Assassins and reincarnator』はボクもプレイしたことがあるからねぇ。登場人物のキャラクターアカウントを持っているのも当然だよねぇ?」
「確かに、それもそうだな」
「でも、まだ相手が私なら安心ね。……私ってローザさんから力をもらえなければ変身と暗殺しか戦う手段はないし……」
クラリスは自分の弱点をよく理解している。弱点を理解しながら得意分野を極め、結果としてプルウィアに匹敵するほどの任務達成率を誇ってきた。
「あんまり卑下する必要はないと思うけどねぇ。クラリスさんは自分の得意分野と苦手分野を理解して暗殺を成功させてきた手練れなんだし。……だけど、残念だねぇ。強化合宿の締め括りがそんな甘いものにはならないよ?」
ローザはクラリスの姿でステータス画面をチョチョンと操作した。
次々と装備が変更されていく。その装備の中に「
「『裏切りと闇の帝国物語〜Assassins and reincarnator』にはスフィアツリーという成長システムがあってねぇ。敵を倒すことで経験値の他にSpheretree Point……SPが溜まって、これを消費することでボードに定められたマスを進めることができるんだよ。このマスにはそれぞれ能力上昇や装備可能な装備品の解放などの特典が定められていて、更にセフィロトの樹のように他のキャラクターのスフィアツリーとも連動しているから、最終的にどのキャラクターでも全く同じカンストステータスにできるんだよ。最終的にキャラクターごとに違うのは使用できるコマンドカードだけってことになるねぇ。まあ、そのコマンドカードも異世界化する際に取り込まれなかったみたいだから、関係ないんだけど」
「つまり、最強になるまで育て上げた、イリーナさん達の帝器も使用できる私……ということよね? それって、私である意味あるの?」
「……特にないねぇ。まあ、何もなく選んでみただけだよ? 他にもイリーナさん、ピトフューイさん、プルウィアさんの三人が候補にあったんだけどねぇ」
「何で俺とホーリィはないんだ?」
「何で選択肢に女の子がいるのにわざわざ男を選ばないといけないのかな? ホーリィさんに関してはグレーラインだけど、それでも優先順位があるからねぇ」
「やっぱりローザはローザだよな」と安定のローザにそんな感想を持つアクア達。
◆
さて、ここからは紛らわしいのでローザが変身したクラリスを
まず、
NAME:クラリス=チェルシー
GENDER:Female
LEVEL.999
HP.99,999
STR.99,999
VIT.99,999
DEX.99,999
INT.99,999
AGI.99,999
SPHERETREE
・Claris(all open)
・Irina(all open)
・Pluwier(all open)
・Pitohuy(all open)
・Holly(all open)
・Rivas(all open)
EQUIPMENT
RIGHT HAND.
LEFT HAND.妖刀・叢雨
HEAD.アカシックヴェール
BODY.アカシックミニドレス
LEG.アカシックストッキング
ACCESSORIES.
スフィアツリーには特定のルートを通ることで全てのマスを開けることが可能なように設定されている。
ごちゃごちゃしたルートの中からたった一つあるルートを見極め、そのただ一つのルートを全キャラクター分一筆書きした時にのみ到達可能なカンストステータスに到達しており、使用可能な帝器も六人分全解放されている。
装備品は帝器三つに加え、帝器以外では女性の最強装備とされるアカシックシリーズを装備しており、攻守共に一切の隙がない。
「それじゃあ始めよっか? 誰からでも掛かってきてもいいからねぇ」
「俺から行かせてもらうぜ! サングリッター・アタック・スペシャライゼーション! サングリッター・エンチャート!」
「
先に仕掛けたのはリヴァスとホーリィだった。
体の細胞を光属性の魔力で活性化させ、光属性の魔力を「竜槍」に宿して破壊力を上げたリヴァスが「
「サングリッター・ファイナル・エクステリオン!」
「
「竜槍」に込められた光の魔力を解放し、光り輝く斬撃を拡散させることで前方広範囲に攻撃し、聖なる浄化効果の斬撃領域を展開する……が、リヴァスが捉えたのは
「【
「なるほどねぇ……「妖刀・叢雨」の攻撃を奥の手の【
「妖刀・叢雨」で牽制をしたまま、
「
武装闘気を纏った八つの真空の斬撃はホーリィが自らを守るために放った武装闘気を纏った巨大な蒼焔の半月と二つの巨大な火球に阻まれ、相殺される。
「
しかし、ホーリィはそれで
「
「――ッ! 武装闘気-全身硬化-」
「無駄だ。魂魄の霸気――
《天照》によって鏡写されたスティーリアの《暗殺者》によって放たれた暗殺帝の奥義が、武装闘気で強化されたホーリィの首を一撃で刎ね飛ばした。
「余所見はいけないなぁ?」
ホーリィの惨状に注意が向いていたリヴァスの背後からクラリスの声が響いた。仲間の声で、クラリスのものとは全く違う独特の口調――
「ッ! ――
「ご明察。別に君が本命じゃなかったという訳じゃないんだよ? ただ、二人とも効率よく倒そうってなったらこうなっただけでねぇ」
防御する間もなく放たれた刀の残像すら捉えられない斬撃。
規格外の速度で刀身が擦過したことにより白熱する大気の輝きを伴った百合薗圓の十八番――圓式基礎剣術が「
人外の斬撃を初見で対応できる筈もなく、リヴァスは呪毒の効果を受けるまでもなく一撃で撃破――このたった数十秒の間に二人が撃破されてしまった。
「……その
「鋭いねぇ。参考までに、
「全員で戦わなければ勝ち目はない――行くぞ!」
「素晴らしい判断だねぇ。流石は元将軍閣下」
「妖刀・叢雨」と「小太刀-霧雨-」を構えたプルウィアが「
「
「流石だねぇ。話を聞いただけで一発で再現してしまうなんて。しかも連携もばっちりだ。――でも、それじゃあ届かない」
【超加速】を発動し、「宵鋼-小烏丸打ち直し-」を構えて迫るイリーナ、「カラクリ義手」の【波動砲】を放つピトフューイ、「シルバーバングル」の【多重魔法】によって「
「魂魄の霸気――《八咫鏡・攻撃倍反射》」
八つの鏡が出現し、ピトフューイの【波動砲】と「
ピトフューイとクラリスは予想外の反撃に成す術なく自らの放った技で撃破され、ポリゴンと化していく。
「千羽鬼殺流・太歳! 常夜流忍暗殺剣術・朧月夜!」
「
こうして、最後の模擬戦はシャドウウォーカーの黒星で幕を閉じた。
しかし、最後の模擬戦は圧倒的強者であるローザが相手だったということもあり、元々勝ち目はないに等しかった。ピトフューイ達は十分に善戦したと言えるだろう。
ちなみに、ローザの戦いが鬼畜なほど容赦がないのはいつものことなので、「いつも通りお嬢様がお嬢様しているなぁ」という感想を抱かれるだけで終わった。
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