百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.5-85 極寒山脈〜目指せ、フォトロズ最高峰! 砕け、勇者(筋肉)の石像!〜 scene.2 中
Act.5-85 極寒山脈〜目指せ、フォトロズ最高峰! 砕け、勇者(筋肉)の石像!〜 scene.2 中
<一人称視点・ネメシア>
腐った筋肉野郎が現れた! うん、勿論汚物は速やかに消毒するよ!
抱きしめ合って戦力外になったプリムヴェールとマグノーリエを除けば、戦えるのはボク、アクア、ディラン、真月、琉璃の三人と二匹だけ……まあ、ボク一人で十分だけど。
しかし、なんでブーメランパンツすら履いていないんだろうねぇ……確か、キャラデザの段階では履いていた筈なのに。まさか……長年の腐食で溶けた?
「時空の神と虚空の神、今交わりて一つとなり、全ての破滅へと導く終焉の一振りを繰り出せ!
跡形など残してやるものか。どんなに善行を積んだところで、最終的に汚物と化したなら消毒されるのは当然なのだよ。
激しい魔力の奔流がボクの体を包み込み、ボクの求めた大量の魔力に耐えられなかった【万物創造】で生み出した時空属性の指輪が砕け散った。
時空連続体を切り裂くように無数の亀裂のような斬撃が伸びていく。奔った亀裂はたまたまそこにいた筋肉ゾンビと石像の破片を切り裂いた。
時空だけではなく、属性の最上位に位置する虚空属性――アザトホートにも通じる激しいエネルギーと消滅の性質という過剰なほどの力が跡形もなく消し飛ばす。
「よし、討伐完了! 次行こう、次」
「……お嬢様、まさか全部の石像壊すんですか?」
「まさかぁ、山頂にあると思う百合の姫様の像は壊さないよ? あの石像は壊しても中の人が未練なく昇天しているからゾンビが出現しないし、そもそもリーリエがモチーフの石像をボクが壊す訳ないじゃん」
「天上光聖女教……いや、今は天上の薔薇聖女神教団か? 連中ならここを総本山にして毎日山頂の百合の姫様の像を拝みに来そうだな」
ようやく復活した実は怖がりのプリムヴェールが冗談めかして言っているけど、あの
走り回って疲れた真月は影の中に飛び込んで、琉璃はマフラーのように伸びるとボクの肩に止まった。
犬は喜び山駆け回り……まあ、そんなに駆け回ったら疲れるよねぇ。そして、それを追いかけていた琉璃も……本当にお疲れ様。
そして、千メートル一気に登ったのに全く体力が切れた様子もなく競うように弾丸の如く飛び出していったアクアとディラン。……本当にあんな速度で走っていって最後までバテない?
琉璃が時々口を開けて水弾を発射して援護してくれるけど、基本的にはマグマも氷も武装闘気を纏わせて殴れば十分。これがワンパンなのだよ!
「……ん? あれって、ラグー・アルミラージじゃない?」
仙術の修行をしながらプリムヴェールとマグノーリエの少し後ろくらいをゆっくりのペース(それでも普通の登山よりは圧倒的に速いレベル)で進んでいると、雪の間から黒い螺旋状の角を持つ黄金の兎が姿を現した。
ムハンマドが昇天する際に通った天への道と同じ名前を持つこの兎は『スターチス・レコード外伝〜Côté obscur de Statice』に経験値豊富なレアモンスターとして登場していた。でも、この魔物の素晴らしいところはなんといってもその旨さ。本来のアルミラージの獰猛な性格とは大きく異なり、臆病な性格で圧倒的な素早さと逃げ足から捕獲は困難、しかしその捕獲の難しさを差し引いても努力する甲斐のある美味しさがラグー・アルミラージにはある。
ちなみに、ラグーというだけあって煮込み料理が最も美味しく味わえるとのこと。
『むきゅー!』
「逃すかッ! 時間停止魔法-クロック・ロック・ストップ-」
よし、成功。ボクの時間停止の前ではどんなに素早さがあっても無力なのだよ。
そのまま統合アイテムストレージの中にポイッと。えっ、何をするんだって? 養殖に決まっているでしょ! ロック鳥の卵に匹敵する超高級食材だよ! ペチカのお店に卸せば……にゅふふふふふ。
そのまま出現した魔物を討伐しつつ(仮称・アイスプリン B-ランク相当、仮称・マグマプリン Bランク相当、仮称・フロストセンチピード B+ランク相当、仮称・フロストサウルス A+ランク相当、仮称・フロストスパイダー Bランク相当、仮称・フロストサーペント A-ランク相当)、ラグー・アルミラージが現れる度に捕獲し、気づいたら三千メートルに到達していた……しかし、かなり解脱に近づいている気がするねぇ。
光竹赫映は月の民出身ということで生まれながらにして天仙、海宮浅姫も月の民と源流を同じとする一族の末裔だから、生まれながらにして天仙と同等の力を持つ海仙ということで全く参考にはならない。若い頃に蓬莱山に渡り、修行して地仙に至っている浦島子を例に挙げてみると蓬莱山に渡って七、八十年は掛かったと言っていたからやっぱりこの速さは異例だよねぇ……ハーモナイアさん、どんだけチート詰め込めば気が済むの? 元の世界の能力にまで成長チートつけるって過保護過ぎるよねぇ、本当に。
そして、例の如く石像が。先についたアクアとディランもご丁寧に解読まで壊すの待ってくれていたらしい……別に待たなくてもそのまま壊しちゃっていいと思うよ、どうせ産廃だし。
〜伝説の勇者 ここに眠らん〜
ダッシュ・デ・マスッル
ゲンテイ・ハンバイ大戦で 先陣を切りし勇者 ダッシュ。
他の追随を許さぬ走りは 全ての敵を薙ぎ払い 宛ら竜巻の如く。
後に残るは 一陣の風と敗者のみなり。
長距離選手が発達している遅筋が異常に発達していて、先程の筋骨隆々な速筋の塊のような像とは大きく異なっている。物凄い勢いで走っているようなポージングで固まっていて、実際中から出てくるゾンビも速い。その速度は、通常攻撃が三回攻撃という尋常のなさからもよく分かるんじゃないかな? 幸い全部単体攻撃だけど。
「今度は俺がやりますね!」
「んじゃ、親友の次は俺だな!!」
「……私はお関わりになりたくないな」
「私も……今回は遠慮しておきます」
筋肉ゾンビ討伐を嬉々としてやろうとする男性陣(元も含む)と、不潔なものに関わりたくないと物凄い勢いで後退していく女性陣、傾向が綺麗に分かれているねぇ。……あれ、ボクって女性陣に分類されないことにならない?? まあ、確かに前世は男の娘だけどさぁ。
というからラピスラズリ公爵家の戦闘使用人なら覚悟決めてスパって倒すと思うから、実は性別ってあんまり関係ない?
「【天使之王】――天使化!
アクアと『
満足したアクアはディランと共に全力疾走で山を駆け上がっていった……次に追いつくのは新しい石像のある五千メートルの辺りかな?
◆
四千九百メートルに達したところで、ネメシアの身体に変化があった。身体の背中の皮膚が裂け、そこから脱皮をするように新しいネメシアが姿を現す……と外から見ていたらそんな感じな表現になると思う。
実際のボクの感触としては突然背中にチクチクと微かな痛みが走り、背中にスーッとした感覚を感じた後、余分な皮を被っているみたいな不思議な感覚を味わって、手や足がスルスルと皮から抜けられるようになったって感じかな? そのまま手や足を背中にチャックのある着ぐるみを脱ぐようなイメージで脱いでみると……まあ、分かるとは思うけど素っ裸……うん、大して寒くはないし、誰も見ていないんだけど、ちょっとだけ恥ずかしい。
急いでネメシアの皮から服を回収して、ステータス画面で装備し直して、そこで一息吐いてから改めてステータスを確認。
LV:99,999
HP:400,000(+410,000(+410,000(+420,000(+430,000
MP:400,000(+410,000(+410,000(+420,000(+430,000
STR:400,000(+410,000(+410,000(+420,000(+430,000
DEX:3,000(+13,000(+13,000(+23,000(+33,000
VIT:200,000(+210,000(+210,000(+220,000(+230,000
MND:80,000(+90,000(+90,000(+100,000(+110,000
INT:200,000(+210,000(+210,000(+220,000(+230,000
AGI:400,000(+410,000(+410,000(+420,000(+430,000
LUK:200,000(+210,000(+210,000(+220,000(+230,000
CRI:500,000(+510,000(+510,000(+520,000(+530,000
CHA:500,000(+510,000(+510,000(+520,000(+530,000
▼
やっぱり天仙獲得しているねぇ。当然、切り替えは不可――まあ、仙人化していて困ることは別にないけどねぇ。
仙人になったことで平常状態で浮遊が可能になったみたい……まあ、地に足つけることもできるけどねぇ。とりあえず、当初の目的は達成したのでネメシアからローザにアカウントを切り替えた。
服装的にはチャイナドレスからプリンセスラインドレスに装備が変化……まあ、どっちも山登りには適してないよねぇ。体温的な問題は闘気でどうにかなっていたから更に登りにくくなった? まあ、ドレスも武装闘気を纏って保護しているから汚れる心配はないんだけど……その結果、青いドレスが真っ黒になりました。腹黒な性格が滲み出ている素敵なドレスですね、ってホットケー。
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